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書評「アベノミクスによろしく」(2)第1~3章各末尾の著者「まとめ」  文科系

2018年02月06日 07時43分57秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 この本の全8章各末尾に著者による「まとめ」があることは、前回に述べた。それを書き写して内容要約としていく。さて、第1章まとめは特に長い。というのは、この本の重要基本用語説明があるからだ。さて、・・・

「第1章 アベノミクスとは何か」のまとめ

『①マネタリーベースとは日銀が供給する通貨のこと。より具体的に言うと、「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」+「日銀当座預金」の合計値。異次元の金融緩和はこのうち「日銀当座預金」のお金を増やしていく政策。日銀当座預金とは日銀が民間銀行のお金を預かる口座。日銀は民間銀行から国債を大量に買い取り、その代金を日銀当座預金に入れている。
②マネーストックとは世の中に出回っているお金の総量で、個人や企業、地方公共団体が保有している現金・預金を全部合計したもの。日銀当座預金を増やしても、それが貸し出しに回らなければ、このマネーストックは増えない。マネーストックが増えないと物価も上がらない。
③GDPとは「Gross Domestic Product」の略語で、日本語では「国内総生産」と訳される。要するに日本国内で儲かったお金を全部合計したもの。この儲かったお金は日本国内の誰かが支出したもの。その支出を合計したものを「GDE(Gross Domesutic Expenditure)」という。日本語では「国内総支出」と訳される。GDPとGDEの額は概念上一致する。なお、内閣府はGDEを「GDP(支出側)」と表記している。「GDPの6割は国内消費」などと表現されることが多い。この時の「GDP」は、内閣府の表記に従うと「GDP(支出側)」とするのが正確。本書ではこの「GDP(支出側)」を検証の対象としている。単に「GDP」と表記してあれば「GDP(支出側)」を意味すると理解してほしい。
 日銀の金融政策は、マネタリーベース(のうち、日銀当座預金)を異次元のペースで増やしていくもの。対名目GDP比でいうと、マネタリーベースの規模はすでにアメリカの4倍を超えている。マネタリーベースが異常な勢いで増大することで、人々が「物価が上がる」と予想する。それにより、次の現象が起きて景気が良くなると日銀は予想した。
④実質金利が下がり、民間銀行の貸し出しが増えて、マネーストックが増える。
⑤物価が上がる前にみんな物を買おうとするので、消費も伸びる。』

「第2章 マネーストックは増えたか」のまとめ

①異次元の金融緩和でもマネーストックが増えるペースは変わらなかった。
②暦年データで見ると、物価は3年間で4・8%上がったが、うち2%は増税、残る2・8%は円安によるもの。円安だけで年2%ずつ物価を上げていくことは不可能。

「第3章 国内実質消費は戦後最悪の下落率を記録」のまとめ

①2014年度の実質民間最終消費支出はリーマンショック時(2008年度)を越える下落率を記録した。
②戦後初の「2年度連続で実質民間最終消費支出が下がる」という現象が起きた。
③2015年度の実質民間最終消費支出は、アベノミクス開始前(2012年度)を下回った(消費がアベノミクス前より冷えた)。
④2015年度の実質GDPは2013年度を下回った(3年分の成長率が1年分の成長率を下回った)
⑤暦年実質GDPにおいて、同じ3年間で比較した場合、アベノミクスは民主党政権時代の約3分の1しか実質GDPを伸ばすことができなかった。

(続く)
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