九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

ミサイル防空訓練を思う  らくせき

2018年02月28日 09時07分45秒 | Weblog
戦前のジャーナリスト桐生悠々が書いた社説を思い出しました。

関東防空大演習を嗤う   桐生悠々  です。

一度目は悲劇。二度目は喜劇。カール・マルクス


 防空演習は、曾て大阪に於ても、行われたことがあるけれども、一昨九日から行われつつある関東防空大演習は、その名の如く、東京付近一帯に亘る関東の空に於て行われ、これに参加した航空機の数も、非常に多く、実に大規模のものであった。そしてこの演習は、AKを通して、全国に放送されたから、東京市民は固よりのこと、国民は挙げて、若しもこれが実戦であったならば、その損害の甚大にして、しかもその惨状の言語に絶したことを、予想し、痛感したであろう。というよりも、こうした実戦が、将来決してあってはならないこと、またあらしめてはならないことを痛感したであろう。と同時に、私たちは、将来かかる実戦のあり得ないこと、従ってかかる架空的なる演習を行っても、実際には、さほど役立たないだろうことを想像するものである。

 将来若し敵機を、帝都の空に迎えて、撃つようなことがあったならば、それこそ人心阻喪の結果、我は或は、敵に対して和を求むるべく余儀なくされないだろうか。何ぜなら、此時に当り我機の総動員によって、敵機を迎え撃っても、一切の敵機を射落すこと能わず、その中の二、三のものは、自然に、我機の攻撃を免れて、帝都の上空に来り、爆弾を投下するだろうからである。そしてこの討ち漏らされた敵機の爆弾投下こそは、木造家屋の多い東京市をして、一挙に、焼土たらしめるだろうからである。如何に冷静なれ、沈着なれと言い聞かせても、また平生如何に訓練されていても、まさかの時には、恐怖の本能は如何ともすること能わず、逃げ惑う市民の狼狽目に見るが如く、投下された爆弾が火災を起す以外に、各所に火を失し、そこに阿鼻叫喚の一大修羅場を演じ、関東地方大震災当時と同様の惨状を呈するだろうとも、想像されるからである。しかも、こうした空撃は幾たびも繰返えされる可能性がある。

 だから、敵機を関東の空に、帝都の空に、迎え撃つということは、我軍の敗北そのものである。この危険以前に於て、我機は、途中これを迎え撃って、これを射落すか、またはこれを撃退しなければならない。戦時通信の、そして無電の、しかく発達したる今日、敵機の襲来は、早くも我軍の探知し得るところだろう。これを探知し得れば、その機を逸せず、我機は途中に、或は日本海岸に、或は太平洋沿岸に、これを迎え撃って、断じて敵を我領土の上空に出現せしめてはならない。与えられた敵国の機の航路は、既に定まっている。従ってこれに対する防禦も、また既に定められていなければならない。この場合、たとい幾つかの航路があるにしても、その航路も略予定されているから、これに対して水を漏らさぬ防禦方法を講じ、敵機をして、断じて我領土に入らしめてはならない。

 こうした作戦計画の下に行われるべき防空演習でなければ、如何にそれが大規模のものであり、また如何に屡しばしばそれが行われても、実戦には、何等の役にも立たないだろう。帝都の上空に於て、敵機を迎え撃つが如き、作戦計画は、最初からこれを予定するならば滑稽であり、やむを得ずして、これを行うならば、勝敗の運命を決すべき最終の戦争を想定するものであらねばならない。壮観は壮観なりと雖も、要するにそれは一のパッペット・ショーに過ぎない。特にそれが夜襲であるならば、消灯しこれに備うるが如きは、却って、人をして狼狽せしむるのみである。科学の進歩は、これを滑稽化せねばやまないだろう。何ぜなら、今日の科学は、機の翔空速度と風向と風速とを計算し、如何なる方向に向って出発すれば、幾時間にして、如何なる緯度の上空に達し得るかを精知し得るが故に、ロボットがこれを操縦していても、予定の空点に於て寧ろ精確に爆弾を投下し得るだろうからである。この場合、徒らに消灯して、却って市民の狼狽を増大するが如きは、滑稽でなくて何であろう。

 特に、曾ても私たちが、本紙「夢の国」欄に於て紹介したるが如く、近代的科学の驚異は、赤外線をも戦争に利用しなければやまないだろう。この赤外線を利用すれば、如何に暗きところに、また如何なるところに隠れていようとも、明に敵軍隊の所在地を知り得るが故に、これを撃破することは容易であるだろう。こうした観点からも、市民の、市街の消灯は、完全に一の滑稽である。要するに、航空戦は、ヨーロッパ戦争に於て、ツェペリンのロンドン空撃が示した如く、空撃したものの勝であり空撃されたものの敗である。だから、この空撃に先だって、これを撃退すること、これが防空戦の第一義でなくてはならない。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マスコミ報道の歪み(12)シリア情報は「日本人権監視団発」ばかり   文科系

2018年02月28日 01時03分26秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
26日のアクセス355! 
「南北朝鮮接触に関連した日本マスコミの歪み」や、福島原発事故による子ども甲状腺癌多発ニュースが重要視されたようで、嬉しい!


 さて、シリア停戦決議が、国連安保理事会ですったもんだの揚げ句採択された。シリアの首都ダマスカス近郊の東グータという「反政府派の拠点地域」が政府・ロシア軍の爆撃などから「残虐な虐殺地帯」と化しているのを一時止めさせようという決議なのである。民間人虐殺は良くないことだから、決議は好ましいことであるにしても、それだけでは済まない歴史的問題が、シリアには存在すると思う。以下のように。

 この東グータ関連ニュースのほとんども、日本マスコミは例によっていつものように「シリア人権監視団」なる在英民間団体サイドのものを流している。僕がこのブログでこういう疑問を投げかけた団体である。
 例えば中国に「日本人権監視団」なる団体があって、それが日本政府に反対する国内勢力側から見た日本ニュースばかりを世界に流すとしたら、それでもってこの国の歴史的実情が最も良く分かるというものだろうか、と。
そしてもう一つ。シリアの反政府派とは、サウジ、アメリカなどが金も兵器も与え、軍事訓練も施したりと、おんぶに抱っこで育ててきたという、公然たる歴史的事実が存在する。つまりこういうことだ。日本人に流されているシリア情勢とは、反政府派の情報ばかりなのである。

 さて東グータ地域とは、こうした反政府派の自治区ということだ。どうだろう、こんなことを考えてみていただきたい。日本に外国の肝いりで武装した反政府派が作られ、その自治区が出来たとしたら、それが黙っていつまでも放置されていくものだろうか、と。つまり、シリアにはこういう悪循環が続いてきたという歴史的構図も存在するのである。

①アラブの春の下で反乱軍が生まれた。外国が金も人も兵器も軍事訓練も施してきた反乱軍である。政府が、イラク戦争から生まれてシリアにも進出してきたイスラム国対策で手一杯の内に、反乱軍は大勢力になり、自治区まで作ってしまった。彼らは当然、自治区住民を人質に取っている。
②反乱軍地域から政府崩壊に繋がるような大規模軍事行動が起こると空爆とかを徹底するしかない。反乱がさらに大規模になる度に軍事抑圧もエスカレートせざるを得なかった。
③こういう情勢の中で「シリア人権監視団」とは、反乱軍サイドのニュースばかりを、その映像も含めて世界に流してきたわけである。シリア政府がいかに残虐であるかというニュース専門といって良いだろう。

 こうして少なくとも、鶏と卵とどちらが「先」かではないが、反乱(革命)軍事行動と対する政府の「残虐」鎮圧攻撃とのどちらが歴史的に「先」であったのかとか、反乱軍はどの程度外国に依存してきたのかなどが、重要な問題になるはずだ。日本の新聞はそこを全く問うて来なかったはずである。

 結論である。政府側の言い分も、彼らが見る「わが国現状までの歴史的経過」という形で知らせて欲しいものである。そんな日本マスコミのニュースを、僕は見たことがない。

 ちなみに、「アラブの春」でリビア(石油埋蔵量世界9位の国である)のカダフィなどが軒並み潰されたが、シリアはその試練を生き延びた国である。そして、この「アラブの春」は、中東、北アフリカに大変な混乱しかもたらさなかった。サウジのような身分制国家ではないリビアでカダフィが国民に配っていた石油売却代金は、今誰の手に落ちているのだろうか? 潰れる前のリビアは、サウジのような王制国家よりもずっと多い石油代金が回って来た国民が近隣でもっとも豊かな生活をしていたというのは、有名な話である。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする