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「米中狭間の日本」の一典型例   文科系

2020年06月12日 17時25分50秒 | 国内政治・経済・社会問題

 本日エントリーした『米「自由と民主主義」看板は倒れている』に関連した旧拙稿を再掲します。こういう問題こそ、日本国民の生活と民主主義度の出番。日本国民が米中問題の先頭に立つのでなければ、明日の日本、人々の生活は悪くなるばかりと考えます。

 

【 対中で、首相・外務省に重大対立   文科系
2018年10月30日 05時05分12秒 | 国内政治・経済・社会問題

 今日の新聞を読むと、日本政府部内に標記の一大事が起こっていることが分かる。しかも、事が事、中国に対する今後の政府新方針に関わる対立だから、米中冷戦勃発との関係もあって、今後日本のブロック経済方向絡みで以下のような重大な意味を持たざるをえない対立である。先ずは、新聞報道を要約しておこう。要約する記事は、中日新聞2面の『「日中3原則」で混乱』、『会談で確認?食い違う主張』と見出しされた物だ。

 事は、26日北京における日中首脳会談で確認された今後の3方針に「原則」という概念を使うか否かという対立である。習首相らと「原則」と確認し合ったと国会答弁や官邸フェイスブックなどで外に向かって大きく表明した安倍首相に対して、内閣官房副長官や外務省が「3原則という言い方はしていない」とか「中国側が確認したと言っているわけではない」と叫んでいるから、大事件なのだ。政府部内で一体、何が起こったのか。折しも米中貿易戦争の真っ最中とあっては、米よりの外務省と、対中経済大接近の現状を追認しなおすしかなかった安倍首相という構図も見えてくるのである。さて、その「三原則」とは、このように重大な物ばかりだ。
『競争から協調へ』
『互いに脅威とならない』
『自由で公正な貿易体制を発展』
 どうだろう、これを今後の対中日本外交の原則と呼ぶかどうかは、米中貿易戦争・冷戦開始の間に立った日本の方向をすら示していると言えないか。先ず3番目がトランプアメリカへの批判になることは明らかだし、その上で2番目を宣言し直しているというのでは、アメリカの神経を逆なですることになろうから。確かに、対米追随の外務省が顔色を変える事態なのである。

 さて、これだけの理解では、事の重大さにはまだ半分程度しか迫れていないと思う。このことの全貌をきちんと理解するには、最近の日米関係、日中関係等や、世界史の知識なども必要だ。例えば、①日本の対米輸出よりも対中輸出の方が圧倒的に多くなっている、とか。②アメリカが自由貿易を捨てて、カナダ、メキシコなどを引き連れたブロック経済圏作りに走り始めたが、日中は「自由貿易支持」を表明し続けてきた、とか。③EUも自由貿易支持の立場から、アメリカの姿勢を批判し続けてきた、とか。④そもそも世界恐慌時のブロック経済圏作りとは、世界史においてどんな意味を持っていたか、とか。

 今はこれ以上のことは何も言えない。が、首相を中心において政府部内で重大対立が現れるほどの切羽詰まった局面に日本が立たされている事だけは確かなのである。世界経済第3位の日本は、2位のお隣中国に寄っていくことによって、アメリカの保護主義批判の立場を一層鮮明にするのだろうか。としたら、戦後日本の大転換点にもなる。こんな局面では普通なら、アメリカが安倍を切ることになる。田中角栄や小沢・鳩山がやられたように。


 以上の理解につきたった一つ、保留を付けておきたい。ここで「原則」という言葉を使った安倍首相が何も分かっちゃいなかった、だからこそ今時あまりにも安易にこんな言葉を使ったのだという、そんな大山鳴動ネズミ一匹という事態もあり得ると思う。だとしたら、あまりにも田分けた空騒ぎ! 】

 

 さて、この「政府部内対立?」と同じ事が、つい最近も起こった。6月7日の新聞見出しでは、こうなっている。『日本 対中批判参加拒む 香港巡る声明 打診の欧米失望』『習氏来日実現へ配慮か』(中日新聞見だし)

 この件についても、「なぜなんだ?! この共同通信の記事は嘘だろう??」という大々的批判と、それに対する内閣の回答「日本独自で既に香港問題批判は出していて、英米もこれを了承、了解済み」などが飛び交っていて、ちょっとした「藪の中」である。

 

 

 

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米「自由と民主主義」看板は倒れている  文科系

2020年06月12日 13時27分47秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 例えば朝日新聞が「米中争覇」という連載をやってきたように、米中冷戦が今後の世界動向の焦点になっている。これに日本がどう関わっていくかが日本国民ばかりではなく世界の人々の明日を最も大きく動かす政経要因にもなるはずだ。世界第3位の経済大国として、米中の日本綱引きにも大変な熱がこもってきているのだし。つまり、米中問題に日本がどう関わるかは、EUのドイツとともに明日の世界の有り様を決定する当事国以外の最重要要因とさえ言えるのだし、同時に、この問題抜きにして明日の日本を語ることさえ誤り、無意味と言える問題でもある。

  さて、本日の朝日新聞8面「米中争覇」でも、慶応大学教授・神保謙が、知る人ぞ知る重要な日本政府内部情勢を語っている。
『当初は中国を牽制することが8割方の目的だったが、その後、経済をテコに中ロと戦略的な関係改善を図ろうと考える勢力の影響力が政府内で強まった。・・・現在は中国の対日接近を戦略的機会としていかす発想が強い』 
『政府内での路線対立を解消し、どこまで中国と協調し、どこから牽制すべきか、国全体の戦略が不可欠だ』

 さて、僕も日本政府内部のこの「路線対立」をここ数年ここで見つめ続けてきたが、そういう観点からどうしても言いたい一言がある。米中問題を語る際に今なお識者らによっても大前提としてよく出される「自由と民主主義の国・アメリカ」という看板は、既に倒れているのではないかと。手短かにその証拠を挙げてみよう。

 まずアメリカの国内問題だが、ニューヨークの黒人のコロナ死者が白人の2倍を超えるほどの有意な高率になるとか、この死者率に比例して高すぎる大学学費で大学に行けない人々の率も高くなるとかの、大変な「機会の不平等」問題。外交、世界政策ではもはやそれ以上に、自由でも民主主義でもない。そもそも、自由主義経済を投げ捨てて、保護貿易主義、米大陸ブロック経済に走ってしまった。さらに、国際民主主義を踏みにじった例が、多すぎるのである。国連の制止を無視したイラク戦争。近年でもシリア戦争。イラン、ベネズエラで戦争寸前まで行ったのは、国連が禁じている「武力による威嚇」そのものであった。戦争とは、他人の自由を究極的に侵害する、民主主義の正反対ぶつであると、この点を日本のアメリカ賛美識者達は一体どう考えているのかと、常に訝ってきた。

 「自由と民主主義の国・アメリカ」という言い方はもう止めるべきだ。 

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