僕が面白いと思った旧拙稿を再掲します。
「縄文血統はアジア最古」 文科系 2016年09月03日 11時28分50秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
表題内容は、1日の中日新聞34面、とある新発見の記事内容の一つ。僕は、源平系や天皇家などの家系図にも、先祖どころか自分のお墓にもこれっぽっちも興味はないが、人類と日本人の起源については、長年オッカケをやってきた。ついでに言えば、若いころから類人猿にも興味があって、こんなこともあった。20年ほど前、動物園の特別期間に僕より重い子どものオランウータンと肌を接し、手も取り合い、時に抱き合ったりして、長時間戯れさせて頂いて、有頂天になっていた記憶もある。ちなみに、チンパンジーは、99%以上人と同じDNAを持ち、ゴリラよりも人間に近いということだ。
さて、この記事の紹介と、もうひとつ別に現存全人類の起源からの家系図について、学んできた所を少々述べてみたい。
①「あなたの12%は、アジアでも『古い古い』縄文人?」
縄文人血統は、アジアで古いという意味においてかなり特殊な人類だと、最新の遺伝子研究によって判明したとあった。その出現は、アメリカ大陸先住民の先祖がベーリング海を渡ってアジアから別れて行った15,000年前はおろか、2万年以上前にさかのぼるとも。そして、現代日本人がまた、中国や東南アジアの人々に較べてこの縄文人に最も近いというのである。もちろん、昔から言われているように、アイヌ、沖縄の人々はさらに縄文人に共通した部分が多いということだった。まーこれらすべて、日本がアジア最果ての地であることから起こったことなのだが。
アメリカ原住民から日本人までの祖先を含んだアジアに最も昔にいた人々というひとまとまりが、縄文人と別れた時期以前となると、もうオセアニア人との枝分かれしかないということになった。つまりこういうことだ。他の現存アジア人から、先ずオセアニア人が枝分かれして、その残ったアジア人系統全体の中で次に枝分かれしたのが縄文人で、その残りのアジア人からアメリカ原住民が次に別れていったと。そうして残ったアジア人が現在日本、中国、東南アジアに住んでいるというわけだが、このなかで日本人がもっとも縄文人の痕跡を多く留めているというのである。
②現存人類全体の「家系図」
まず、現存人類は全て、15万年ほど前にアフリカにいたある女性(たち)の子孫であることは1990年頃に分かった。それ以前にいたネアンデルタール人、ハイデルベルグ人や、ジャワ原人、北京原人などはこの現存系統とは全く別の人類で、その子孫は既に死に絶えているとも分かっている。ただ、ネアンデルタール人だけは、現代人との混血がヨーロッパで起こったようだ。
このアフリカに生まれた現存全人類の先祖がアラビヤ半島南部からアフリカを出たのが約10万年前である(85000年という説もある)。そこからまず、西ヨーロッパの人々が枝分かれするのだが、それは5~10万年前とちょっと幅が広い。このヨーロッパ人と共通の先祖から東へ向かったインド人系統から最初に枝分かれしたのがオーストラリアやニューギニアなどの原住民オセアニア人で、これが約5~6万年前。そして次に起こった枝分かれが縄文人だということになって、以下は①に述べた通りである。オセアニア人以降の全ての人類をまとめて環大平洋人と名付けた人がいるが、その斉藤成也氏こそ今回の「あなたの12%は縄文人?」を発見したご当人のお1人である。そう、冒頭9月1日の中日新聞記事にあった。
③この新説発表者に関わって
冒頭の中日記事内容は、斉藤成也・総合研究大学院大教授らの共同研究の成果とあった。ただ、この人の古い著作には既に今回に近い仮説が建てられていたように思われる。例えばこんな記述だ。2006年に発行された彼の著作「DNAから見た日本人」(ちくま新書2005年3月第1刷)に書かれていたことである。
父子に伝わっていくY染色体内に起こる「Aiu配列挿入」という突然変異が、チベット人と縄文人、アイヌ人、沖縄人にとりわけ発生頻度が高いことに目を付けて、こう述べているのである。
『数万年前のユーラシアのどこかで、縄文人とチベット人の共通祖先集団がいて、そこに生じた・・・突然変異が現代までに伝わってきた可能性がある』(同上書103ページ)
こうして、朝鮮人はもちろん中国人も、否地球上の全人類が、同じ15万年ほど前アフリカに生まれた数人の女性から出た兄弟のようなもの。自国の偏った歴史論しか知らぬ偏狭なナショナリズムからののしりあっていたりしたら、大祖母さんが泣くというものだ。