日本サッカー界が、2010年代後半以降やっと本気になって取り組み始めたのが、アジアチャンピオンズリーグ戦、略称ACL。日本勢が今戦っているのは、その東アジア大会。ここの勝者が西アジア勝者と戦い、勝ったアジア・チャンピオン・クラブが、12月の世界クラブカップ、クラブW杯に出場する。
今年の日本勢は近年珍しいほどの好調で、名古屋、川崎、セレッソ大阪がそれぞれのグループで首位に立っていて、ガンバも2位だ。この中でも、名古屋と川崎は全勝で、勝ち点をひとつも落としていない。ただ、川崎は2戦して2勝だが、名古屋は4戦4勝である。ちなみにそれぞれの得失点は、名古屋が11の0で、川崎10の2と、いずれもお見事と言う他はない。
さて、今後の見通しであるが、何よりも今年こそ川崎が勝つと、言いたい。「日本で無双の川崎が、ACLで全く勝てない不思議」。これは去年まで、年々強く言われつくしてきた言葉だが、その訳は当事者には案外分かりきっているはずだ。昔のイギリスのようにフェアに戦いすぎて、「国際戦の過激、狡猾」に敗れてきたのだ。ただし、日本勢全体として、08年ガンバ優勝の後、17年浦和優勝までは全く勝てなかったという歴史もある。この時期も含めて川崎はなんせ、何度出ても、ベスト8止まり(07年、09年、17年)だった。2017年などは特に、準々決勝で浦和と当たって激闘、それも第1戦3対1を第2戦1対4で落とした。この年はこの浦和がそのまま勝ち進んで優勝したのだから、川崎には大きすぎる悔いが残ったはずだ。ちなみに、その後の戦績は、18年は鹿島の優勝、19年は浦和準優勝、20年優勝は韓国の蔚山現代となっている。つまり、日本勢がおよそ10年間のACL停滞から復活したのが17年なのだが、川崎のACL苦手はずっと続いてきたままなのである。
さて、川崎と名古屋がこのまま勝ち進む公算は大きいと思う。得失点差などを観ても、両チームとも普段の戦いができて勝ってきているからだ。すると、ラウンド8か4辺りで川崎・名古屋の唯一戦勝負になって、これは川崎の勝ち。名古屋はすでに「川崎苦手」が植え付けられているはずだから。というよりも、川崎が勝った方が、今年こそ優勝という可能性が高いと、これが僕の願望である。なんせ、今の川崎はJリーグ始まって以来の強豪、全盛期ジュビロ磐田に匹敵する世界レベルチームだと理解している。ちなみにこの磐田はACLにおいても、99年優勝、続く2年間を準優勝という記録を残している。このACL決勝進出記録は、07年に浦和が優勝するまでは磐田だけが持っていたものである。
川崎の選手諸君、ACL川崎悲願の優勝というこの大輪の花輪を、川崎をここまでのチームにしたとも言える中村憲剛氏の昨年度引退に是非、是非添えて、彼を泣かせてほしいものだ。