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パーパス文書以降の米経済大転換点、  文科系

2023年08月09日 09時19分53秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 今、アメリカ経済に数10年単位の大異変が起こっているが、それを近年の重要文書などでもって簡単にまとめておきたい。対中国、対日本など、アメリカ外交の動きを捉えるために必須のことと考えるからである。

 2019年8月19日、米の経団連に当たる経営者団体、ビジネス・ラウンド・テーブルが大々的に発表したのが、有名なパーパス文書。パーパスとは「目的」のことで、この文書は、企業の目的をこう変更すると声明したもの。この声明の新聞報道記事の見出しは、
『株主最優先を米経済界転換』 
 この記事の書き出しはこうだった。
『米主要企業の経営者団体「ビジネス・ラウンドテーブル」は19日、株主の利益を最優先する従来の方針を見直し、従業員や顧客、地域社会など全ての利害関係者の利益を尊重する新たな行動指針を発表した。これまで米経済界は「株主利益の最大化」を標榜してきたが、大きな転換点となる』

 また、ノーベル賞経済学者クルーグマンもまたこの前後に、こう語り始めていた。
「アメリカの製造業を支えてきた中間層が経済・社会的な大変動に見舞われることに気付かなかった。中国との競争でアメリカの労働者が被る深刻な痛手を過小評価していた」(ニューズウイーク日本版2019年12月3日号)


 そして、この23年4月には、こんな事が起こったが、上記パーパス文書の延長線上のものというのは明らかだろう。
 現代ビジネスが、米のサリバン大統領補佐官による4月20日のある講演内容を紹介している。その最も短い要約は、このようなもの。
『自由貿易や規制緩和による市場重視の経済政策から、補助金を使った産業政策への大転換を宣言した。これは「新しいワシントン・コンセンサス」と呼ばれている』
 この新しいワシントン・コンセンサスとは何か。旧来のワシントン・コンセンサスの諸要素、「貿易自由化」「海外直接投資」「(各国)政府事業の民営化」「規制緩和」「各国家の財政規律の維持」などなどは以降どうなっていくのか。

 サリバン大統領補佐官が唱えたこの中身は、バイデン大統領が直面している4つの挑戦に応えるものなのだそうだ。①米国産業基盤の空洞化、②地政学的安全保障競争、③気候変動危機下のエネルギー改革、④不平等とそれによる民主主義への打撃。 
 ①と②は、中国によって「もたらされた」もの。③と④とは、アメリカ自らが先頭に立って、日本や西欧、さらには搾取されたグローバルサウスを含めた世界に招いてしまったものである。


 ところで、この新ワシントン・コンセンサスが、去年以来三つの経済・金融関連大事件に端を発していることも明らかだろう。最初が、GAFAのそれぞれ万人をこえる膨大な人員整理。次が、リーマン以来の米銀行連鎖倒産とその煽りと言えるクレディスイス倒産。最後が、2011年以来初めてと言われるフィッチ・レーティング米国債格下げである


 ウクライナ戦争へのアメリカの態度含めて、アメリカで今後起こっていくことが、以上をみておけば仮説的想像が付き易いと考えて来た。明らかに冷戦終結以来30年ぶりの時代の転換点に差し掛かっていると示されているのだから。ただ、今のアメリカは戦前日本と同様で軍が極めて強力、その点では何が起こるか分からないという怖さがある。


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