たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

アガサ・クリスティー『愛の重さ』-第三部ルウェリン-第一章より(2)

2022年02月01日 17時01分36秒 | 本あれこれ


アガサ・クリスティー『愛の重さ』-第三部ルウェリン-第一章より
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/1096610ebc8f23b68b5600f013a569dd

「メッセージ、特定の雑誌の読者への、ある国民へのメッセージ、人間への、全世界へのメッセージー

 しかし彼自身には与えるべきメッセージなど、あったためしがなかったのである。たしかにメッセージの伝達者ではあった。しかし、伝達者であるということと、自らメッセージを語る者とでは、まったく違う。しかし、誰もそれをわかってくれそうにないのだった。

 休息-それこそ、彼がいま必要としているものであった。休息としばしの時。自分自身がどういう人間であるか、また何をなすべきかを熟考すべき時。彼は四十にして人生の再出発をし、一私人としての生活をはじめなければならないのであった。メッセージの伝達者としての15年間に彼ルウェリン・ノックスに何が起こったか、まずそれを見出すことが必要だった。

 小さなグラスにたたえられた淡い色の液体をすすりながら、また、あたりに坐っている人々や、波止場や、そのともしびを眺めながら、ルウェリンはこの島こそ、それらすべてを見出す絶好の場所であるという思いを強くしていた。彼が欲しているのは、砂漠の孤独ではなかった。人間仲間との接触であった。もともと彼は隠遁者とか、禁欲主義といったたちの男ではなかった。修道院の隔絶した生活には召命を感じなかった。彼が必要としているのは、ルウェリン・ノックスとは誰か、どんな人間かということを見出すことである。それを知った後、彼は前進するだろう。そして人生の道をふたたび歩みはじめるだろう。

 おそらく問題は、カントの三つの提言に還元されることになろう。

 自分は何を知っているか?
 何を望むことができるか?
 何をなすべきか?

 この三つの問いのうち、彼が答えることのできるのは二番目の問だけだった。」

(アガサ・クリスティー、中村妙子訳『愛の重さ』早川書房、昭和62年4月30日第七刷、201-202頁より)

                                    →続く

愛知県がんセンター新規入院停止 職員の自宅待機増

2022年02月01日 13時56分25秒 | 気になるニュースあれこれ
2022年1月30日付中日新聞より、

「愛知県は30日までに、県がんセンター(名古屋市千種区)の新規入院受け入れを2月7日まで停止すると発表した。手術も31日~2月10日まで制限する。いずれも緊急の場合は除く。新型コロナウイルス感染や濃厚接触で職員の自宅待機が増えているための措置。」

https://www.chunichi.co.jp/article/409341

 コロナの特別扱いはいつまで続いていくのか、ゴールはどこなのか、変形性股関節症の手術は、100歩譲っていちばん後回しやむなしとしても、日々進行していくがん患者が適正な医療を受けることができなくなっているのは、これこそ緊急事態ではないでしょうか。東京の様子を見ながらと責任逃れをしている国のトップに大きな決断は期待できそうにありません。なにも決めようとしない、決められない、トップたる器ではないことが明らかになってきました、ため息しかありません。

 当初から言われていた、コロナ死の水増し? 老衰や他の疾患で亡くなってもコロナ死としてカウントされている現状が記事になりました。ここがゼロになることを目指しているのなら、永遠にコロナ禍は終わりません。

2022年2月1日付読売新聞オンラインより、

「重症ゼロなのに、なぜか「死者6人」の県…原因は「厚労省ルール」か

「現在の死者数の増加は、コロナが原因で亡くなった人が増えていることを必ずしも意味しない」。厚労省の担当者は、現在の死者数の集計について、こう見解を述べた。」

 死者数の統計の意味合いをさらに分かりにくくしているのが、厚労省が「亡くなった後の検査で陽性が判明した人」も死者に数えるよう推奨している点だ。「全国的な感染状況を把握するため」というのが理由だが、医療機関では全ての死者を検査することは人員的にも難しい。

 感染力が強い変異株「オミクロン株」が流行している現状では、検査するほど陽性者が出る確率は高くなり、「コロナの死者」も増えることになる。」

https://www.yomiuri.co.jp/national/20220131-OYT1T50245/3/