ぽちっとしたCDが翌日にはもうお手元に。密林さん、お仕事早いです(^^)
←「弾いてみた」の付加価値
というわけで、今朝は早速電車の中で「ピアニート公爵」を聞きながら来ました。いい音でくっきりはっきり聞けて、映像はないですけど、また別の次元で感動しました。
録音と再生の状態がよい(ニコ動に比べて)からよくわかりますが、ピアニートさんの演奏はほんとに解像度が高いというかなんというか、隅々行き届いてクリアです。余分なペダルで塗りつぶされていなくて、タッチやリズム/ノリも明快で、曲の構造や、そもそも何をしたいのかがはっきりわかります。
だから「ショパン×巨人の星」の演奏には向いているんですね。この曲、非常によくできてはいるんですがもともと無理のある話ですから、いろいろ「つじつま」が合わないところがあると思うんですよ。具体的にいうと、全部の音を鳴らしちゃうとかなりきたないとか…
それと、そもそもベタッと弾いてショパンと巨人が混ざると、何やってるんだかわからないってことがあります。
そういう曲を、「ショパン」と「巨人の星」それぞれの旋律が迷子にならないように区別つけつつ、うまくいかないところはさりげなく抑え、逆にぶつかりが面白いところは説得力を持ってアピールし、このありえない調和が「えーもうどうなっちゃってるのよ」と悶えたくなるようなみんなのツボ(爆笑シーン)はうまく融合し、ものすごく演出に工夫をこらして演奏されていると思います。非常に頭のいい人なんじゃないでしょうか。
それでいて、全体はしっかりと自然にピアニスティックな曲としてまとまっているんですよね…
この曲の編曲をした人は東大ピアノの会の人だそうですけど、この編曲ができるってことは、とにかく元の人も相当ピアノがうまかったはずです。けどここまでピアノがうまいってことはたぶん…ない…(よね? 芸大じゃないんだから)なので、どんなふうに演奏されていたのか、ピアニート公爵によって初めて引き出された部分は何なのか、ちょっと興味あります。
ニコ動カルチャーの言葉でいうと「弾いてみた」でしょうか、ある人が作った曲を別の人が弾いて、また新しい魅力・価値を引き出していく。考えてみればクラシック曲なんてそうやって百年、二百年揉まれてきたわけで…
という趣旨のことが、CDについてきたライナーノートに書かれています。最後の曲、ベートーベンピアノソナタ32番(これは、種もしかけもなく、クラシック曲のまま演奏されてます)のところ。
「おそらく、聴きこめば聴きこむほどに、いかなる演奏も物足りなくなるであろうほどの真の「神曲」である。がしかし、幸いなことに昔から様々な巨匠たちが魂を削って「演奏してみた」の産物を残してきたのがクラシックの世界なのだ。より気に入る演奏を求め、数ある録音やコンサートを当たってみるうちに、新たな宝物を見つけることだってできるかもしれない。」(解説 光井比呂矢)
ピアニート公爵は、芸大の大学院まで出て、これだけピアノが弾けて作曲・編曲もできるのに、数年あまり仕事らしい仕事がなかったとか(だから「ニート」を自称した)。音楽の世界って大変だよね。確かに、最後のベトソナも、技術的に難なく音楽的にも正しく弾けて十二分に上手なんだけど、それだけで名前を売っていくのは難しいんだろうと思う。プラスのサムシングがないと…超イケメンであるとか、数奇な運命であるとか、誰でも知ってるコンクールでの優勝とか…
それでピアニート公爵の場合、「ショパン×巨人の星」の演奏や、ガンバスター幻想曲の編曲/演奏で価値が出しやすく、それをまた、ニコ動というシステムを通じて現代の「音楽ディレッタント」(ライナーノートにある表現)が見出していき、コンサートやCD販売までこぎつけたのだから、まぁよかった、のかな? ここから先、ちゃんと儲け続けるのはたいへんだろうけれども。クラシックを究めていて、かつ、オタク曲のツボもわかっているという…「混ぜるな危険」に踏み込んでバランスを取りながら、うまくやっていけばきっと。
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というわけで、今朝は早速電車の中で「ピアニート公爵」を聞きながら来ました。いい音でくっきりはっきり聞けて、映像はないですけど、また別の次元で感動しました。
録音と再生の状態がよい(ニコ動に比べて)からよくわかりますが、ピアニートさんの演奏はほんとに解像度が高いというかなんというか、隅々行き届いてクリアです。余分なペダルで塗りつぶされていなくて、タッチやリズム/ノリも明快で、曲の構造や、そもそも何をしたいのかがはっきりわかります。
だから「ショパン×巨人の星」の演奏には向いているんですね。この曲、非常によくできてはいるんですがもともと無理のある話ですから、いろいろ「つじつま」が合わないところがあると思うんですよ。具体的にいうと、全部の音を鳴らしちゃうとかなりきたないとか…
それと、そもそもベタッと弾いてショパンと巨人が混ざると、何やってるんだかわからないってことがあります。
そういう曲を、「ショパン」と「巨人の星」それぞれの旋律が迷子にならないように区別つけつつ、うまくいかないところはさりげなく抑え、逆にぶつかりが面白いところは説得力を持ってアピールし、このありえない調和が「えーもうどうなっちゃってるのよ」と悶えたくなるようなみんなのツボ(爆笑シーン)はうまく融合し、ものすごく演出に工夫をこらして演奏されていると思います。非常に頭のいい人なんじゃないでしょうか。
それでいて、全体はしっかりと自然にピアニスティックな曲としてまとまっているんですよね…
この曲の編曲をした人は東大ピアノの会の人だそうですけど、この編曲ができるってことは、とにかく元の人も相当ピアノがうまかったはずです。けどここまでピアノがうまいってことはたぶん…ない…(よね? 芸大じゃないんだから)なので、どんなふうに演奏されていたのか、ピアニート公爵によって初めて引き出された部分は何なのか、ちょっと興味あります。
ニコ動カルチャーの言葉でいうと「弾いてみた」でしょうか、ある人が作った曲を別の人が弾いて、また新しい魅力・価値を引き出していく。考えてみればクラシック曲なんてそうやって百年、二百年揉まれてきたわけで…
という趣旨のことが、CDについてきたライナーノートに書かれています。最後の曲、ベートーベンピアノソナタ32番(これは、種もしかけもなく、クラシック曲のまま演奏されてます)のところ。
「おそらく、聴きこめば聴きこむほどに、いかなる演奏も物足りなくなるであろうほどの真の「神曲」である。がしかし、幸いなことに昔から様々な巨匠たちが魂を削って「演奏してみた」の産物を残してきたのがクラシックの世界なのだ。より気に入る演奏を求め、数ある録音やコンサートを当たってみるうちに、新たな宝物を見つけることだってできるかもしれない。」(解説 光井比呂矢)
ピアニート公爵は、芸大の大学院まで出て、これだけピアノが弾けて作曲・編曲もできるのに、数年あまり仕事らしい仕事がなかったとか(だから「ニート」を自称した)。音楽の世界って大変だよね。確かに、最後のベトソナも、技術的に難なく音楽的にも正しく弾けて十二分に上手なんだけど、それだけで名前を売っていくのは難しいんだろうと思う。プラスのサムシングがないと…超イケメンであるとか、数奇な運命であるとか、誰でも知ってるコンクールでの優勝とか…
それでピアニート公爵の場合、「ショパン×巨人の星」の演奏や、ガンバスター幻想曲の編曲/演奏で価値が出しやすく、それをまた、ニコ動というシステムを通じて現代の「音楽ディレッタント」(ライナーノートにある表現)が見出していき、コンサートやCD販売までこぎつけたのだから、まぁよかった、のかな? ここから先、ちゃんと儲け続けるのはたいへんだろうけれども。クラシックを究めていて、かつ、オタク曲のツボもわかっているという…「混ぜるな危険」に踏み込んでバランスを取りながら、うまくやっていけばきっと。
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