昨日の記事冒頭に書いたようにartomr先生が「もっと冷たい音」といっていたとき、説明のため「月の光」の一部分を弾いて「ほら、ここはやわらかい音でいいけど…(弾く)…ここは冷たい音がいいですよね」
←宝くじ、買わなきゃ当たらない(つまり私は当てられない)
確かに、両方、音の大きさとしてはpだけどやわらかい音とかたい音に聞こえる。これはいったい何が違うのか??
そもそも、音色がどうだといっても人間の耳で感知できてナンボな話なので(演奏効果を求めるならば)、
本来なら実験というのは別に機械を使って測定するということに限らず、
むしろ耳で聞いてどう感じたかということをダブルブラインドテストすればいいわけだ。
(その実験の組み立ても実際問題難しいけれど)
ただ、人間の耳に「かたい」「やわらかい」さらには「遠鳴りする」なんて感じる場合に、物理的にはどんな特徴を持った音なのかやっぱり知りたいし、そういう音を出すにはどんな弾き方をすればいいのかということも知りたい(現実にそう弾けるかどうかは訓練の問題であるにしても)。
そのために「機械の目」はどういうものを使うかだけど、よく使われるのはスペクトル分析と呼ばれるもので、周波数成分のどれがどのくらいという「混ざり具合」を示すものだ。ピアノの音程を決めている周波数(いわゆる「ラ」が442Hzというような)を基本周波数とすると、その整数倍の周波数のもの(倍音)がいろいろ混ざっている。
その混ざり具合から私たちの耳は「(バイオリンでなくフルートでなく)ピアノの音だな」という判断ができたりするのだけれども、ある一瞬についてスペクトル分析をするだけだと、ピアノの音色の中でのバリエーションまでは捉えにくい。
そこで、
「ピアノの音色はタッチで変わるか 楽器の中の物理学」(吉川茂)
で紹介されていたのは、スペクトル分析に時間軸を加えたもので、縦軸に周波数を取り、横軸に時間を取る。ピアノという楽器は最初のアタックからあとは減衰していく一方なんだけど、その変化を一覧することができる。
この結果を見ると、まず音の立ち上がり付近では基音や倍音以外の、半端なところにもごちゃごちゃと音が乗っていることがわかる。こうしたもろもろの「雑音」はけっこう聴感的な音色を左右する。
そして昨日の記事に書いた「縦振動」成分も表れる。これはほかの「雑音」と違って、基準音でも倍音でもない周波数なのにかなり長く響いているから(とはいえ高い音なので基音や二倍音ほど長く響くわけではなく、近い周波数の倍音と似たような感じと思えばよい)、これまた聞いた感じに影響を与えるだろう。
また、各倍音は一斉に一様に減衰していくわけではなく、倍音ごとに特徴がある。おもしろいのは一瞬消えて(消えるほど弱くなって)また復活する周波数があったりすることだ。
さっき、「減衰していく一方」っていったじゃんって感じだけど、そりゃもちろん音全体としては膨らむわけないんだけど、たぶん周囲の倍音成分からエネルギーをもらって強くなったりすることがあるんだろう。
これら減衰の仕方はピアノによっても異なり、たとえばやわらかく深みのある音に感じられるプレイエルは基音が力強く、カンカンキンキンした音に感じられるヤマハアップライトは基音が早めに減衰してしまい二倍音が勝っている(shigさん調べ)。
少なくとも、これを使えば「ピアノによる音色の違い」をわかりやすく示すことができる。「タッチによる音色の違い」よりはずっと顕著で実験も簡単だ。
shigさんはこの、スペクトル分析に時間軸を加えたグラフを映像化する装置? を準備して壮大な実験を企画したことがあったらしいんだけど、時間が取れず頓挫している(^^;; shigさんが大きく宝くじを当てて悠々自適の暮らしをするようになって研究の続きができるといいなぁ(わくわく)
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確かに、両方、音の大きさとしてはpだけどやわらかい音とかたい音に聞こえる。これはいったい何が違うのか??
そもそも、音色がどうだといっても人間の耳で感知できてナンボな話なので(演奏効果を求めるならば)、
本来なら実験というのは別に機械を使って測定するということに限らず、
むしろ耳で聞いてどう感じたかということをダブルブラインドテストすればいいわけだ。
(その実験の組み立ても実際問題難しいけれど)
ただ、人間の耳に「かたい」「やわらかい」さらには「遠鳴りする」なんて感じる場合に、物理的にはどんな特徴を持った音なのかやっぱり知りたいし、そういう音を出すにはどんな弾き方をすればいいのかということも知りたい(現実にそう弾けるかどうかは訓練の問題であるにしても)。
そのために「機械の目」はどういうものを使うかだけど、よく使われるのはスペクトル分析と呼ばれるもので、周波数成分のどれがどのくらいという「混ざり具合」を示すものだ。ピアノの音程を決めている周波数(いわゆる「ラ」が442Hzというような)を基本周波数とすると、その整数倍の周波数のもの(倍音)がいろいろ混ざっている。
その混ざり具合から私たちの耳は「(バイオリンでなくフルートでなく)ピアノの音だな」という判断ができたりするのだけれども、ある一瞬についてスペクトル分析をするだけだと、ピアノの音色の中でのバリエーションまでは捉えにくい。
そこで、
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で紹介されていたのは、スペクトル分析に時間軸を加えたもので、縦軸に周波数を取り、横軸に時間を取る。ピアノという楽器は最初のアタックからあとは減衰していく一方なんだけど、その変化を一覧することができる。
この結果を見ると、まず音の立ち上がり付近では基音や倍音以外の、半端なところにもごちゃごちゃと音が乗っていることがわかる。こうしたもろもろの「雑音」はけっこう聴感的な音色を左右する。
そして昨日の記事に書いた「縦振動」成分も表れる。これはほかの「雑音」と違って、基準音でも倍音でもない周波数なのにかなり長く響いているから(とはいえ高い音なので基音や二倍音ほど長く響くわけではなく、近い周波数の倍音と似たような感じと思えばよい)、これまた聞いた感じに影響を与えるだろう。
また、各倍音は一斉に一様に減衰していくわけではなく、倍音ごとに特徴がある。おもしろいのは一瞬消えて(消えるほど弱くなって)また復活する周波数があったりすることだ。
さっき、「減衰していく一方」っていったじゃんって感じだけど、そりゃもちろん音全体としては膨らむわけないんだけど、たぶん周囲の倍音成分からエネルギーをもらって強くなったりすることがあるんだろう。
これら減衰の仕方はピアノによっても異なり、たとえばやわらかく深みのある音に感じられるプレイエルは基音が力強く、カンカンキンキンした音に感じられるヤマハアップライトは基音が早めに減衰してしまい二倍音が勝っている(shigさん調べ)。
少なくとも、これを使えば「ピアノによる音色の違い」をわかりやすく示すことができる。「タッチによる音色の違い」よりはずっと顕著で実験も簡単だ。
shigさんはこの、スペクトル分析に時間軸を加えたグラフを映像化する装置? を準備して壮大な実験を企画したことがあったらしいんだけど、時間が取れず頓挫している(^^;; shigさんが大きく宝くじを当てて悠々自適の暮らしをするようになって研究の続きができるといいなぁ(わくわく)
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