…というわけで、昨日書いたように、ハンマーのシャンク部分のしなりによって物理的に差が生じうること、タッチを変えると実際に倍音成分が変わることが観測されたという研究が出たので、
←ほんの少しの理屈がほしいの
ピアノという楽器は、鍵盤への触れ方、すなわち「タッチ」によって、本当に音の音色が変化するのでしょうか? その真偽については、ピアニスト、指導者、音響学者、心理学者を巻き込んで、長いあいだ議論がなされてきました。ピアニストや指導者は、「タッチを変えれば音色が変わる」と強く信じており、一方で、音響学者は物理学の観点から、理論的にピアノの音色を変えることは不可能である、と考えてきました。
---- 「ピアニストの脳を科学する(古屋晋一)」より
この混迷の状況にピリオドを打ち、「物理的に音色は変わる」という結論になったってことでいいんだろうか。
なんとなく…すっきりしない…と思ってる人は多いと思う。私もそうだし(^^;;
「シャンク部分のしなり」ってほんとう?
そういう、直感的にわかりにくい物理現象で、というか、際どくたったそれだけの要因で、こんな多彩な音色が出るものなのかなぁ…
たいていみんな物理的には理解してないわけだけど、にもかかわらず、多くの演奏家が「イメージ」に合った音色を出せているのはなぜ??
そんなこんなのモヤモヤ感の元となっているものが、私の思いつく範囲で3つある。
(1) 雑音の有無と、音色の話が分けにくいこと。
弦の鳴り方ではなくて、タッチによって生じる雑音として、
・指と鍵盤のぶつかる音
・鍵盤を押し下げて底にぶつかる音(下部雑音とか呼ばれる)
の2つある。初心者がどたどた弾いて「うるさい」のはこの雑音が豊富に鳴っているのだけど、この雑音の有無とは別に、音色に変化が生じるのかどうかをつかまえにくい。
(2) 物理的には解明しつくされた、とはとてもいえない。
周波数成分を機械に表示させてわかる違いがすべてかどうか怪しい。人間の耳か何をとらえているのか、ほんとにわかったわけではない。
特に、音が変わる仕組みについては「シャンク部分のしなり」かも、ってくらいで、確かめられたわけじゃない。
まだわかってないことがいろいろありそう。
(3) ピアノの表現の豊富さを支えている要因の中で、「音色」って(相対的に)思ったほど大きくない。
演奏をなんとなく聞いているときに「音色」が美しいと感じていてもその実態は単音の色合いというよりは、音量バランス、ペダルコントロール、前後のつながり、タイミングなどの総体であったりする。
こういう状況の中で、
・物理的にどういう説明がつくのかなんてことに関心がない人(「りん」「和太鼓」程度のたとえで満足している人を含む)であっても、
・物理的に納得できる説明を求めるあまり、タッチで音色が変わることを認めない人であっても、
・はたまた大がかりな実験を重ねて物理的な理解を極めた人であっても、
結局のところ、
雑音なく弾くタッチを習得し、
音楽的な理解をしたうえで豊かなイメージを持ち、
耳でフィードバックして求める「響き」を作る。
ということで素晴らしいピアノ演奏ができるようになることは可能であり、またこれ以外の方法はない。
…そう思っているなら、なぜ長々とこんな話をしてきたのだ? と思われるかもしれないけど、多少なりとも理屈が気になる派(笑)としては、いったい「タッチで音色はほんとうに変わるのか?」「変わるなら、どうすれば変えられるのか?」って知りたいよやっぱり。
ヤマハのときの先生は、ほしい音のイメージを描くことでちゃんと多彩な音色で演奏ができる人だったけど、とにかく理屈はナイ人なので(^^;; 「ここはクラリネットの音よね?」といったり、「王子様がお姫様を助けに来たかと思ったけど結局逃げちゃった」といったり、私にも自分独自の「妄想」を迫ったりしたけど、私はどう妄想していいかも思いつかなかったし、クラリネットの音色にするにはどうすればいいかもわからなかった。それでまぁついていけなくなっちゃったんだけど。
今はイメージの描き方(単なる妄想ではなくて楽譜から読み取れることで)であれ、
打鍵の方法や方向であれ、
ずいぶん具体的に教えてもらっているし、
ピアノから得られるフィードバックもずいぶんわかりやすくなっているから(めるちゃんが来たから)、
昔よりはずっと…音色のことを考えているけど、
まだ「開通」した感じには程遠い。
もちろん、理屈で解決するとも思っているわけではないんだけど、多少なりともせっかくの自分の得意であるところの「理屈」を生かして進みをスピードアップできたらいいのに、とは思う。その助けにするには現状わかってることって力弱すぎる。
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「はじめての中学受験 第一志望合格のためにやってよかった5つのこと~アンダンテのだんだんと中受日記完結編」ダイヤモンド社 ←またろうがイラストを描いた本(^^)
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←ほんの少しの理屈がほしいの
ピアノという楽器は、鍵盤への触れ方、すなわち「タッチ」によって、本当に音の音色が変化するのでしょうか? その真偽については、ピアニスト、指導者、音響学者、心理学者を巻き込んで、長いあいだ議論がなされてきました。ピアニストや指導者は、「タッチを変えれば音色が変わる」と強く信じており、一方で、音響学者は物理学の観点から、理論的にピアノの音色を変えることは不可能である、と考えてきました。
---- 「ピアニストの脳を科学する(古屋晋一)」より
この混迷の状況にピリオドを打ち、「物理的に音色は変わる」という結論になったってことでいいんだろうか。
なんとなく…すっきりしない…と思ってる人は多いと思う。私もそうだし(^^;;
「シャンク部分のしなり」ってほんとう?
そういう、直感的にわかりにくい物理現象で、というか、際どくたったそれだけの要因で、こんな多彩な音色が出るものなのかなぁ…
たいていみんな物理的には理解してないわけだけど、にもかかわらず、多くの演奏家が「イメージ」に合った音色を出せているのはなぜ??
そんなこんなのモヤモヤ感の元となっているものが、私の思いつく範囲で3つある。
(1) 雑音の有無と、音色の話が分けにくいこと。
弦の鳴り方ではなくて、タッチによって生じる雑音として、
・指と鍵盤のぶつかる音
・鍵盤を押し下げて底にぶつかる音(下部雑音とか呼ばれる)
の2つある。初心者がどたどた弾いて「うるさい」のはこの雑音が豊富に鳴っているのだけど、この雑音の有無とは別に、音色に変化が生じるのかどうかをつかまえにくい。
(2) 物理的には解明しつくされた、とはとてもいえない。
周波数成分を機械に表示させてわかる違いがすべてかどうか怪しい。人間の耳か何をとらえているのか、ほんとにわかったわけではない。
特に、音が変わる仕組みについては「シャンク部分のしなり」かも、ってくらいで、確かめられたわけじゃない。
まだわかってないことがいろいろありそう。
(3) ピアノの表現の豊富さを支えている要因の中で、「音色」って(相対的に)思ったほど大きくない。
演奏をなんとなく聞いているときに「音色」が美しいと感じていてもその実態は単音の色合いというよりは、音量バランス、ペダルコントロール、前後のつながり、タイミングなどの総体であったりする。
こういう状況の中で、
・物理的にどういう説明がつくのかなんてことに関心がない人(「りん」「和太鼓」程度のたとえで満足している人を含む)であっても、
・物理的に納得できる説明を求めるあまり、タッチで音色が変わることを認めない人であっても、
・はたまた大がかりな実験を重ねて物理的な理解を極めた人であっても、
結局のところ、
雑音なく弾くタッチを習得し、
音楽的な理解をしたうえで豊かなイメージを持ち、
耳でフィードバックして求める「響き」を作る。
ということで素晴らしいピアノ演奏ができるようになることは可能であり、またこれ以外の方法はない。
…そう思っているなら、なぜ長々とこんな話をしてきたのだ? と思われるかもしれないけど、多少なりとも理屈が気になる派(笑)としては、いったい「タッチで音色はほんとうに変わるのか?」「変わるなら、どうすれば変えられるのか?」って知りたいよやっぱり。
ヤマハのときの先生は、ほしい音のイメージを描くことでちゃんと多彩な音色で演奏ができる人だったけど、とにかく理屈はナイ人なので(^^;; 「ここはクラリネットの音よね?」といったり、「王子様がお姫様を助けに来たかと思ったけど結局逃げちゃった」といったり、私にも自分独自の「妄想」を迫ったりしたけど、私はどう妄想していいかも思いつかなかったし、クラリネットの音色にするにはどうすればいいかもわからなかった。それでまぁついていけなくなっちゃったんだけど。
今はイメージの描き方(単なる妄想ではなくて楽譜から読み取れることで)であれ、
打鍵の方法や方向であれ、
ずいぶん具体的に教えてもらっているし、
ピアノから得られるフィードバックもずいぶんわかりやすくなっているから(めるちゃんが来たから)、
昔よりはずっと…音色のことを考えているけど、
まだ「開通」した感じには程遠い。
もちろん、理屈で解決するとも思っているわけではないんだけど、多少なりともせっかくの自分の得意であるところの「理屈」を生かして進みをスピードアップできたらいいのに、とは思う。その助けにするには現状わかってることって力弱すぎる。
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