artomr先生にラフマを見てもらってるとき、「そこはもっと冷たい音で」と言われた。具体的方法としては、打鍵スピードをもっと速く…でもpで。
←ピアノの上達方法とはまったく関係ない話ですから。念のため。
もちろん、一般的にいって打鍵スピードが速い場合に音は強く、遅い場合に弱くなるわけで、電子ピアノならばまさにそのように作られているんだけど、ともかくartomr先生は「打鍵スピードは速いけど小さい音」というのが「ある」と考えている(あるいは感じている)んだよね。そして、それが「冷たい音」と聞こえる、とも。この感覚は、多くのピアニストの間でわりと共有されているのではないだろうか?
* * *
「ピアノの音色はタッチで変わるか」という論争が古くからあって、それが解決されたようなされていないような、あまり納得・共有されていないという状況について、かいつまんでよしぞうに話してみた。シャンクの「しなり」が衝突の瞬間の速度以外の「何か」である可能性が示唆されていることも含めて。
すると、よしぞうは「しなりもそうだけど、ピアノアクションのパーツは理想的な剛体じゃないんだから、それぞれ非線形な振動をするし、可動部分の摩擦はゼロにならないんだから、衝突時の速度以外に変わる要素がないなんて単純な状況であるわけがない」と即座に言った。
…ですよね? やっぱそう思います??
シャンクのしなりの「大-小」というシンプルな説明はどうもしっくりせず、もっと複雑微妙なものだとなんとなく思っていたのだ。よしぞうの説明なら感覚に合う。微細な振動の状況により摩擦というか回転の抵抗も増えたり減ったりとかいろんな影響があるだろうし、けっこうややこしい話なのだ、たぶん。
ところで、よしぞうがそんなことを言うのは別にピアノについて実験をしたからでもなんでもなく、ただオーディオマニアとして、あるいは会社員としての何か(私はよく知らないけど)ものづくり的な経験から「当然にそうだ」という感触があるから、らしい。
ピアノ業界の人はなぜそういうことを言い出さないのか?? というか今まで見かけないのか?? と思っていたらば、shigさんが「これ貸してあげるから持っていきなさい」と一冊の本を渡してくれた。
「ピアノの音色はタッチで変わるか 楽器の中の物理学」(吉川茂)
おぉっ!! これはまさに!! (そのまんまなタイトル)(*)
この本では、音色に影響する可能性がある物理的要因として次の3つを挙げている。
(1) ハンマー・シャンクの振動。低周波の揺れと高周波の振動の合成
(2) 弦の振動のうち、縦振動(もちろんメインは横振動)。縦振動は微弱だけど横振動より10倍速く伝わるので、音の立ち上がり部分の音色に関与している可能性がある。
(3) キーが棚板まで沈み、それに当たるときに生じるパルス的な音(いわゆる下部雑音?)
このうち(1)が、ほぼよしぞうの言ってたことで、(2)は初めて見た。縦振動を起こす経路は非常に複雑で、スタッカート的なタッチとレガート的なタッチでは違いが出る可能性がある。この縦振動による周波数は基音より10倍以上高いもので、音の立ち上がりでは聞こえてもそののちはあまり聞こえなくなる。
まぁなんとなくだけど、タッチによって変わる要因は音の立ち上がり部分に主に影響を及ぼしているような気がするので、だからダンパーペダルを踏んでいるときにより顕著に感じられるのかな、と思う。
それで、上記は「可能性」の話だけどそれを実験で確かめられるのか、って話は次回につづく
(*)キャッチーなタイトルがついているけれども実際は副題にあるように「楽器の中の物理学」の本であって、ピアノの話は一章だけで終わってしまうし、それからいうまでもないことですが上達のノウハウとかないんで、変な期待はしないように。
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「はじめての中学受験 第一志望合格のためにやってよかった5つのこと~アンダンテのだんだんと中受日記完結編」ダイヤモンド社 ←またろうがイラストを描いた本(^^)
「発達障害グレーゾーン まったり息子の成長日記」ダイヤモンド社
←ピアノの上達方法とはまったく関係ない話ですから。念のため。
もちろん、一般的にいって打鍵スピードが速い場合に音は強く、遅い場合に弱くなるわけで、電子ピアノならばまさにそのように作られているんだけど、ともかくartomr先生は「打鍵スピードは速いけど小さい音」というのが「ある」と考えている(あるいは感じている)んだよね。そして、それが「冷たい音」と聞こえる、とも。この感覚は、多くのピアニストの間でわりと共有されているのではないだろうか?
* * *
「ピアノの音色はタッチで変わるか」という論争が古くからあって、それが解決されたようなされていないような、あまり納得・共有されていないという状況について、かいつまんでよしぞうに話してみた。シャンクの「しなり」が衝突の瞬間の速度以外の「何か」である可能性が示唆されていることも含めて。
すると、よしぞうは「しなりもそうだけど、ピアノアクションのパーツは理想的な剛体じゃないんだから、それぞれ非線形な振動をするし、可動部分の摩擦はゼロにならないんだから、衝突時の速度以外に変わる要素がないなんて単純な状況であるわけがない」と即座に言った。
…ですよね? やっぱそう思います??
シャンクのしなりの「大-小」というシンプルな説明はどうもしっくりせず、もっと複雑微妙なものだとなんとなく思っていたのだ。よしぞうの説明なら感覚に合う。微細な振動の状況により摩擦というか回転の抵抗も増えたり減ったりとかいろんな影響があるだろうし、けっこうややこしい話なのだ、たぶん。
ところで、よしぞうがそんなことを言うのは別にピアノについて実験をしたからでもなんでもなく、ただオーディオマニアとして、あるいは会社員としての何か(私はよく知らないけど)ものづくり的な経験から「当然にそうだ」という感触があるから、らしい。
ピアノ業界の人はなぜそういうことを言い出さないのか?? というか今まで見かけないのか?? と思っていたらば、shigさんが「これ貸してあげるから持っていきなさい」と一冊の本を渡してくれた。
「ピアノの音色はタッチで変わるか 楽器の中の物理学」(吉川茂)
おぉっ!! これはまさに!! (そのまんまなタイトル)(*)
この本では、音色に影響する可能性がある物理的要因として次の3つを挙げている。
(1) ハンマー・シャンクの振動。低周波の揺れと高周波の振動の合成
(2) 弦の振動のうち、縦振動(もちろんメインは横振動)。縦振動は微弱だけど横振動より10倍速く伝わるので、音の立ち上がり部分の音色に関与している可能性がある。
(3) キーが棚板まで沈み、それに当たるときに生じるパルス的な音(いわゆる下部雑音?)
このうち(1)が、ほぼよしぞうの言ってたことで、(2)は初めて見た。縦振動を起こす経路は非常に複雑で、スタッカート的なタッチとレガート的なタッチでは違いが出る可能性がある。この縦振動による周波数は基音より10倍以上高いもので、音の立ち上がりでは聞こえてもそののちはあまり聞こえなくなる。
まぁなんとなくだけど、タッチによって変わる要因は音の立ち上がり部分に主に影響を及ぼしているような気がするので、だからダンパーペダルを踏んでいるときにより顕著に感じられるのかな、と思う。
それで、上記は「可能性」の話だけどそれを実験で確かめられるのか、って話は次回につづく
(*)キャッチーなタイトルがついているけれども実際は副題にあるように「楽器の中の物理学」の本であって、ピアノの話は一章だけで終わってしまうし、それからいうまでもないことですが上達のノウハウとかないんで、変な期待はしないように。
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