カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

第七十六夜・飴玉の記憶

2017-09-18 19:45:58 | 百人一首と色名で百物語
たかあきで『今ひとたびの』と『飴色』を使って創作してください。

 口の中に入れて噛み砕くと、イチゴ風味をした表面の固い部分が崩れて中に詰まったミルク味と混じるだろう。すぐに心の中で願いごとを唱え、飴の味が口の中からなくなるまで繰り返せば願い事が叶うんだけど、飴と一緒に血の味を感じたら……

 そこで言葉は止まり、いきなり何人も現れたおまわりさんの格好をした大人が、この部屋に私が連れてこられてからずっと飴玉しか食べさせてくれなかったお兄ちゃんを押さえ付けた。
コメント