カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

喫茶店にて

2018-05-05 20:10:03 | 憧れのお店屋さん
 そろそろ食事を摂ろうと、屋根からアイビーの枝が垂れ下がり入口脇の棚に食品サンプルが並んだ、どこか懐かしい雰囲気の喫茶店に入る。

 
 テーブルクロスはギンガムチェックと白の二枚重ね、カウンターに並んだ木製の椅子は背もたれの部が四角く抜かれている可愛らしいデザイン。これだけで何となく太り気味でお人好しのマスターを想像してしまったが、「いらっしゃいませ」と声をかけてきたマスターはまさに想像通りの外見をした男性だったので、一瞬だがどうしてくれようと悩んだ。
 マスターによると本当はコーヒー専門店にしたかったのだが、常連客のリクエストで軽食を導入したら好評で、やめるにやめられなくなったという。それならばとパスタを注文すると、出てきたのは昔懐かしい、ソーセージとピーマンが具材の『スパゲティ』としか呼びようのない代物だった。オムレツかパンケーキを頼むべきだっただろうかと悩みながらフォークで一巻きして口に運ぶと、これが意外にも懐かしい記憶を呼び覚ます味で非常に満足した。

 ちなみにコーヒーの味は微妙で、この店が食堂扱いされる理由が何となくわかった。
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