骨董品に関する物語・キャンディ・カラーの香水瓶

　母は美人と呼ばれるよりも可愛らしいと称されるのを好む人だったが、夜会では常に専属の調香師に作らせた煽情的と言える香りを纏い、その外見とのアンバランスさも相まって常に言い寄る男が絶えなかった。しかしそんな母が只一人愛していた父は、自分は母の家に金で買われた身だからと生涯母の顔をまともに見ようとしなかった。

旅路その４１・双塔のラベルが貼られた葡萄酒

たかあきは実月の荘園に辿り着きました。名所はツインタワー、名物は果物だそうです。

　いきなり王都を離れて荘園に引っ込んでしまった友人が遊びに来いというので訪ねたところ、遠目からも確認できる双塔の聳え立つ立派な館で葡萄酒造りに勤しんでいた。貴族と言うだけで贅沢な生活が出来た若い頃と違って現在は次期当主として様々な面倒ことを覚える必要があると言う友人は、それでも楽しそうだ。