カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

旅路その40・学び舎と護人

2019-07-06 20:10:54 | 旅人の記録
たかあきは冬の学生街に辿り着きました。名所は古墳、名物は果物だそうです。

 建築中に古墳を掘り当ててしまって大幅に開校が遅れたその学校も、現在は沢山の学生が元気よく勉学に励んでいる様子だ。墓守だった私は正式に任を解かれてもうあの場の護人ではなくなったが、有難いことに今でも校舎の片隅にある小さな祠には、あの日の約束通りに干し棗のお供えが絶えることはない。
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骨董品に関する物語・少し奇妙なガラス絵

2019-07-06 19:57:30 | 突発お題

 悪魔と契約して仮面のように美しい顔を手に入れた男は、引き換えに己の醜い顔を仮面として身に着けることになった。男が醜い仮面を外して顔を晒すと決まって周囲から感嘆の声が上がるが、その極めて短い賞賛の時間を得る為に、美しい顔が乾いて崩れないようにと男は常に醜い仮面を被り続ける。
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骨董品に関する物語・大型のアルバム

2019-07-06 19:54:05 | 突発お題

 人形とは死を神に捧げる事で永遠を手にした存在だと、とある夭折した人形師は生前に語った。だが人間は永遠を忘却の果てに葬り去る利己的な生き物である。故に人形はその身に謎を孕んで常に人間に対して謎を問い掛け続けなければならないと人形師は言うが、骨董と呼ばれる品物の存在の源も、また上質の謎なのだろう。
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