子供の頃、田舎の川に潜った時に一度だけ水底から見上げられた事がある。顔を合わせた相手はおかっぱの黒い髪と青白い肌を持つ見知らぬ女の子だったが、何もかもを投げ捨てたような表情の伺えない顔でこちらに対して全く関心を示さぬまま静かに川上の方へと流れ去り、その姿を消した。
子供の頃、田舎の川に潜った時に一度だけ水底から見上げられた事がある。顔を合わせた相手はおかっぱの黒い髪と青白い肌を持つ見知らぬ女の子だったが、何もかもを投げ捨てたような表情の伺えない顔でこちらに対して全く関心を示さぬまま静かに川上の方へと流れ去り、その姿を消した。
たかあきは秋の宗教都市に辿り着きました。名所は古城、名物は煎餅だそうです。
お前にとっては俺が誰であろうと大して変わりないのだろうが、俺はこの先何があろうと俺のままでいるつもりだと奴は言った。宗教も血筋も俺の助けにならないのなら俺は俺自身を自分で救い、導かなければいけないのだと。だからお前も、出来るならお前のままでいて欲しいと言った奴に、呼んでくれればまたここに来る。ワインの仕込みでも、野菜の収穫でもなと答えた。
お前にとっては俺が誰であろうと大して変わりないのだろうが、俺はこの先何があろうと俺のままでいるつもりだと奴は言った。宗教も血筋も俺の助けにならないのなら俺は俺自身を自分で救い、導かなければいけないのだと。だからお前も、出来るならお前のままでいて欲しいと言った奴に、呼んでくれればまたここに来る。ワインの仕込みでも、野菜の収穫でもなと答えた。
若い頃の祖父は画家を目指していたそうだが結局断念して家業を継ぎ、以降は絵筆を取る事も無かった。しかし古い雑誌に掲載されていた祖父の絵は素晴らしい作品だったので何故断筆してしまったのかと無遠慮に尋ねると、石の花を見てしまったからだなと自嘲気味な答えが返ってきた。