art de vivre

ワインラヴァーであります。
日々を豊かにしてくれるワインと
お菓子作り、ちくちく手仕事、週末別荘のお話。

働かざる者、読書に励む!

2010-07-09 19:59:24 | livre ~ほん~
「わたしの仕事は読書」…と言ってもおかしくない今日この頃。
7時間45分の就業時間。
あまり大きな声で言えないけど、
ちゃんと仕事しているのはせいぜい2時間くらい?
オーダーが少ないのだから仕方ないのだ。
いくら暇といっても、
職場では音楽は聴けないし、、
レース編みもできないし、、
やっぱり読書しかないのだ。

最近買った本。
塩野七生「日本人へ 国家と歴史篇」
  〃 「日本人へ リーダー篇」
大橋歩 「早くお家に帰りたい」
森田けいこ「パリの幼稚園のフランス語ノート」

塩野さんの本はずっと愛読。
殆どの著書を読んでいる。
そして今は、「ローマ人の物語」最終の15巻、
読みかけでなかなか進んでおらず、
また最近引っ張り出してぼちぼち読み進む。
ローマ帝国の最後の姿。
見届けなくてはいけません。
でも、こ~んな分厚いのは職場には持って行けません。
上記2冊は新書なので持ち歩きには手ごろ。
塩野さんの論理は明快で痛快。
今日は1/5くらい読んでいた「国家と歴史篇」の続きを読んだのだけど、
4時過ぎには読み終わってしまった。
なんか集中できてしまって、予想外に読み進められた。
おもしろかった~!
女性ではなく男性の世界を描く気持ちが伝わる。
そうだよね~。
ねちっこい世界を描くと自分までもイヤな女になりそうだもの。
自分の生まれた国ではない外国で、
背筋を凛と伸ばし、カッコよく生きている女性の気概が存分に伝わってくる。
でも、塩野さんの著書はすべてそうですが…。
リーダー篇も楽しみ!

ちなみに同じ境遇のお隣さんは、通信教育のお勉強に励んでいる。
職場のオジサンいわく、
「仕事しながら勉強できるのはいいね~」
お咎めでもなく嫌味でもなく普通に言ってくれる。
暇なのはとっても苦痛なのをわかってくれていて、
同情も少々含まれてるかな?

大橋さんは、おしゃれなイラストレーターなのに、
日々の生活をとても大事にしていらっしゃる。
そんな生活の断片をたくさんのエッセイに仕立てていて、
共感できる部分がたくさんある。
ほっと心がなごむのです。
これは昨日職場で読み終わり。

「パリの幼稚園のフランス語ノート」はネットで偶然見つけたもの。
ブログがとても素敵で心に響く~♪
ネットで本を取り寄せた。
幼稚園を中心にした生活を綴った
すっご~~~くかわいい本。
これまで見たことがないなぁ、こんな本。
なんて例えればいいんだろう?
本だけど、ひとつのコラージュ作品のような。
あまり想像したくないけど…これが「東京の幼稚園の日本語ノート」だったら?
ケバケバの原色使いで、文字通りもっともっと幼稚なものになっていただろう。
キャラクターなんか出てきたりしてっ… キャッ!
パリだからこその洗練。
装丁、デザイン、すべてに漂う中間色の(幼稚園なのに)シックな色使い、
文字だけのページは、文字色がブラック、ネイビー、ワイン。
フォントも丸ゴシックで雰囲気いいなぁ~~
どれをとってもパリの香り。
たくさんの写真、子供たちの描く絵、コラージュのような作品やカード。
とてもステキ!
お譲ちゃんがとってもかわいく、
時によっては大人っぽくもあり。
色白でぱっちりお目々にブロンドの巻き毛の欧米の子供たちとはまた違った、
エキゾチックな東洋美を感じさせる聡明そうな女の子。 

文字ばっかり追いかける読書も疲れるので、
ビジュアルあふれるこんな本も楽しい。
フランス語の勉強にもなる。

そうそう、表紙を裏返したメリット!
表紙の表はフランスらしくトリコロールカラー。
といっても赤ではなく濃淡のピンクとブルーと白。
裏返すとライムグリーンべた一色でとってもキレイ!
しかも、しかも、
よ~く見てみると、
左右の折り返しの部分にお譲ちゃんが描いたと思われるちっちゃなかわいい絵が。
これはシークレットで入れたのでしょうか?
表からは見えないので。
職場でこっそり(でもないけど…)読もうとしたからこその発見!
宝物を見つけた気分~♪

さて、1日1冊読めるとすると、平均1日1,000円?
いや~~、キツイっす。

もっと仕事ちょうだい!!

富士日記

2009-11-07 19:17:56 | livre ~ほん~
武田百合子著『富士日記』という本がある。

本上まなみさんの『めがね日和』という本に紹介されていて
"あっ、読みたい!"って思ったのがきっかけで読み始めた。

 ずいぶん前のご本なので本屋にはないだろうと、
 アマゾンでしかも中古の上巻だけをとりあえず買ってみたのだけれど、
 田村俊子賞を受賞した作品だけに、
 いまだ版を重ね本屋に上中下と3冊揃って並んでいたのには驚いた。

作家、武田泰淳を夫に持ち、
昭和38年に富士山麓に山荘を建てた。
東京と富士の山荘をご夫婦と娘さんで往復する生活が始まり、
山荘へ家具や道具を持ち込み、
日記は翌年の夏から始まる。

泰淳氏については、そういう作家がいたなぁ…くらいの記憶で、
ましてや百合子さんについてはまったく知らなかった。
勉強不足で申し訳ないのだけど…。
でも今、この百合子さんの日々の記録にぐいぐい引き込まれている。

自宅と別荘を行き来し、
次第に別荘の建物も家の中も整ってゆくさま。
なんとなく自分たちの今と重ねてしまうのは、、
厚かましいし、おこがましいよね~!?

あくまで日記として書かれたものを、
泰淳氏の死後出版しないかということで世に出たということなので、
百合子さんの目線の先には読者などおらず、
ただ淡々と日々の暮らしを綴っている。
それがとても面白いのだ!

朝昼晩と、一日の食事メニュー。
買ったものとその値段(かなり克明に)。
朝何時に赤坂の自宅を出て、
 ちなみに運転手は百合子さん。
 片道3時間半ほどかけて運転する、タフ!!
 雨でぬかるんだ道、凍った雪道、どこでも運転する、タフ!!
 交通事故現場が何回も出てきたり、
 車の調子が悪くなりしょっちゅう修理に出したりと、
 当時のあまりよくない道路事情とか車の性能とかが窺われる。
 お酒を飲んでも平気で運転してるのには驚いた。
 違反ではなかったみたい…
途中お弁当を買って何時に山荘に着いたか。
その日の家族のこと、愛犬ポコのこと、
周りの人々、動物、植物のこと。
トイレの水漏れ、屋根の雨漏り、水道が凍ったりなどなどで
そのたびに土地の業者さんに直してもらう。

そんな日常のことなのだけど、
百合子さんの手にかかると、
何気ないことが生き生きとおかしみを持って文字になる。
途中、何度も"ぷふふっ"と噴き出してしまう。

例えば、焼き芋をしようという泰淳氏の提案に、
あまり食べたくないのに…と作るのだけど、
一番たくさん食べたのはわたし(百合子さん)だったり、

気に入った焼きそばの2杯目を食べてるうちに急に嫌になり箸を置くと、
泰淳氏に、急に嫌になるというのは悪いことと叱られたり、

カビの生えた桜エビを洗って乾かしているうちに食べたくなり、
全部食べちゃったり、

悪さをしている男の子を注意したら言い返されてまた百合子さんが言い返すと、
泰淳氏に叱られたり、

泰淳氏の言動が気に入らない時は、
日記の最後に『憎たらし』とひとこと添えてあったり…。

よく食べ…コンビーフやベーコン、ビーフシチューなど出てきて結構ハイカラ、
     百合子さんが一番たくさん食べてる、
よく遊び…夏は湖で泳ぎ冬はスキーやそり(もどき)すべり、
よく昼寝し…夕方から翌朝までよく寝ている、
      泰淳氏に死んじゃったんじゃないかと心配されたりする。


富士の麓の風景や暮らしがセピア色で迫ってくる。
百合子さんの眼には本物の色で映った景色が
昭和というフィルターを通すと、
平成も20年を越えたこちら側にはセピア色となる。
あの頃の時代を知っているからだろう。

食卓にはちゃぶ台があって、テレビは白黒。
洗濯機の脱水は手動でくるくる回して水気を取った。
買い物は、肉屋に八百屋、乾物屋、雑貨屋、それぞれに買いに行った。
お隣はお豆腐屋さんでいつも早起きをしてお豆腐を作っていた。
魚はリヤカーで行商のおばちゃんが売りに来てたな。
…そんな時代だったあの頃だ。

昭和の穏やかで何事にも鷹揚だった時代。
その時代に生きた作家の妻の感受性豊かな目で綴られた日記。

それが人生さ!

2009-09-07 20:17:37 | livre ~ほん~
心をときめかせて読むエッセイストがいる。
戸塚真弓さん。
パリ在住でフランスの暮らしについて数々のエッセイを書かれている方。
以前このブログでもチラッと書かせていただいた。

知的で品があり、なおかつ機知に富んでいる。
好奇心に満ち満ちていてパリに暮らす喜びが伝わってくる。
自分の感じたままに、平易な言葉で淡々と綴られた文章を目にすると、
読む者の心の中にさわやかな風が吹き抜ける。

そのうちブルゴーニュの銘醸ワインが飲みたくなり、
牛肉の赤ワイン煮込みが食べたくなる。
カマンベールやブリーとともに、
皮がパリッと香ばしいバゲットが食べたくなり、
合わせてロワールのきりっと冷えた白ワインが飲みたくなる。

心ときめかせて市場に出かけ肉や野菜を吟味したり、
アンティークのお店を覗いたり、
いたるところにあるさまざまな美術館に出かけたり、
ティーサロンでお茶を飲んだり、というくだりを読むと、
自然とこちらも心うきうきと
行ったこともないのに同じ経験をしているかのような気分になる。

近著は『パリの学生街』。
パリの『学生街』と言えば、カルチェラタンのこと。
パリの街はセーヌ川を隔てて右岸・左岸と分かれるけれども、
カルチェラタンは左岸。
ソルボンヌ大学をはじめ知的で前衛的、活気にあふれた界隈だそう。
戸塚さんのだんなさまは前ソルボンヌ大学総長であられた。
ソルボンヌのすぐそばに住まわれて20数年ということ。

この本を読むと、
カルチェラタンの小さくて魅力的な数々の通りを、
モノトーンの写真集のページをめくっているような、
あるいは映画のシーンを追ってゆくような感覚になる。

パリにお住まいの著名な日本人が数々いらっしゃって、
たくさんのパリ本が出されている。
どれも手にすると心がはずんでくる。
その中でも30年もパリに住む戸塚さんのご著書は、
だんなさまがフランス人ということもあり、
覗き見感覚ではなく、
その地に根ざして暮らす実感があり飛びぬけて上質な文章だ。

ご著書は10冊ほどで決して多作ではないのだけれども、
ほとんどの本を持っているわたしはひまがあれば読み返している。

以前はワイン(「ぶどう酒」と表現されていた)に関する内容が多かったのだけれど、
最近はそれが少なくなった。
戸塚さんの『ロマネ・コンティの里から』でブルゴーニュワインに開眼したわたしとしては、
『ロマネ・コンティの里から その後』みたいな内容を期待したいな!

パリのアパルトマンに住み、
週末やバカンスを過ごすために、
ブルゴーニュの100人ほどの小さな村に家を持っておられた。
(今は手放されたということだけれども…)
フランスでは法律で5週間ものバカンスを取らないといけない!!らしい!?

そんな時、パリからはそれほど遠くないブルゴーニュの村で、
収穫のお祭りを楽しんだり、
近くのブドウ畑を散歩したり、
ブドウの葉陰にエスカルゴ(カタツムリ)を見つけたり、
村人にキノコ狩りに連れて行ってもらったり、
ゆっくりと本を読んだり、という生活を続けて来られた。

大都会パリでの日常の暮らしと、
田舎の家のゆるゆると穏やかな暮らし。
この両輪で生活のバランスを取られていたのかもしれない。

パリの住宅事情は東京と同じく狭くて高い。
なので平日はパリに住み、
休みは田舎の家で過ごすという人々はたくさんいるらしい。

そんな暮らしにもわたしは憧れた。

おそらく20年くらい前になるだろうけれど、
当時200万円くらいで村の家は買えたそうだ。
ワインに目覚めたころ、
休みの日はいつでもおいしいブルゴーニュワインが飲めるよ!!
ってオットに何気に話を向けてみたけれど、、
まさか遠い遠~いフランスの地に別荘なんて…
彼の耳の右から左へスルー。

…そんな憧れも今の週末別荘暮らしの原点だと、、

ふと思う今日この頃。

***********************

ちょうど夕べ、BS放送でフランスブルゴーニュ地方の小さな村の番組があった。
出てくる人々はみなお年を召されていた方々。
幸せなことはもちろん苦労もたくさん重ねて生きてきた。

その中で印象に残った言葉。

“C'est la vie.”

 “それが人生さ。”

そう、、 人生っていいことばかりじゃない。
山あり谷あり、悲しいこと苦しいこともひっくるめてすべてが人生。

いとしい人が犠牲となった悲惨な戦争、子供の死、
半端ではない悲痛な話のあとに
お年寄りが何人も口にしたこの言葉が心に残る。

 “それが人生なんだよ!”

単語3つの短いこのフレーズが、
時にささいなことで簡単にしぼんでしまうわたしの心に
あたたかい火を灯してくれる。

ミステリィな夜

2008-06-02 20:31:34 | livre ~ほん~
昨日は友人と銀座へ。
銀ブラってわけじゃなく、
とりあえず用を済ます。
街頭インタビューの多いこと。。

お目当てのイタリアンレストランはいっぱいで、
困ったときのLINTAROへ。
ランチメニューが何年もずっと変わってないみたい。
せめてメインだけでも
ちょこっと変化してたらうれしいな・・!
雰囲気はとってもいいのだから・・。

プランタン銀座で、
UVのスカーフとか、ケータイストラップなどを購入。
ささやかな庶民です♪
大物はなかなか買えません。。

7時半に帰宅。
オットが夕飯を作ってくれていて感謝。
前日の残りのシャンパーニュと、

JANE ET SYLVAIN
ジュヴレ・シャンベルタン 2000

を楽しみました。
このジュヴレ・シャンベルタンは先週開けていたもの。
酸味が強く、味のバランスがいまいち。
2日目、3日目には少し丸くなりましたが・・


さてさて、ベッドにもぐりこんで、、
でも、銀座行きでハイになったアタマは
寝入ったと思ったら目が覚め。
ごそごそと
途中まで読み返していた『すべてがFになる』を取り出す。

犀川先生がミステリィをみんなに説明し終わったところまで読んだ。
もうあとちょっとで終わると思うと寂しいな。
2回目とは言え。

それにしても、森博嗣 おそるべし。
この本は最初に読んだ森作品なので、
そのときは登場人物も何もかも初めてお目にかかるものばかり。
ドキドキワクワク、ミステリィの新鮮な手法におどろく。

今こうして読み返してみると
シリーズの後半には
犀川先生や萌絵もずいぶんと大人になり変化していったのに気がつく。
このふたりが登場する作品の最後の方は
犀川先生は口数も少なく、
本当に 人間じゃないみたい、
心臓が動いてないみたい。
ロボットみたいだ。

『F』の登場人物に
「犀川先生は人間じゃないみたい、
 心臓が動いてないみたいでしょ。」て言わせているけれども
全作品を見渡すと、
まだこの頃は充分人間臭い犀川先生です。

この頃の先生が好き!
おいしいコーヒーを淹れてあげたくなる。。

フクザツなジグソーパズルをひとつひとつ埋めてゆくような
事件解決の手腕はすごい!!
それも平面のパズルじゃなくて
多面体の複雑きわまるパズル。

なんて頭がいいの!!
犀川先生と森博嗣。
このふたりが重なって
夜中の私をとりこにしてしまったのでした。
眠れずに、、あたりはだんだんと明るくなり鳥の声も・・
そろそろ息子を起こす時間。

森ワールドにどっぷりとつかった一夜でした。