戸塚真弓さんの新刊『ワインに染まる』。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/05/e828170390f69206afc450d3831cd3cf.jpg)
ワインに関するエッセイが魅力的にリズム良く綴られている
戸塚さんの著作はほとんど読んでいて、
まさにわたしがワインに興味を持った理由がそこにある。
結婚し、パリに住まわれ40年ほど。
ワインに関するエッセイを発表して来られたが、
このところの著作はワインから少し離れたもので、
それはそれでフランス好きのわたしには興味深かったのだけれど、
少し寂しく、物足りなくもあった。
そして、
(元々が数年に1度の刊行ではあるけれど)ここ数年は新作がなく、
ご年齢のこともあり執筆活動はもうされていないのかな、
ワインも、もうあまり飲まれていないのかなと想像していた。
そうしたところ、新聞の本の広告欄に新刊を見つけ、
嬉しくなってアマゾンのサイトでポチり。
ワインを巡る話が満載。
ソルボンヌ大学の学長を務めたこともあるご主人は、
ワインや食に関しても専門家で、著書もたくさんある。
2010年にフランス料理がユネスコの無形文化財に登録された際、
推進委員会の会長を務められ、
また、今、フランス各地での食の大文化センター建設計画を推進中、
そしてフランス・ワイン・アカデミーの会長など多方面でご活躍、すごい方です。
おふたりともお元気で、
ご夫婦でフランス国内はもちろん、
ヨーロッパ各地を訪ね旺盛に料理とワインを楽しみ、
もちろん日々のワインも欠かさず暮らしておられる様子。
中でもとても興味深かったものをひとつ。
著者は、パリは5区、学生街のカルチェラタンにお住まいで、
近くにはクリュニ―中世美術館がある。
ちなみにソルボンヌ大学も。
クリュニ―美術館は元は修道院で、とても古く由緒ある建物だ。
そこの宝物『貴婦人と一角獣』というタピスリー(タペストリー)が、
数年前に日本の美術館で展示公開された。
そのことに触れられた文章があった。
門外不出のものだが、確かクリュニ―美術館が改修中で、
(信頼のおける)日本に貸し出したという経緯だった。
以前から、このタピスリーを戸塚さんの作品で知っていたので、
ぜひこの目で観たく2回も行った。
広く円形の壁を持つ展示室で、大きな6枚のタピスリーは、
圧倒的なスケールを持って迎えてくれた。
何とも言えない深みのある赤の地に、
優美な貴婦人と一角獣、たくさん細やかに織り込まれた動物、花々。
これが中世の時代に作られた織物?とその繊細さと芸術性の高さに驚いた。
ちなみに、日本での入場者は、クリュニ―での1年間の入場者よりも多かったらしい!!
戸塚さんは、それがクリュニ―美術館に戻った後に観に行かれたそうな。
(近いのでご自分の庭のように度々行かれている)
そうすると、以前とは見違えるほど色が鮮やかになっていたらしい。
日本へ行く前に、中世にタピスリーの生産地として有名だったベルギーで、
タピスリーを洗浄したのだそうだ。
しかし、結果、下の部分の色が褪せてしまっていた。
というのも、このタピスリーは中世の時代に作られ、
フランスの古いお城にあったもので、19世紀半ば、
これを見つけて感動した作家のジョルジュ・サンドがきっかけとなって、
後の修復作業へと繋がった。
特に下の方がぼろぼろであったらしい。
後に修復されたその部分が、洗浄により色が落ちてしまった。
中性の頃の染色技術の高さが伺えるエピソードだ。
ワインの話で面白かったものは、
ワイン発祥の地、黒海とカスピ海の間に位置するグルジア
(現ジョージア)の話。ワイン作り8000年の歴史があるとか。
気候や土地が自然とワインに作りに向かわせる故、人々の暮らしに根付いている。
そこで味わった素朴なワインは、それに合う料理と共にグルジアの文化そのものだ。
他には、ご主人の職業柄か、
大統領、大使、貴族などからのパーティーへの招待あり、
ブルゴーニュやボルドーなどの酒蔵からの利き酒会への招待あり、
気品に満ちたスペシャルな話もある。
ブルゴーニュ、いや世界中のワインの最高峰、
ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティの醸造長とも懇意にされていて、
その利き酒会にも呼ばれたり・・。
と、ため息ものです。
出てくるワインも、きら星のごとく銘醸ワインばかり。
日頃、安ワインで喉を潤している私なぞからは遠い遠~い世界、夢の世界だ。
まるで、浮世離れしていて現実味に乏しいけれど、そんな夢物語も嫌いじゃない。
でも、庶民的なワインも登場する。
これまで好んで飲んでこられなかったボージョレや南仏のロゼワイン。
これまで味の点で劣ると敬遠されてきたが、
戸塚さんは最近飲まれるようになったとのこと。
ロゼなどは夏の暑い日など、喉を潤してくれる格好の飲み物だ。
現実味ある、わたしにも手の届くお話であります(^^)
そして、ブルゴーニュのシャンボール・ミュジニー村
(ここも大変美味しいワインを産する。村名も大変に優雅だ)に家を借りて、
時々訪れ、近くのブドウ畑を散策したり、酒蔵を訪ねたり、なんとも羨ましい暮らしです。
お値段の点で、近頃遠ざかっているブルゴーニュワイン。
月いちくらいは好きなブルゴーニュのワインを傾ける夜を過ごしたいものです。
そして、ワインに染まりたい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/05/e828170390f69206afc450d3831cd3cf.jpg)
ワインに関するエッセイが魅力的にリズム良く綴られている
戸塚さんの著作はほとんど読んでいて、
まさにわたしがワインに興味を持った理由がそこにある。
結婚し、パリに住まわれ40年ほど。
ワインに関するエッセイを発表して来られたが、
このところの著作はワインから少し離れたもので、
それはそれでフランス好きのわたしには興味深かったのだけれど、
少し寂しく、物足りなくもあった。
そして、
(元々が数年に1度の刊行ではあるけれど)ここ数年は新作がなく、
ご年齢のこともあり執筆活動はもうされていないのかな、
ワインも、もうあまり飲まれていないのかなと想像していた。
そうしたところ、新聞の本の広告欄に新刊を見つけ、
嬉しくなってアマゾンのサイトでポチり。
ワインを巡る話が満載。
ソルボンヌ大学の学長を務めたこともあるご主人は、
ワインや食に関しても専門家で、著書もたくさんある。
2010年にフランス料理がユネスコの無形文化財に登録された際、
推進委員会の会長を務められ、
また、今、フランス各地での食の大文化センター建設計画を推進中、
そしてフランス・ワイン・アカデミーの会長など多方面でご活躍、すごい方です。
おふたりともお元気で、
ご夫婦でフランス国内はもちろん、
ヨーロッパ各地を訪ね旺盛に料理とワインを楽しみ、
もちろん日々のワインも欠かさず暮らしておられる様子。
中でもとても興味深かったものをひとつ。
著者は、パリは5区、学生街のカルチェラタンにお住まいで、
近くにはクリュニ―中世美術館がある。
ちなみにソルボンヌ大学も。
クリュニ―美術館は元は修道院で、とても古く由緒ある建物だ。
そこの宝物『貴婦人と一角獣』というタピスリー(タペストリー)が、
数年前に日本の美術館で展示公開された。
そのことに触れられた文章があった。
門外不出のものだが、確かクリュニ―美術館が改修中で、
(信頼のおける)日本に貸し出したという経緯だった。
以前から、このタピスリーを戸塚さんの作品で知っていたので、
ぜひこの目で観たく2回も行った。
広く円形の壁を持つ展示室で、大きな6枚のタピスリーは、
圧倒的なスケールを持って迎えてくれた。
何とも言えない深みのある赤の地に、
優美な貴婦人と一角獣、たくさん細やかに織り込まれた動物、花々。
これが中世の時代に作られた織物?とその繊細さと芸術性の高さに驚いた。
ちなみに、日本での入場者は、クリュニ―での1年間の入場者よりも多かったらしい!!
戸塚さんは、それがクリュニ―美術館に戻った後に観に行かれたそうな。
(近いのでご自分の庭のように度々行かれている)
そうすると、以前とは見違えるほど色が鮮やかになっていたらしい。
日本へ行く前に、中世にタピスリーの生産地として有名だったベルギーで、
タピスリーを洗浄したのだそうだ。
しかし、結果、下の部分の色が褪せてしまっていた。
というのも、このタピスリーは中世の時代に作られ、
フランスの古いお城にあったもので、19世紀半ば、
これを見つけて感動した作家のジョルジュ・サンドがきっかけとなって、
後の修復作業へと繋がった。
特に下の方がぼろぼろであったらしい。
後に修復されたその部分が、洗浄により色が落ちてしまった。
中性の頃の染色技術の高さが伺えるエピソードだ。
ワインの話で面白かったものは、
ワイン発祥の地、黒海とカスピ海の間に位置するグルジア
(現ジョージア)の話。ワイン作り8000年の歴史があるとか。
気候や土地が自然とワインに作りに向かわせる故、人々の暮らしに根付いている。
そこで味わった素朴なワインは、それに合う料理と共にグルジアの文化そのものだ。
他には、ご主人の職業柄か、
大統領、大使、貴族などからのパーティーへの招待あり、
ブルゴーニュやボルドーなどの酒蔵からの利き酒会への招待あり、
気品に満ちたスペシャルな話もある。
ブルゴーニュ、いや世界中のワインの最高峰、
ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティの醸造長とも懇意にされていて、
その利き酒会にも呼ばれたり・・。
と、ため息ものです。
出てくるワインも、きら星のごとく銘醸ワインばかり。
日頃、安ワインで喉を潤している私なぞからは遠い遠~い世界、夢の世界だ。
まるで、浮世離れしていて現実味に乏しいけれど、そんな夢物語も嫌いじゃない。
でも、庶民的なワインも登場する。
これまで好んで飲んでこられなかったボージョレや南仏のロゼワイン。
これまで味の点で劣ると敬遠されてきたが、
戸塚さんは最近飲まれるようになったとのこと。
ロゼなどは夏の暑い日など、喉を潤してくれる格好の飲み物だ。
現実味ある、わたしにも手の届くお話であります(^^)
そして、ブルゴーニュのシャンボール・ミュジニー村
(ここも大変美味しいワインを産する。村名も大変に優雅だ)に家を借りて、
時々訪れ、近くのブドウ畑を散策したり、酒蔵を訪ねたり、なんとも羨ましい暮らしです。
お値段の点で、近頃遠ざかっているブルゴーニュワイン。
月いちくらいは好きなブルゴーニュのワインを傾ける夜を過ごしたいものです。
そして、ワインに染まりたい。