先日、オリジナルメンバーと異なるとはいえYesのコンサートに出掛け
「やっぱ凄げぇ!」と感嘆したワタクシ。
特に「同志」なんてアコースティックギターやメロトロンの音色再現という意味じゃ、全盛の
70年代コンサートより良く出来てるんじゃないか・・・なんて感じ入った。
それからは同曲が収録されているアルバム「危機」を良く聴いている。
『危機』は
プログレッシブ・ロックバンド=イエス5作目のスタジオ・アルバムで
リリースされたのは1972年9月13日だが、
録音されたのが1972年4月~6月と、ちょうど40年前の今頃
前々作「ジ・イエス・アルバム(サード)」で作り上げたプログレッシヴな曲調を
前作「こわれもの」(1971年)で更に発展させ、もうどこの国の曲だか分からない表題曲を詰め込み
LP両面で3曲という大作主義を完成したとんでもないアルバムである。
合計の収録時間は、37:47。
黄金期と言われた、この当時のメンバーは
ジョン・アンダーソン(Vo)、スティーヴ・ハウ(G)、クリス・スクワイア(B)、リック・ウェイクマン(Key)、ビル・ブラッフォードの5人(D)。
A面
1. 「危機」
"Close To The Edge" 18:50
i) 着実な改革 "The Solid Time Of Change"
ii) 全体保持(トータル・マス・リテイン) "Total Mass Retain"
iii) 盛衰 "I Get Up, I Get Down"
iv) 人の四季 "Seasons Of Man"
Jon Anderson, Steve Howe
B面
2. 「同志」
"And You And I" 10:09
i) 人生の絆 "Cord Of Life"
ii) 失墜 "Eclipse"
iii) 牧師と教師 "The Preacher The Teacher"
iv) 黙示 "The Apocalypse"」
Jon Anderson; themes by Bill Bruford, Howe, Chris Squire
3. 「シベリアン・カートゥル」
"Siberian Khatru" 8:57
Jon Anderson; themes by Howe, Rick Wakeman
1曲目の「危機(Close To The Edge)」は、YESのみならず、プログレッシブロックを代表する超名曲。
小鳥のさえずり声や小川のせせらぎ音などのSEで始まる同曲は、4つの章からなる組曲形式と
言われるが、繋ぎが自然なので一気に聴けてしまう。アナログLP時代はA面1曲だった。
18分を超える大作。
イントロのSEの後、全楽器が好き勝手に演奏する展開、一瞬だけ挿し込まれるコーラス。
やっと統合性を取り戻し、楽曲をリードするギターのリフ。
レゲエみたいなラインさえ奏でるベース。どこの国の音楽だ?楽園か?違う星か?
そこに「天使の声を持つ」ジョン・アンダーソン登場。
ユートピア思想の持ち主ジョンさんの詩は、「崇高で壮大で哲学的」らしいが、対訳読んでも意味は分からないし、たぶん英語圏のリスナーも意味不明だろう。
私は色彩豊かで崇高な曲の雰囲気と一緒に感動したし、それが正しいYESファンの「聴く姿勢」ってもんだ。
圧巻は中間部。
アンダーソンが「I Get Up, I Get Down」と澄んだ声で歌い上げ、荘厳なチャーチ・オルガンが鳴り響き、(アナログ)ムーグ・シンセの重低音からのアップダウン、そこから続くシンセソロからハモンド・オルガンのソロ。
そこからバンド全体が終盤を盛り上げ、ジョン・アンダーソンが終章を歌い上げ、感動のクライマックスへ登りつめるカタルシスは奇跡のようだ。
そして、再び小鳥のさえずり声や小川のせせらぎ音の中で曲はエンディングを迎える。
とんでもない曲だ。
3分ポップに比べれば難解と言えば難解だが、18分で100年分の物語を昇華させてるとも言える。
音質も72年という時代を考えれば、とんでもなく良い。
プロデュースはイエス、エディ・オフォードの共同作業。
オフォードさんは 、サウンドエンジニアとしても相当イイ仕事をされている。
「危機」という曲に関しては、現代でも再現不可能だろうな。
まず、中間部のシンセ重低音がデジタルシンセじゃ物足りない。ライヴでは腹に来るくらい重低音じゃないと感動できなそうだし。
キーボードソロやシンセソロも相当に多重録音してるから、歴代キーボーディスト(ケイ、ウェイクマン、モラーツ他)が総顔合わせして弾かないとスタジオ・ヴァージョンの再現は無理だろう。
全盛時のライヴでもギターにサポートしてもらってたしなぁ。
なんとか、生きてるうちに「危機再現コンサート」とか見たいものだ。
なお、
LPのB面にあたる「同志」「シベリアン・カートゥル」も相当の佳作で。
アコースティックな「同志」と対照的な「シベリアン・カートゥル」は当時のコンサートのオープニングを飾ったカラフルな滑走ソング。
いずれも多くのファンがイエスの代表作に選ぶ定番曲だ。
結局「危機」というアルバムは
各メンバー、バンドそのものが加速度的に成長して行った結果完成した奇跡的名盤であり、時代を超えた芸術作品と言って良いだろう。
「もうこれ以上の作品は作れない」とばかりに本作の発表直後に脱退したドラムのビル・ブラッフォードは、他のメンバーに相当悪く思われたようだが、これだけの傑作作ったら後が苦しいと思うのも当然だしねぇ。
なお、「危機」は全3曲という大作LPでありながら、(前作「こわれもの」の高評価もあり)予約だけでゴールド・ディスクになったアルバムでもあった。
チャートの最高順位は、アメリカで3位、イギリスで4位。
芸術作品でありながら商業的にも大成功を収めた・・・凄い時代ですなぁ。
「危機」は最初のCD化に続き、リマスター盤も何度か発売されているが
音質も向上していると言うし、私もそろそろリマスター盤を購入するかな。
「やっぱ凄げぇ!」と感嘆したワタクシ。
特に「同志」なんてアコースティックギターやメロトロンの音色再現という意味じゃ、全盛の
70年代コンサートより良く出来てるんじゃないか・・・なんて感じ入った。
それからは同曲が収録されているアルバム「危機」を良く聴いている。
『危機』は
プログレッシブ・ロックバンド=イエス5作目のスタジオ・アルバムで
リリースされたのは1972年9月13日だが、
録音されたのが1972年4月~6月と、ちょうど40年前の今頃
前々作「ジ・イエス・アルバム(サード)」で作り上げたプログレッシヴな曲調を
前作「こわれもの」(1971年)で更に発展させ、もうどこの国の曲だか分からない表題曲を詰め込み
LP両面で3曲という大作主義を完成したとんでもないアルバムである。
合計の収録時間は、37:47。
黄金期と言われた、この当時のメンバーは
ジョン・アンダーソン(Vo)、スティーヴ・ハウ(G)、クリス・スクワイア(B)、リック・ウェイクマン(Key)、ビル・ブラッフォードの5人(D)。
A面
1. 「危機」
"Close To The Edge" 18:50
i) 着実な改革 "The Solid Time Of Change"
ii) 全体保持(トータル・マス・リテイン) "Total Mass Retain"
iii) 盛衰 "I Get Up, I Get Down"
iv) 人の四季 "Seasons Of Man"
Jon Anderson, Steve Howe
B面
2. 「同志」
"And You And I" 10:09
i) 人生の絆 "Cord Of Life"
ii) 失墜 "Eclipse"
iii) 牧師と教師 "The Preacher The Teacher"
iv) 黙示 "The Apocalypse"」
Jon Anderson; themes by Bill Bruford, Howe, Chris Squire
3. 「シベリアン・カートゥル」
"Siberian Khatru" 8:57
Jon Anderson; themes by Howe, Rick Wakeman
1曲目の「危機(Close To The Edge)」は、YESのみならず、プログレッシブロックを代表する超名曲。
小鳥のさえずり声や小川のせせらぎ音などのSEで始まる同曲は、4つの章からなる組曲形式と
言われるが、繋ぎが自然なので一気に聴けてしまう。アナログLP時代はA面1曲だった。
18分を超える大作。
イントロのSEの後、全楽器が好き勝手に演奏する展開、一瞬だけ挿し込まれるコーラス。
やっと統合性を取り戻し、楽曲をリードするギターのリフ。
レゲエみたいなラインさえ奏でるベース。どこの国の音楽だ?楽園か?違う星か?
そこに「天使の声を持つ」ジョン・アンダーソン登場。
ユートピア思想の持ち主ジョンさんの詩は、「崇高で壮大で哲学的」らしいが、対訳読んでも意味は分からないし、たぶん英語圏のリスナーも意味不明だろう。
私は色彩豊かで崇高な曲の雰囲気と一緒に感動したし、それが正しいYESファンの「聴く姿勢」ってもんだ。
圧巻は中間部。
アンダーソンが「I Get Up, I Get Down」と澄んだ声で歌い上げ、荘厳なチャーチ・オルガンが鳴り響き、(アナログ)ムーグ・シンセの重低音からのアップダウン、そこから続くシンセソロからハモンド・オルガンのソロ。
そこからバンド全体が終盤を盛り上げ、ジョン・アンダーソンが終章を歌い上げ、感動のクライマックスへ登りつめるカタルシスは奇跡のようだ。
そして、再び小鳥のさえずり声や小川のせせらぎ音の中で曲はエンディングを迎える。
とんでもない曲だ。
3分ポップに比べれば難解と言えば難解だが、18分で100年分の物語を昇華させてるとも言える。
音質も72年という時代を考えれば、とんでもなく良い。
プロデュースはイエス、エディ・オフォードの共同作業。
オフォードさんは 、サウンドエンジニアとしても相当イイ仕事をされている。
「危機」という曲に関しては、現代でも再現不可能だろうな。
まず、中間部のシンセ重低音がデジタルシンセじゃ物足りない。ライヴでは腹に来るくらい重低音じゃないと感動できなそうだし。
キーボードソロやシンセソロも相当に多重録音してるから、歴代キーボーディスト(ケイ、ウェイクマン、モラーツ他)が総顔合わせして弾かないとスタジオ・ヴァージョンの再現は無理だろう。
全盛時のライヴでもギターにサポートしてもらってたしなぁ。
なんとか、生きてるうちに「危機再現コンサート」とか見たいものだ。
なお、
LPのB面にあたる「同志」「シベリアン・カートゥル」も相当の佳作で。
アコースティックな「同志」と対照的な「シベリアン・カートゥル」は当時のコンサートのオープニングを飾ったカラフルな滑走ソング。
いずれも多くのファンがイエスの代表作に選ぶ定番曲だ。
結局「危機」というアルバムは
各メンバー、バンドそのものが加速度的に成長して行った結果完成した奇跡的名盤であり、時代を超えた芸術作品と言って良いだろう。
「もうこれ以上の作品は作れない」とばかりに本作の発表直後に脱退したドラムのビル・ブラッフォードは、他のメンバーに相当悪く思われたようだが、これだけの傑作作ったら後が苦しいと思うのも当然だしねぇ。
なお、「危機」は全3曲という大作LPでありながら、(前作「こわれもの」の高評価もあり)予約だけでゴールド・ディスクになったアルバムでもあった。
チャートの最高順位は、アメリカで3位、イギリスで4位。
芸術作品でありながら商業的にも大成功を収めた・・・凄い時代ですなぁ。
「危機」は最初のCD化に続き、リマスター盤も何度か発売されているが
音質も向上していると言うし、私もそろそろリマスター盤を購入するかな。