あるBOX(改)

ボクシング、70年代ロック、ヲタ系、日々の出来事などをウダウダと・・・

ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレイターのアルバム復習「ワールド・レコード」

2012年06月29日 | ライヴ
VDGGの76年発表の7作目。
「World Record」

次のアルバムでメンバー交代して曲の雰囲気も変わるので
再結成VDGG3部作の最後のアルバムと言える。

今作では、録音が自然すぎるくらい自然。
ピーター・ハミルのヴォーカルも「生歌」的で、目の前で歌われているような印象を受ける。

各楽器の音色も自然・・・というか普通に録ってミックスしたような音。
ハモンドも、いかにもハモンド・サウンド。
シンセというか、キーボードの音は面白い。
ZAPPAさんの「ピーチェズ...」みたいな音色も時おり飛び出す。

ドラムも普通の音。スネアとバスドラがしっかり録られたサウンドだな。
ギターも普通のディストーション・サウンドが聴かれる。逆に新鮮だ。
全体的に、普通のロックバンド的な音作りがなされているが、
これが、また逆にVDGGの突出した個性を浮き彫りにした結果になってて面白い。



1曲目「When She Comes」
試し弾きのようなオープニングにワクワク。
シンセっぽい響きに「このアルバムはシンセサイザー大胆導入かな?」と期待。
ただし、そこから演奏と歌が始まれば、もうVDGG節。
サビの曲調が明るめで、背景で高らかに鳴るキーボードのメロディが素晴らしい。

2曲目「A Place To Survive」は、ある意味でVDGG異色曲。
シンプルなドラムのイントロ、キーボードが奏でるリフ。これがアンディ・フレイザーが考えそうなアレンジで
「VDGGがフリーみたいな楽曲を演ってるじゃないか!」と私は驚愕。

歌に入ればハミルの呟きヴォーカル。
サビではVDGG節。印象的な装飾メロディも素晴らしい。

3曲目「Masks」
悠々としたサックスで始まり、ハミルも同様に歌う。
ギターのディストーションだろうか、歌に張り付くノイズのような効果が面白い。
相変わらず捨て曲が無いな、VDGGは。

4曲目「Meurglys III (The Songwriters Guild)」
お、久々に教会音楽風のオルガン?
・・・と思ったら、不協和音に突入。ハミルさんの歌を挟んでハミルさんのギター・ソロ。
これが味あって素敵だ。メロディも、音色も!
井上尭之バンド時代の尭之さんのようでグッと来ますな。

テクの応酬は無いが、サックスとオルガンも演奏で参戦。最後はインストからレゲエのリズムでフェイドアウト。

5曲目「Wondering」
フルートで始まるVDGG得意パターンの曲。
シンセが使われており、聴きようによっちゃツェッぺリンの「イン・スルー・ジ・アウトドア」のような雰囲気も感じる。
それでも終盤はキーボードが教会音楽的に天空を舞い、コーラスも荘厳に重ねられ、タイトル名を連呼しながらフェイドアウトしていく。



劇的に曲調を変えてエンディングに持っていかないのが「親しみやすいVDGG完成」ってワケなのか・・・。

色んな意味で、音色に同時代性が感じられるアルバム。

充実作でありながら
VDGGの70年代が終わった事を示す作品かも知れない。