あるBOX(改)

ボクシング、70年代ロック、ヲタ系、日々の出来事などをウダウダと・・・

本日、佐藤洋太の海外防衛戦

2013年05月03日 | ボクシング
ボクシングWBC世界スーパーフライ級タイトルマッチが、本日5/3タイのシーサケットで行われる。

王者・佐藤洋太(協栄)は3度目の防衛を目指す。
シーサケット・ソールンビサイ(タイ)はホームタウンでの奪取を狙う。

王者は「敵地でも、やることは一緒。自分のボクシングをすれば、結果はおのずと付いてくる」と自信を示し、
「敵地だからと意識すると逆効果」と言わんばかりにマイペース発言。

相手は18勝のうち17KOと高いKO率を誇る。
過去にタイで実施された世界戦で日本選手の勝率は限りなく低い。
ユーリ・アルバチャコフはKOで勝ったが、彼はアマチュアでも豊富なキャリアがあったし、なにより日本ジム所属の世界王者ではピカイチの実力者だった。

そんな中、
協栄ジムの金平桂一郎会長は「佐藤には過去の数字は関係ない。力の差はあるし、必ずやってくれる」と、佐藤への信頼を語り

佐藤も「相手はスピードがそんなに無いし、総合的なレベルは自分が上。普通に行って、普通に勝ってきます」と自然体で試合する事を表明。

KOを狙わずに制空権争いで優り、得意の長い右を打ち込めば、おのずとダウンシーンは訪れると思う。
「徳山vs曹」第二戦のような展開に期待。

または、アウトボックスしてワンサイドの判定勝利・・・とか。

先日、モナコで行われた「ゴロフキンvs石田」の試合、リング上では歴代の世界王者が紹介されたが
マービン・ハグラーら名王者にならび、南アの「ブライアン・ミッチェル」が紹介されていた。

抜群のパンチ力がある訳でも、スピードが物凄い訳でもなかったが、海外で普通に防衛を続けた元WBA・IBFのJライト級世界王者。

実際は南アのアパルトヘイト政策の影響で自国の興行が成り立たず、海外防衛するしかなかったのだが、それでも1987~1991年に掛けて世界王座を12度守った白人選手だ。

※徳山昌守が北朝鮮国籍であることから、「日本開催の防衛戦では相手が
  チケットを売ってくれる日本人相手の興行じゃないと成り立たない」
  ・・・なんて聞いて「じゃあ、ブライアン・ミッチェルみたいに
  海外で転戦すればイイじゃん」なんて思ったのも懐かしい思い出です。

守りが上手く、不思議な距離感で相手のパンチを食わないところが、
ミッチェルが海外でも守れる秘訣だったと思うが、それは佐藤洋太にも通じるのでは?

精神的にもマイペースだし、変なリキみなさそうだし、あんがいアッサリ勝ってくれそうな気もします。

TVは、残念ながら地上波なしだが
BSジャパンで18:55~19:55で放送してくれる。

楽しみです。

Pink Floyd 「The Story of "Wish You Were Here"」DVD

2013年05月03日 | 英国ロック
ストーム・ソーガソン氏の訃報で色々と思い出した。

昔なんて情報なんて無かったし、「ヒプノシス」は私のとっちゃ匿名性ある芸術集団だったよなぁ・・・とか。
一人一人の名前なんて知らなかったよなぁ・・・とか。

ネットで調べられる環境になってから
「ヒプノシスは、ストーム・ソーガソン(Storm Thorgerson)とオーブリー・ポー・パウエル(Aubrey“Po" Powell)を中心としたアートデザイン集団。ロックの歴史的名盤に多数のアートワークを提供し、更にポスターや写真、書籍の装丁なども幅広く手がけてた。画像処理のコンピュータ化に対応するためピーター・クリストファーソンも加え3人体制になった」
・・・とか知った。

ソーガソン氏がコンセプト担当、オーブリー・パウエル氏がフォトを担当・・・なんて情報もあるが
どれくらい分担していたかは分からない。
クリストファーソン氏も、70年代ピンク・フロイドの「CGやエアブラシでの修正いっさい無し」というアルバム・ジャケットにもクレジットされてると言うし・・・。

ああ、やはり「ヒプノシス」といえば、フロイドの話題になっちゃうね。

4本煙突が有名で、The Whoの「4重人格」内ジャケにも登場したロンドン市内のバタシー火力発電所を撮った「アニマルズ」のジャケットも



上空を飛んでいる余りに有名な「ピンクのブタ」は、風船状に膨らませ、実際に浮かべて撮影されたんだそうな。

「“炎”あなたがここにいてほしい」の燃える男も、実際に映画スタジオ倉庫の一角でスタントマンに火を放って撮影されたそうな。



ただし、急な突風で顔を炎に煽られたスタントマン氏は、反射的にその場を離れ
「“不在”がテーマのアルバムで不在のシーンが撮れた。最高だ」と撮影していたオーブリー・パウエル氏が語る事になった。

「シャッターを押し続けたさ。良い写真を撮るので必死だったからね。スタントマン氏の身体なんて気にもしなかったさ」・・・なんて非道い事を仰っている映像は、
「Pink Floyd The Story of "Wish You Were Here"DVD」に収録されている。



当然、フロイドの新旧メンバーも大いに語ってるし、
在りし日のシド・バレットの動く映像もある。
「炎」レコーディング中にスタジオに現れて、全員を唖然とさせる程に変わり果てたパレット氏のフォトも紹介されている。

レコーディング・スタッフの証言、当時スタジオに入り浸っていたロイ・ハーパーの印象深いコメントもあった。
※「葉巻はいかが」を彼が歌ってるなんて知らなかったよ!

私はWOWOW放送版で見たが、字幕も有り難く、感慨深い視聴となった。



ブルーレイでも発売された「Pink Floyd The Story of "Wish You Were Here"」。
プロモーション動画でもストーム・ソーガソン氏のコメント・シーンがある。

まさに、様々な角度からの「名盤メイキング映像」だ。
前作「狂気」で異常な程の成功を収めたことは、ミュージシャンに大きな重圧を与えていた。
※当時、日本の洋楽誌には
 「フロイドの次回作は従来の楽器を一切使わず録音されているらしい」
 「たとえばゴムを弾く音など」・・・といった記事まであった

そのうえ、ジャケット製作者をも悩ませていた。
「狂気」は、ジャケット・ワーク(内側のピラミッド画像も含む)までがコンセプトの一部となったトータルアートとして高い評価を得ていた。



その「狂気」に匹敵するジャケット制作の難しさを語っているのが、ストーム・ソーガソン氏だ。

「私はドローングが出来ないからファンタジー系は無理」
「ペイントも出来ないからアート系もアウト」
「グラフィック・デザイナーでも無い」
「バンドメンバーを撮した写真なんて、つまらない」
「4人が写ってるジャケットなんて、どこにでもあるだろう」

「私の使命はバンドの代弁者になること」
「それをジャケットで表現すること」

・・・そんな言葉が口をつく。

すばらしい宣言!

そして、そんなに自分を「無い無い尽くし」と思っていたのか・・・と驚いた。
だからこそ、「これしかない」と思ったからこそ、写真の構図アイデアに徹底的な探求が成されたのだろう・・・なんて考えさせられた。

そして
アルバム「炎」のテーマは不在。

「ここにいてほしい人が居ない」事。



そして当時プロイド周辺での流行語「焼かれる」。
「業界に焼かれちまうぜ」

内ジャケットの写真も凄いのが撮れている。
ソーガソン氏の奇跡を起こす神通力は健在だったか。



ロケーション現場はモノ湖。
オーブリー・ポー氏が見つけてきたとの事。

アメリカのカリフォルニア州モノ郡にある、非常に塩分濃度の高い塩湖だそうで。
少なくとも75万年前に形成された北米大陸で最も古い湖の一つとか。
水が流れ出すこともない構造から塩分は溜まり、実に神秘的で美しい景色と表情を見せてくれる湖・・・と。

ここでも、“実際に”潜ってもらって撮影したとか。
CGなし、エアブラシの訂正なし。
奇跡のような湖面。奇跡のような青空。



そして「ようこそマシーンへ」を表現したような黒ビニジャケットのデザイン。

これを被せて発売し、ビニールを破って初めて中身と遭遇できるアイディアは、当然レコード会社の大反対にあったそうだが。
(日本盤は当然「燃える男」ジャケ)

「購入者の中にはカバーを破らずに中身を見たことが無い人もいる」
「まさに、これこそが不在!」

そう言うソーガソン氏の嬉しそうな事よ!



そして
黄金の70年代を経て、ヒプノシスは83年に解散。

メンバーの一人、ピーター・クリストファーソンはディレクターとしてイエスの「ロンリー・ハート」やヴァン・ヘイレンのミュージック・ビデオをプロデュースし、多くの作品を制作する映像作家となったが、

2010年11月24日、タイ・バンコクの自宅で睡眠中に死亡。享年55才の若さだった。

そして今回、ストーム・ソーガソン氏も亡くなり
改めて一つの時代が終わった気がする。



昨年のロンドン五輪では、
オープニング映像でバタシー発電所上空を飛ぶピンクの豚の姿があったり。
閉会式では綱渡りのゴールで待つ男が「炎」に包まれたり、
至るところでヒプノシスへのリスペクトが感じられた。

長い闘病だったというストーム氏、病床で喜んでおられたのではなかろうか。

最後になったが
楽曲の数々も、オーソドックスで内省的ながら普遍的なもので、私は大好きです。

「狂ったダイヤモンド」のギターソロ、サックスソロも凄い。

ポール・ロジャースが「マディ・ウォーター・ブルーズ」でデイヴ・ギルモアを招き「スタンディング・アラウンド・クライング」のギターを任せた際、
そのギターソロの見事さに「こんなに素晴らしいブルース・ギタリストだったのか!」と改めて感銘を受けた・・・というのも納得のプレイだ。

ただ
ピンク・フロイドも、私は聴き込んでいないトコロあるからなぁ。
また、じっくり聴く機会を作らなきゃな。