あるBOX(改)

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ゴメスといえば・・・

2013年05月12日 | ボクシング
我々世代には、やっぱりKOキングのウィルフレド・ゴメス。

肩書きこそ、WBCのJフェザー級・フェザー級・WBAのJライト級王座を獲得した3階級制覇王者だが
Jフェザー(Sバンタム)級王者時代の17連続KO防衛、32戦連続KO勝利の記録が圧倒的に光る名選手です。

そのウィルフレド・ゴメス氏が重体に陥ったというニュースが公表されたのが、3月の27日。

4月になってWBCのスポークスマンが「回復に向かっている」と発言したが、
一時は呼吸困難に陥ってサンフアンの病院に入院した事はファンにとってはショックな出来事だ。
ゴメス氏は、まだ56才。
我々からすると、第二の人生をエンジョイしてて欲しい年齢だ。

しかも、
肺に異常をきたしての入院。
担当医師の「向こう3日間、絶対安静」とのコメント。
家族や同医師が言うところの「現役時代、胸に受けた打撃の後遺症」との理由。
・・・なんとも、やるせない。

まぁ、最近の写真を見る限り
肥満の度合いも凄かったので、そちら方面で健康を心配はしていたのだが。
あの強かったゴメスがなぁ・・・。



特にWBCスーパー・バンタム級王者時代が圧巻で、
日本でのロイヤル小林戦(ゴメス22勝全KO1分、小林24勝21KO3敗という「最高の強打者対決」)、
異様な雰囲気の中で行われたカルロス・サラテとのKOキング対決(ゴメスのチャンスで大歓声、会場が地響き、カメラが揺れて受信不能・・・)、
ベガスで行われたサルバドール・サンチェス戦(2階級制覇を目指してFe級王者に挑戦)
バンタム級王者ルペ・ピントールとの壮絶すぎる打撃戦など、
忘れられない試合も多い。

アマチュアでも15歳でミュンヘン五輪出場(さすがに一回戦敗退)、プエルトリコ初の世界選手権(全試合KO)優勝など輝かしいキャリアを残した天才児。

プロ初戦こそ引き分けだったが、その後は全試合KOで世界王座を奪取。

2度目の防衛戦で来日した22歳の王者は、「KO仕掛け人」の異名を誇るロイヤル小林(国際)の挑戦を受けた。

ただし、元世界王者ロイヤルの実績を買う声も多く、
奪取試合で初回にダウンを喫し、小林戦を前にしたスパーで顎を骨折して一旦は試合を延期していたゴメスの記録を疑問視する声もあった。

しかし、結果はゴメスが天才的なカウンターで小林をKO。
決着がついた直後、TV解説の小林弘さんが発した「記録は本物でしたね」というコメントが、その辺の「空気」を表していると言えるでしょう。

まぁ、
相手セコンドが小林のバンデージの巻き方に異様にクレームを付け、何度も巻き直しをさせられた挑戦者はイラついて、試合開始直後からリキんで攻めてしまった・・・とか

実はゴメスは前夜40度近い発熱があり、ベストコンディションでは無かった・・・とか
色々と舞台裏があったようですが

小林に勝った直後のセコンドの異常な喜びように「実は小林の強打を恐れていた」事が伺えます。



Jフェザーでは無敵だったゴメスも、サンチェス戦で初黒星のTKO負け。
Feの壁に跳ね返された結果となったが、あとでビデオで見返したら
「ゴメスの右ストレートでサンチェスの身体にビクッと電気が走る」ようなシーンがあり、決して一方的じゃなかったんだなぁ・・・と思い直したりしたものです。

Jフェザー王者最晩年のピントール戦では、だいぶキレも無くなっていたが、それでも凄まじいパンチを応酬して1982年のベスト・ファイトを制した。本当に凄い打ち合いだった・・・。
※ただし、ピンチの時に見せた肘打ち連発はいただけない。
 それもゴメスの「負けん気」の表れなんだろうが・・・

悲願のFe級奪取試合で判定勝ち。連続KO記録は途切れたが、相手が超タフガイのファン・ラポルテだから仕方ない・・・か。



そして、防衛戦で迎えたのが「野生児」アズマー・ネルソン(ガーナ)。
「キャリア不足」と言われながらサルバドール・サンチェスに挑戦しながら、驚異の大善戦。「将来の世界王者」と識者に言わしめた素材が、キャリアを積み直して挑んできたのだ。

「緻密さに陰りが見え始めたゴメス危うし」の声を跳ね返す事ができず、ネルソンの右ストレートで仰向けに倒れたゴメスに「時代の終焉」を感じたファンも多かったが
ゴメスは現役を続けた。

「現役時代に胸を打たれたダメージ」を
今回、重体となった原因とするならば、ここらで無理をしてしまった影響だと感じてしまう。
(ネルソン戦でも王者のプライドを示し、ピンチでも耐えに耐えていた・・・)

WBAのJライト級王者ロッキー・ロックリッジに挑み、劣勢に見えたがジャッジは名選手ゴメスの勝利を支持。
ゴメスは3階級制覇達成となったが、もう並の王者でしか無かった。

「目で躱す選手の勘が衰えると厳しい」といわれる典型のような姿・・・。
アルフレド・ライネ戦では全盛時とは程遠い出来で被弾を重ね、これまた無残なKO負け。
なかなかレフェリーがストップせず、ゴメスは無用のダメージを重ねていた。

人気選手・実績ある選手がピンチでもレフェリーが静観し、倒れなかったら判定勝ち・・・みたいなケースも多々あるが
それは逆に選手の健康を害する事になるのではないか?

そんな事を再度考えさせられた「ゴメス氏、重体」のニュースでした。