あるBOX(改)

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「この世界の片隅に」生コメンタリー付き特別上映会の余韻(3)

2017年09月29日 | アニメ・特撮
「この世界の片隅に」生コメンタリー付き特別上映会の余韻(2)で
後半は感情の赴くままに書きなぐってしまい、なかなか恥ずかしい
思いをしている今日この頃のワタクシですが。



※打ち切りになった漫画や、廃刊になった雑誌、地味でチャンスが
 訪れなかったボクサー、国内版BOXが出ず伝記本の日本語翻訳も
 大手出版社から出なかったブルース・ロックバンド…。

 しまいにゃニューウェーブ・ブームで軒並み録音済みの作品が
 お蔵入りになったプログレバンドの事などが頭に浮かび、つい
 冷静さを失ってしまったのです…。



さてさて、その「この世界の片隅に」生コメンタリー付き特別上映会
IN立川ですが

階級章から戦艦の艦体から蒸気機関車から街並みから建物、河川や
山嶺の位置・方向などなど、片渕監督のコダワリが並々ならぬ事が
改めて分かりました。



そして、本人はいたって「それが当たり前」のような体で、他からは
「大変」に見えることも、当人からしたら寧ろ楽し気な様子ゆえ

「やっぱりこの人は円谷英二や冨田勲といった創作界の巨人に通じる
心を持った人物だ」…と、感じ入った次第なのです。



特撮の神様と言われた円谷監督。

ゴジラやウルトラマンシリーズで街並みを再現し、怪獣に破壊させ、
ウルトラセブンでは山林の戦いで「小さな木を植えて、森を再現さ
せて戦いの場とした人物。

※例え直に特撮を担当しなくても存命中「円谷プロ」の名が冠された
 作品には氏のスピリットが生きていた。



敵がウルトラセブンに光線を撃つ。セブンが避ける。
光線が当たった樹木が燃える…。
そのシーンが恐ろしい緻密さで映し出される。

子供でも度肝抜かされた。
「週一の番組でここまでやるのか!?」「大丈夫なのか!?」…と。

ただし、円谷監督は「平然と」緻密かつダイナミックな映像を作り
上げていた。当然のように。

※反面、ダリーみたいに「これってドライアイスと風船じゃん!」と
 思った回もありましたが…


そして、音の魔術師とも言われた冨田勲。
取説なしのシンセサイザーから手探りで音を作り上げ、全サウンドを
シンセで作り上げた曲で日本人初のグラミー候補となった人物。

遺作となったDr.コッペリウスのパンフレットで私が一番泣いたのは
弟子と言われた松武秀樹氏の言葉。



オーケストラ曲を再現するにしても、あちらの楽器は箱の中に残音が
ある。それを普通にシンセでやったらブツ切りの音になる。

残音を再現するには、例えば16分音符が並ぶフレーズがあるとして、
奇数と偶数の別々のチャンネルで録り、合わせて鳴らすと箱鳴りに
近い音が出せる…と。

それを聞いた松武氏は思わず、「先生そんな面倒くさい事をしてるん
ですか!?」と言ってしまったそうだ。
※後に「4人目のYMO」と言われた男が…です。

それに対して世界のトミタは「何を言ってるんだ松武くん、これ位の
事はやらないと、あんな音は出せないんだよ」と説諭したんだそうな。



実際やると全く音が違う。

松武氏は猛反省し、独自の方法を考えてそれを徹底的に練り上げ、妥協
しない師の姿勢に深く感銘を受けたという。

「先生と呼ばれる人は世にたくさんいるけれど、僕の場合、先生は冨田
先生だけです」

・・・・泣きましたよ!!



私なんて・・・何かっちゅうと「先生」「先生」。

冨田先生、宙明先生、伊福部先生、手塚先生、ロジャース先生、ZAPPA先生、
談志師匠…。

直に教わってもいないくせに先生と師匠だらけですよ。

※でも尊敬の現れなんです。
 本当の弟子の皆さん、許してください!


そして、片渕須直監督。
私が尊敬する異能の2人、円谷監督と冨田先生に通じる人物。

舞台挨拶に行くたびに、トークショーで話を聴くたびに、ご本人が
「当たり前」と思っていながら凄まじい拘りを作品作りに込めてる
事に驚愕するのです。



おそらく、今後も片渕監督の舞台挨拶やトークショーの機会があれば
私は現場に出向く努力をするでしょう。

※練馬アニメカーニバルは抽選当確待ちですが…。

なんとか機会を作って話を聞きたいですねぇ。