灯りのない建物がまた一つ。
天野理容室
所在地:千代田区神田小川町1-11
建設年:1928(昭和3)
Photo 2007.11.21
20時少し前、JR神田駅から神保町へ向かって急ぎつつ、だがフラフラと裏通りを歩いていると、マンサード屋根の天野理容室の前を通りかかった。ふと見ると、灯りがない。あれ、ここのご主人ってここに住んでないのかなぁ、通いなのかしら?、と思いつつ、通り過ぎそうになった。だが次の瞬間、視界の端に、扉わきのガラスに貼られた一枚の紙に気づいた。いやな予感。恐る恐る近づいて読んでみると・・・。
「お知らせ ビル建設のため十月三十一日をもって閉店する事になりました
長い間、御来店いただきまして 誠に有難う御座居ました 厚くお礼申し上げます」
ううう。また解体直前物件に遭遇してしまった。近くには解体のお知らせ看板もあった。木造2階6棟を解体とあるので、右隣と後方の木造建物全てが解体されるのだろう。あたりを見回すと、周辺の木造建物にも灯りが点いていない。新しいビルの着工は来年春のようなので、恐らく今年中か、来年早々にまとめて解体されるのではないかと思われる。
Photo 2005.3.25
小川町周辺にはマンサード屋根の木造2階(屋根裏3階)建物が点在しているが、気が付くと次第に数が減っている。上京した頃はもっとたくさんの看板建築が建ち並んでいたので、さほど重要だとは思わなかった。だが、ツルッとして無表情なビルがいつのまにか増え、それが大半になってしまうと、看板建築などの古い建物は昔の街並みを想起させる数少ないものになり、希少性が増してくる。これ以上看板建築が減ると、戦災で焼失しなかった神田周辺の昔の街のイメージは、ほとんど失われてしまうような気がする。なんとも残念だ。
Tokyo Lost Architecture
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