都市徘徊blog

徒然まちあるき日記

H邸

2017-01-25 | 文京区  
H邸
所在地:文京区根津1-22
建設年:?
構造・階数:木造・3F
備考 :2012年頃に解体
Photo 2011.2.9

 不忍通りから根津神社へ向かう新坂(S坂)の一つ南側の路地、根津の木造モルタル看板建築長屋の奥に建っていた住宅。もともと2階建てだったものに3階を増築したらしいもの。ただ、なんだか妙な建物だった。

 路地に面していたが、建物は若干後退して建てられており、前面に塀が巡らされ、門があり、入母屋の玄関があった。もう一つ妙なのは、2階屋根の軒先が洋風に仕上げられていたこと。

Photo 2010.1.10

 正面から見上げると、軒裏が斜めに、わずかにカーブを描いてモルタル塗りで仕上げられている。他の部分はなんてことはない普通のモルタル塗りの和風家屋なのだが、そこだけちょっとおしゃれ系。しかも表通りではなく裏通りに佇んでいる。

 実はこのあたりは明治初期においては根津遊廓があった場所。でもまさか元遊廓建築ということはあるまい。根津遊廓は明治中期にはもうなくなっている。確かにこのあたりは戦災には遭っていないが、モルタル塗りのこのようなちょっとした洋風家屋で明治初期ということはまず無いだろう。

 しかしそれでもやはりこの家の構えは妙だ。明治の頃の遊廓ということはなくても、昭和初期か戦後早い時期に建てられたお座敷、という可能性はあるかもしれない。

 通るたびに住人がいないか気になっていて、もし見掛けたらちょっと尋ねたかったのだが、最後まで住人に会うことはなく、そうこうする内に周辺も含めてマンションに建て替えられてしまい、そのあたりの事情は分からずじまいになったのだった。

路地の民家/根津1丁目 - ぼくの近代建築コレクション

Tokyo Lost Architecture
#失われた建物 文京区  #住宅系  ブログ内タグ一覧
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする