日本長期信用銀行本店ビル(新生銀行本店ビル)
所在地:千代田区 内幸町2-1
建築年:1993(平成5)
構造 :S+SRC
階数 :22F+B5F
高さ :130m
設計 :日建設計
備考 :2013.9〜解体
Photo 2007.1.28
日比谷公園の南側にあった独特な高層ビル。巨大なT字型の立面をした珍しい形のオフィスビルだった。なぜそのような形にしたかったのかは知らず。ぱっと見では奇妙な形だとはあまり気付かないかもしれないが、よく見るとかなりアクロバティックな形状なのが分かる。
建物は前側に大きく突き出している。単純で小さな庇などではなく、上に居室があって重量が掛かる場合や、片持ちの張り出しが大きい場合は、柱寄り(根元側)の厚みを厚くしたり、下から斜材で支えたり、上から斜材やワイヤーで吊ったりして支える。この建物の場合は壁面に見える三角形の部分に斜材が入っていたのだろう。張り出し部分の大半はそれでもって下から支えられ、また上からも半ば吊られるような形になっていた。下側の三角形の部分より下の、ガラス張りのスペースは上部の片持梁から吊された構造だった。
Photo 2007.1.28
実は、上写真の時点では既に日本長期信用銀行(長銀)本店ビルではなくなっており、新生銀行本店ビルになっていた。
建物が設計・建設されたのは、バブル経済末期から破綻の頃。バブルの勢いに乗って、派手目な超高層オフィスビルとして企画されたわけで、超高層でもこんなアクロバティックな建物を造れますよという見本のようになっていたのだろう。しかし、完成直後あたりから経営不安が囁かれるような状況になっていたそうで、完成後5年で長銀が破綻してしまったのはなんとも皮肉なことだ。
Photo 2011.9.7
巨大な片持梁構造の下の部分は、これまた巨大なガラス張りのアトリウムになっていた。これも外から見るとガラス面が連続するような形で、窓枠が無いかのような造りになっていた。内側の柱梁の外側にガラスを固定する当時としては新しい仕組みで、かつ巨大だったのが目新しかったように記憶している。
新生銀行本店ビル - Wikipedia
日本長期信用銀行(長銀)はこの建物を本店としてから5年後の1998(平成10)に破綻。2000(平成12)に新生銀行となり、この建物も新生銀行本店ビルとなった。そして、2010(平成22)に新生銀行が移転してからは空きビルとなっていた。従って上の2011年の写真は空きビルだった時代のもの。
Photo 2014.4.6
2013(平成25)年9月から解体が始まったそうなので、上写真はそれから半年ほど経った頃のもの。高さが100mを超える超高層ビルだったが、売却された後、竣工から20年であっさり解体されてしまった。この後、同所には日比谷パークフロントというオフィスビルが2017(平成29)に竣工している。
Tokyo Lost Architecture
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