’08/01/23の朝刊記事から
北朝鮮 異例の沈黙
韓国新政権の政策注視
実務協議も延期通告
【ソウル22日井田哲一】昨年11月19日の韓国大統領選から1カ月が過ぎたが、北朝鮮は、李明博(イミョンバク)次期大統領について、異例とも言える長期の沈黙を続けている。南北の経済協力事業を話し合う実務協議も北朝鮮側の要請で延期されており、北朝鮮は、統一省の解体などを掲げる李新政権の対北朝鮮政策について見極める姿勢を強めている。
北朝鮮は今月5日の労働新聞で「南朝鮮で誰が執権(政権獲得)しようと、われわれには関係ない」と、間接的に大統領選に触れたが、李次期大統領についての報道は一切行っていない。1997年や2002年の大統領選では、2-3日後には報道で当選者について言及していた。
また、22日に北朝鮮の開城で開催予定だった南北鉄道協力分科委員会の初会合について、北朝鮮は21日、「年初で準備があるので少し延ばそう」と韓国統一省に対して突然延期を通告した。同会合は、南北間の経済協力を話し合う今年最初の実務協議だった。
有力紙の東亜日報は、2月25日の新政権発足まで予定されていたさまざまな南北協議についても「北朝鮮は盧武鉉(ノムヒョン)現政権での会談は無意味だと判断し、延期される可能性が高まった」と報じた。
李次期大統領は、北朝鮮への融和政策を担ってきた統一省を外交通商省に吸収統合するなど、対北朝鮮政策の見直しを進めている。このため、北朝鮮は「憂慮しつつ静観する姿勢」(ハンギョレ新聞)を示しているとの見方も出ている。
沈黙を続ける北朝鮮について、韓国政府の当局者は「北朝鮮は李新政権の対北朝鮮政策と6カ国協議の行方を注意深く見守っているためでは」と分析している。