’08/01/12の朝刊記事から
遭難男性12日ぶり下山 山形・福岡県境
先月30日に山形、福島両県境の吾妻連峰に入ったまま連絡が取れなくなっていた埼玉県羽生市の会社員中村雅之さん(55)が11日午後3時頃、福島県北塩原村のスキー場付近に自力で下山した。中村さんは同県会津若松市内の病院に搬送。両足に軽い凍傷があるが、会話はできる状態で命に別条はないという。入山から12日ぶり。当初の下山予定から9日が過ぎていた。
福島、山形両県警などによると、スキー場のパトロールをしていた駐車係の男性が道路を歩いている中村さんを発見。「私が遭難していた者です」と話した。
入山当初から予想以上の積雪のため予定通り進めず、今月3日に食料が尽き、4日に迷ったと思ったという。その後は雪や沢の水で空腹をしのぎ、塩などもなめた。救助した救急隊員によると、「風邪薬の中に栄養剤が入っているので少しずつなめた」とも話した。昼間に歩き、夕方の早めにテントを張っていた。携帯電話は持っておらず、コンパスも持っていなかった。ラジオで自分の捜索が行われているのは知っていたという。
中村さんの登山歴は25年で、正月に今回のルートを通るのは5回目。11日夜、病院で記者団の代表取材に応じた中村さんは「今回の状況はまったく違っていた。助かってうれしい。間違いなく駄目だと思っていた。冬山も夏山もやめる」と述べた。