普段はのんきな私ですが、「これだけは!」と発奮した思い出があります。
レッスンに行っていたらいつのまにか、先生がベタ誉めの新人が現れました。
「K大を出てるのよ。それも現役で合格したんですって。頭はいいし、美人だし、ふるいつきたくなる美声なのよ。本当は音大に入りたかったんだけどお父様が『生活できなかったら困る』と反対されて。ピアノやソルフェージは別に勉強してきたのよ」って。
「フーン・・・あのノーベル賞の大学をね、それはすごいことですね。」とのんきに構えていましたが、レッスンに行くたびに先生はその人をますます誉める・・・「天才だと思うのよ。曲は次回までには全部暗譜してくるし、それも24曲もある教則本(コンコーネなどではない、イタリアのガルチアなど)のどれも一週間で覚えてくるのよ。一冊全部をね」
ナンだか面白くありません。全然面白くない!!!
ノーベル大学、何するものぞ! 音大出身者、何負けてるんだ!
私だってその本買って(私は持っていない)次までに全曲暗譜してくるぞ、と決意を秘め、仕事や親の世話(当時は母が入院)の後、猛烈に勉強、もちろんその全24曲、それも半音階進行の羅列のをピアノで弾き、カセットに録音して最初から覚えたのです。
次のレッスンで先生はビックリ、「すごい事するのね」とは言うものの、「あの人ね、文化庁の試験受けさせるかどうか迷ってるの」と、またノーベル大の人の相談!
わたしゃ、相談員か!
完全に怒った私でしたが、そのノーベルさん、食事会で隣になった時、「ねえ、ワーグナーって・・・」と私に質問してきました。
(あんた、何言ってるのよ!トラヴィアタやルチアを歌うリリコ・レッジェーロがワーグナーですって!楽譜を暗記できたらナンでも歌えるんじゃないよッ!)といいたいのをグッと堪えて、「ワーグナーはね」と中途半端に説明してしまった私。
いつのまにか彼女は「魔笛」の夜の女王や「愛の妙薬」のヒロインをオペラで歌っていました。さらに最近「トリスタンとイゾルデ」をハイライトで歌っているではありませんか!もちろんイゾルデですぞ。
さらに「トゥーランドット」の姫のレパートリーを準備している、とか!
ノーベル大、ふざけんなよ!努力はわかるけれど、ナンでも努力でこなせるもんじゃないよ!・・・でもけっこう、世間って甘いんじゃないのかな、ガクレキに・・・。
彼女に年甲斐もなくひとりで「決闘」をしていた私も私だけど・・・。
あほらしい!ノーベル大も落ちたもんだ、と笑っていたらよかった。大人気ない!
後ほど彼女はルチアの二重唱で、女の魅力たっぷりに歌い、「美人はトクだな」と思ったけれど、あの媚びた表情はまるで「上流社会の乙女ルチア」ではない。色気がありすぎる!むむッ!私などにはない色気に溢れている!
そこでまた先生が褒め称えるので言った!「スコットは品があります。どんな時も毅然として歌っていますよ。それがプリマです!」と言ったら、先生は大納得、「そうね、あなたのいうとおり、プリマドンナはきりっとしていますよね」
あれから彼女の活躍は全国的で、ヨーロッパでも歌っているらしいですが、何もかも捨てて歌に打ち込んでいるのを、なぜか悲しく思うのです。
それは嫉妬でなく、自分の限界を超えているのに、大変なリスクを負いながら、声を潰してしまう、どうして彼女の相談にのれなかったのだろう、賢いってナンだろう、と。
また、私も彼女からたくさん学ぶチャンスを失ったのではないか、と後悔もあります。
レッスンに行っていたらいつのまにか、先生がベタ誉めの新人が現れました。
「K大を出てるのよ。それも現役で合格したんですって。頭はいいし、美人だし、ふるいつきたくなる美声なのよ。本当は音大に入りたかったんだけどお父様が『生活できなかったら困る』と反対されて。ピアノやソルフェージは別に勉強してきたのよ」って。
「フーン・・・あのノーベル賞の大学をね、それはすごいことですね。」とのんきに構えていましたが、レッスンに行くたびに先生はその人をますます誉める・・・「天才だと思うのよ。曲は次回までには全部暗譜してくるし、それも24曲もある教則本(コンコーネなどではない、イタリアのガルチアなど)のどれも一週間で覚えてくるのよ。一冊全部をね」
ナンだか面白くありません。全然面白くない!!!
ノーベル大学、何するものぞ! 音大出身者、何負けてるんだ!
私だってその本買って(私は持っていない)次までに全曲暗譜してくるぞ、と決意を秘め、仕事や親の世話(当時は母が入院)の後、猛烈に勉強、もちろんその全24曲、それも半音階進行の羅列のをピアノで弾き、カセットに録音して最初から覚えたのです。
次のレッスンで先生はビックリ、「すごい事するのね」とは言うものの、「あの人ね、文化庁の試験受けさせるかどうか迷ってるの」と、またノーベル大の人の相談!
わたしゃ、相談員か!
完全に怒った私でしたが、そのノーベルさん、食事会で隣になった時、「ねえ、ワーグナーって・・・」と私に質問してきました。
(あんた、何言ってるのよ!トラヴィアタやルチアを歌うリリコ・レッジェーロがワーグナーですって!楽譜を暗記できたらナンでも歌えるんじゃないよッ!)といいたいのをグッと堪えて、「ワーグナーはね」と中途半端に説明してしまった私。
いつのまにか彼女は「魔笛」の夜の女王や「愛の妙薬」のヒロインをオペラで歌っていました。さらに最近「トリスタンとイゾルデ」をハイライトで歌っているではありませんか!もちろんイゾルデですぞ。
さらに「トゥーランドット」の姫のレパートリーを準備している、とか!
ノーベル大、ふざけんなよ!努力はわかるけれど、ナンでも努力でこなせるもんじゃないよ!・・・でもけっこう、世間って甘いんじゃないのかな、ガクレキに・・・。
彼女に年甲斐もなくひとりで「決闘」をしていた私も私だけど・・・。
あほらしい!ノーベル大も落ちたもんだ、と笑っていたらよかった。大人気ない!
後ほど彼女はルチアの二重唱で、女の魅力たっぷりに歌い、「美人はトクだな」と思ったけれど、あの媚びた表情はまるで「上流社会の乙女ルチア」ではない。色気がありすぎる!むむッ!私などにはない色気に溢れている!
そこでまた先生が褒め称えるので言った!「スコットは品があります。どんな時も毅然として歌っていますよ。それがプリマです!」と言ったら、先生は大納得、「そうね、あなたのいうとおり、プリマドンナはきりっとしていますよね」
あれから彼女の活躍は全国的で、ヨーロッパでも歌っているらしいですが、何もかも捨てて歌に打ち込んでいるのを、なぜか悲しく思うのです。
それは嫉妬でなく、自分の限界を超えているのに、大変なリスクを負いながら、声を潰してしまう、どうして彼女の相談にのれなかったのだろう、賢いってナンだろう、と。
また、私も彼女からたくさん学ぶチャンスを失ったのではないか、と後悔もあります。