いよいよ「千秋楽」、ヴェルディの「レクイエム」、これは宗教音楽というよりオペラだ、と言う人が多い作品です。
指揮はカラヤン、ウイーンでの演奏で、カラヤンの「ヴェル・レク」といいますと、あの有名なスカラ・ライヴがあり、プライス、コッソット、パヴァロッティ、ギャウロフという豪華ソリスト、天下のスカラのオーケストラと合唱団、歴史的な名演奏としてDVDで楽しむことができます。
しかし、あのスカラ・ライヴはコッソットの完璧な声、若きパヴァロッティがまだきっちり歌っていた好ましい演奏、ギャウロフの深々とした美声、・・・それに比べ、ベルカントとはいいにくい独特のプライスの歌唱には、疑問が残っていました。
立派に歌っていて見事なのですが、これは「違う」としかいいようがありませんでした。 メットではこういうことは言われなかったでしょう。
好き嫌い、ではなくイタリアのベルカントではない、ということです。
そこで、カラヤンの「ヴェル・レク」ウイーンでの名演奏を、東京の声楽家ミー先生からご紹介があり、聴かせていただいたのです。
メッツオ・ソプラノのドミンゲスは偉大な声ですが、コッソットには及ばず、バスのモデスティはスケールの大きさの点でギャウロフに及ばない・・・
テノールのニコライ・ゲッダはパヴァロッティの持っていた声のみずみずしさもあり、より知的で、かつてのカルーソの演奏のようにスタイリッシュ。
感動のテノールと思います。
そして、ヴェルディ歌手として、声の美しさや技巧において、プライスとは次元の異なる「本格的なベルカント」を聴かせ、格別の上質さを堪能させるステッラの名唱です。
これは私が想像していた以上に、素晴らしい魅惑的な演奏だったのです。
当時25歳にして大家の演奏、彼女に匹敵するヴェルディソプラノなど考えられません。
すべすべしたビロードの声はあらゆる音域で、角度を変えたように多彩な輝きがあり、ヴェルディの音楽と演奏は全く一致していて、ヴェルディのインクの香りまでするような、作曲家が「こう歌ってほしい」といった演奏なのです。
そこにはステッラがいて、ステッラはいない、ヴェルディの音楽と溶け込んでいる素晴らしい演奏があるだけ・・・。
彼女の歌に迷いはなく、歌う前のブレスまで全部音楽を感じさせます。
ドミンゲスがその声の威力を示しても、天からヴェールをかぶせるようなピアニッシモで、またある時は圧倒的な展開で耳を奪います。
名画の聖母の姿を音楽そのものに具現した、そんな感動でした。
全曲が終わった時、ヴェル・レクの中に、アイーダやエリザベッタ、レオノーラ、オダベッラなどヴェルディのヒロインが思い浮かびます。
そして余韻を楽しみます。「満天の星空」を心に浮かべながら・・・
指揮はカラヤン、ウイーンでの演奏で、カラヤンの「ヴェル・レク」といいますと、あの有名なスカラ・ライヴがあり、プライス、コッソット、パヴァロッティ、ギャウロフという豪華ソリスト、天下のスカラのオーケストラと合唱団、歴史的な名演奏としてDVDで楽しむことができます。
しかし、あのスカラ・ライヴはコッソットの完璧な声、若きパヴァロッティがまだきっちり歌っていた好ましい演奏、ギャウロフの深々とした美声、・・・それに比べ、ベルカントとはいいにくい独特のプライスの歌唱には、疑問が残っていました。
立派に歌っていて見事なのですが、これは「違う」としかいいようがありませんでした。 メットではこういうことは言われなかったでしょう。
好き嫌い、ではなくイタリアのベルカントではない、ということです。
そこで、カラヤンの「ヴェル・レク」ウイーンでの名演奏を、東京の声楽家ミー先生からご紹介があり、聴かせていただいたのです。
メッツオ・ソプラノのドミンゲスは偉大な声ですが、コッソットには及ばず、バスのモデスティはスケールの大きさの点でギャウロフに及ばない・・・
テノールのニコライ・ゲッダはパヴァロッティの持っていた声のみずみずしさもあり、より知的で、かつてのカルーソの演奏のようにスタイリッシュ。
感動のテノールと思います。
そして、ヴェルディ歌手として、声の美しさや技巧において、プライスとは次元の異なる「本格的なベルカント」を聴かせ、格別の上質さを堪能させるステッラの名唱です。
これは私が想像していた以上に、素晴らしい魅惑的な演奏だったのです。
当時25歳にして大家の演奏、彼女に匹敵するヴェルディソプラノなど考えられません。
すべすべしたビロードの声はあらゆる音域で、角度を変えたように多彩な輝きがあり、ヴェルディの音楽と演奏は全く一致していて、ヴェルディのインクの香りまでするような、作曲家が「こう歌ってほしい」といった演奏なのです。
そこにはステッラがいて、ステッラはいない、ヴェルディの音楽と溶け込んでいる素晴らしい演奏があるだけ・・・。
彼女の歌に迷いはなく、歌う前のブレスまで全部音楽を感じさせます。
ドミンゲスがその声の威力を示しても、天からヴェールをかぶせるようなピアニッシモで、またある時は圧倒的な展開で耳を奪います。
名画の聖母の姿を音楽そのものに具現した、そんな感動でした。
全曲が終わった時、ヴェル・レクの中に、アイーダやエリザベッタ、レオノーラ、オダベッラなどヴェルディのヒロインが思い浮かびます。
そして余韻を楽しみます。「満天の星空」を心に浮かべながら・・・