そして2年後、イタリアオペラがまた来日しました。
デル・モナコ、ステッラ、シミオナート、バスティアニー二でヴェルディ「トロヴァトーレ」でオープニングです。
この「トロヴァトーレ」はその前年、トランジスタラジオで、ザルツブルグにてカラヤン指揮、プライス、コレッリ、シミオナート、バスティアニー二で聴いていました。
コレッリにはシビレました。プライスも魅力的な声、この二人は知らない歌手だったのですが、素晴らしかったです。バスティアニー二はプロッティのような劇的なバリトンというより、優雅な声でした。シミオナートがコレッリと仲良く歌っているようでちょっと嫉妬しましたが、まあ親子という設定なら、とほっとしました。
これはライヴだったのです。また聴きたいと思うオペラでした。
「テバルディが来ない!なぜだ!トゥッチも来ないではないか!」と不満たらたら書店でいつもの立ち読みをしていますと「音楽の友」で、カラス、テバルディと肩を並べるプリマでスカラの開幕はステッラにとってかわっている、と書かれていました。写真は大変な美人です。
「きっと若いころの写真だな、実際に見たらギャーといういつもの手だ」と、悪態をついていましたが、ステッラ・・・きいたことあるな、そうだ、昔ラジオで聴いた「アイーダ」だ、あれはすごい声だったな、と思い出しました。
イタリアオペラ初日はテレビで実況放送されました。
どうでもいいフェランドが昔話をコーラスの兵士たちに語り、不気味な雰囲気満載のなか、紗幕が上がり、貴族の館の美しい庭園、何と美しい女性が現れたではありませんか。今まで「一応美人という設定だな」と悪態をついていた私も、その楚々たる姿に釘付けになってしまいました。侍女イネスはあの「リゴレット」で美人だと思ったアンナ・ディ・スタジオです。確かに彼女は美人、でもレオノーラを歌うアントニエッタ・ステッラの美しさは貴婦人の気品をたたえ、百合のような清楚な美しさです。そして声はビロードのようで角度によって光の陰影が違ってきこえるような、微妙な響き、音色の変化を持ち、テノールのリマリッリやバリトンのバスティアニー二とユニゾンや絡みになっても、力強さは一歩もひけをとらず、立体的で壮麗な「声の饗宴」で魅了しました。
シミオナートは老婆の役でしたが、このキーロールとなるだけに見事な歌でした。
バスティアニー二はベン・ケーシーも真っ青、というほどのハンサムで、歌も気品に満ち、今まで聴いたプロッティとは違うタイプでした。
カーテンコールでは若きテノール、リマリッリが大御所シミオナートの手をうやうやしくとっていました。
ステッラは盟友バスティアニー二と微笑み、スカラの今のプリマとして君臨している実力をみせびらかせるのでなく、優雅でした。
ところが、ステッラはプッチーニ「西部の娘」のミニーで、貴族の姫から<アニーよ銃をとれ>のような勇ましくもぶっちぎりの女丈夫を演じ、あっといわせたのです。

デル・モナコ、ステッラ、シミオナート、バスティアニー二でヴェルディ「トロヴァトーレ」でオープニングです。
この「トロヴァトーレ」はその前年、トランジスタラジオで、ザルツブルグにてカラヤン指揮、プライス、コレッリ、シミオナート、バスティアニー二で聴いていました。
コレッリにはシビレました。プライスも魅力的な声、この二人は知らない歌手だったのですが、素晴らしかったです。バスティアニー二はプロッティのような劇的なバリトンというより、優雅な声でした。シミオナートがコレッリと仲良く歌っているようでちょっと嫉妬しましたが、まあ親子という設定なら、とほっとしました。
これはライヴだったのです。また聴きたいと思うオペラでした。
「テバルディが来ない!なぜだ!トゥッチも来ないではないか!」と不満たらたら書店でいつもの立ち読みをしていますと「音楽の友」で、カラス、テバルディと肩を並べるプリマでスカラの開幕はステッラにとってかわっている、と書かれていました。写真は大変な美人です。
「きっと若いころの写真だな、実際に見たらギャーといういつもの手だ」と、悪態をついていましたが、ステッラ・・・きいたことあるな、そうだ、昔ラジオで聴いた「アイーダ」だ、あれはすごい声だったな、と思い出しました。
イタリアオペラ初日はテレビで実況放送されました。
どうでもいいフェランドが昔話をコーラスの兵士たちに語り、不気味な雰囲気満載のなか、紗幕が上がり、貴族の館の美しい庭園、何と美しい女性が現れたではありませんか。今まで「一応美人という設定だな」と悪態をついていた私も、その楚々たる姿に釘付けになってしまいました。侍女イネスはあの「リゴレット」で美人だと思ったアンナ・ディ・スタジオです。確かに彼女は美人、でもレオノーラを歌うアントニエッタ・ステッラの美しさは貴婦人の気品をたたえ、百合のような清楚な美しさです。そして声はビロードのようで角度によって光の陰影が違ってきこえるような、微妙な響き、音色の変化を持ち、テノールのリマリッリやバリトンのバスティアニー二とユニゾンや絡みになっても、力強さは一歩もひけをとらず、立体的で壮麗な「声の饗宴」で魅了しました。
シミオナートは老婆の役でしたが、このキーロールとなるだけに見事な歌でした。
バスティアニー二はベン・ケーシーも真っ青、というほどのハンサムで、歌も気品に満ち、今まで聴いたプロッティとは違うタイプでした。
カーテンコールでは若きテノール、リマリッリが大御所シミオナートの手をうやうやしくとっていました。
ステッラは盟友バスティアニー二と微笑み、スカラの今のプリマとして君臨している実力をみせびらかせるのでなく、優雅でした。
ところが、ステッラはプッチーニ「西部の娘」のミニーで、貴族の姫から<アニーよ銃をとれ>のような勇ましくもぶっちぎりの女丈夫を演じ、あっといわせたのです。


