1 「嘉兵衛が言うていたの覚えているやろ。どない汚いことを仕掛けられても挑発には乗るな、料理人は料理で勝負せえて。澪は料理人や、私みたいなあほな真似はしたらあかん」・・・中略・・・
2 「けど、向こうさんがこないな真似してくれたおかげで、私にははっきりとわかった。
澪、いつか必ず、お前はんはあの登龍楼を料理で負かすやろ。
あほな真似して自分の器量を落とすような真似はしたらあかん。
人としての器量は落としたらあかんのやで。」・・・中略・・・
3 「奉公人は主人に倣うもんなんや。弱いものは捻じ伏せ、どんな手ぇ使ても勝つ。(相手の店のこと)
こういう考えは店主から受け継いだもんやろ。
お前はんはそんな輩を相手にしたらあかん」
以上は高田郁著「みおつくし料理帖」の<八朔の雪>、女料理人の澪が必死で考案した料理を「料理番付トップ」の料亭『登龍楼』に真似され、澪を育てたかつての名店の御寮さんは抗議して暴力を振るわれ、怒りに震える澪に病床の御寮さん(孤児の澪を育てた元名料亭の御寮さんで今は貧しい生活)が、料理人はどうあるべきかを若い澪に説いたものだ。
この物語のくだりは昨年の嫌なことを思う。
私はその時のことを調べてだいたいを知っていた。
そしてこの3のようなことをしたある「老舗オレサマホシュ」、こういう人間は決して国のことなど考えていない、ただの「ビッグマウス」に過ぎない)
そのことを思い出すと今も怒りを抑えられない時がある。
自分のことで怒っているのではない、そこがやっかいなのだ。
この本の3のところで何とか気持ちを抑えることができた。
でも私が「自分の力以上の力」で護ろうとした高邁で深淵なる方は、気高い次元で人生の最後に見事に勝ったのだった・・・。
私など出る幕はなかった。
ブログのティールーム
KRYSTIAN ZIMERMAN plays BRAHMS Variations Op.18 (1982)