現在の日本は、戦時下の状況と近いものがある。
とは言え、西日本はほぼ今まで通りに生活していると言って良いだろう。
だからと言って、今まで通りのスタンスで記事を書くのも正直言って気が進まない。
なので、しばらくは過去に書いたものを再掲させることで、お許しいただきたい。
以下は2008年12月9日に書いたものである。
齋藤秀雄先生(私のヴァイオリンの師匠、3人共通の師にあたる)は、例え話が上手かったことが有名だ。もっとも、それを知ったのは割と最近のことで、師匠から直接聞いたものは一つもない。
だから直伝ではないのだが、その一つに「紅茶と汁粉」の話がある。
紅茶にも汁粉にも砂糖が2杯ずつ入っていたとする。そこに砂糖をさらに1杯、あるいは2杯継ぎ足したらどうなるか?
汁粉は、ちょっと甘いかなという程度だろうが、紅茶は甘すぎて飲めたものではない、ということになるだろう。
この例えを使って、テンポや強弱の変化は状況によって「さじ加減」が必要、と説明するのである。(「齋藤秀雄講義録」より)
斎藤秀雄 講義録 価格:¥ 3,360(税込) 発売日:2005-01-24 |
なるほどなぁ、と私はいたく感心した。
ただ、このままでは現在は使えない。ほとんどの人が紅茶に砂糖を入れなくなってしまったからだ。それに、私は汁粉は嫌いなので、二重の意味で口にしたくない。
それで、紅茶をコーヒーに置き換えて、汁粉との比較はせずに説明することにした。つまり、コーヒーに入れるとすれば砂糖とミルク、塩や醤油を入れるものではない、と。中南米には唐辛子入りのコーヒーがあるらしいが、それだけを売る店を日本に開いたとして、お客が来ると思いますか・・・?
だから、まず、砂糖とミルクを添えるだけの、普通のコーヒーの入れ方から学ぶべきですよ、と諭すのである。
「普通の」大人は、これで納得してくれる。同じ調子で、大学1年生に話したところ・・・
無反応・・・
醤油コーヒーや唐辛子コーヒーでは、客が来ないかどうかが、全く見当がつかない様子。
そこまで常識に欠けるか、と落胆しかけた。が、その後、よく考えたら理由は別にあった。その学生はコーヒーを飲む習慣が無かったのだった。
ということは、未成年にはあまり通用しない例え話ということだ。うーむ、良い例えだと思ったのにな・・・。こどもにもわかる例えは、何かないかなぁ・・・。