井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

メンデルスゾーンは易しく難しい

2016-06-14 23:49:28 | ヴァイオリン
メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は、技術的にはとても弾きやすい。
これは近年、この曲の初版?が発表されてはっきりした。

この弾きやすさは、メンデルスゾーンの畏友フェルディナント・ダーフィトの助言と、それを素直に受け入れたメンデルスゾーンのおかげだと思う。
ダーフィトはライプツィヒ・ゲバントハウスのコンサートマスターだが作曲家でもあり、そのトロンボーン協奏曲はトロンボーン吹き全員が必ず吹く曲。井財野の目標の一人でもある(この辺りは以前も書いた。)

この協力関係が無ければ、この協奏曲の地位は多分サンサーンス並みになるだろう。
(ヴァイオリン弾きにとっては大差ないのだが、一般的な知名度は激しく違う。ごめんなさい、サンサーンス先生。)
とにかく、二人のコラボレーションに感謝感謝である。

一方、音楽的には、結構学習要素が多い。

◆古典的なバール形式が含まれるが、ロマン派の歌い方が必要。

◆つまりフレーズが連結している。その切れ目を意識してつなげる演奏法が必要ということ。

◆テーマの3小節目はIVの和音でサブドミナント。ここに変わる瞬間、サブドミナントの拡大感を感じて表現する必要がある。

◆フレーズ毎に歌ったり語ったりの交代が連続する。

◆冒頭のモチーフが何回か登場するが、性格の描き分けが必要。

最初の1ページでざっとこれだけ学習がいる。そして、それらをあくまでもさりげなく演奏しなければならない。
(文章にすると実際以上に難しく見えるが)

これを体に染み込ませるのは大変有益だから、難しかろうがとにかくやるべきと信じて、20年くらい指導にあたってきた。

しかし、近年、それはもう少しあとでも良いかも、と思い始めてきた(続く…)。