井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

罪作りな分数ヴァイオリン

2017-02-20 18:20:01 | ヴァイオリン
昨日出演した「ピアノステップ」であるが、ヴァイオリンの幼稚園児は出番の前、なかなか本番モードに入ろうとしない。

「じゃあ、一緒に弾こうか」と私が言って、控室で一緒にバッハのメヌエットを弾いてあげた。すると、しっかり本番モードに入った。
のみならず、リハーサルであれだけ粗野な演奏をしていたのが嘘のように、本番では品良く弾いていたのだ。

ここで、ハタと気づいた。
多分、その子は自分の出す「分数ヴァイオリンの音」が恥ずかしくて、あまり他人に聞かれたくなかったのではないか。だからふざけてごまかして、周囲の注意をヴァイオリンから逸らそうとしていた…。

自分の幼稚園時代の記憶がよみがえってきた。

私も分数ヴァイオリンの音が嫌だった。どうして分数ヴァイオリンは先生のヴァイオリンみたいに響かないのだろう、とずっと思っていた。

正確には、サイズを大きくして最初に弾くときだけ「わぁ響いた!」と思う。これがちっとも長続きしないのである。すぐ「子供ヴァイオリン」の音になってしまう。

その点、ピアノはとりあえず「大人ピアノ」の音だ。美しさを追求したら、いくらでもできそうな気がする。

分数ヴァイオリンにはそれができない。だから、多少汚い音でも「分数だし」と大人達も思ってしまう。
イントネーションが甘くても、やはり「分数だし」いずれ大きくなったらまたやり直しだから、現段階ではこれで良いと言ってしまう。

この状況が嫌な子供もいる、ということかもしれない。
しかし、それはなかなか難しい問題だ。
とりあえず「感受性が豊かですね」と褒めるくらいしか手はないか…。