井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

さようなら、ドリームにちりん

2011-03-07 23:12:52 | 日記・エッセイ・コラム

JR九州の電車は、新しい物が出る度に「ブルーリボン賞」や「ローレル賞」を「鉄道友の会」から頂いている。と、筆者が自慢する立場にはないのだが、なぜかとても嬉しい。

「ハイパーサルーン」と呼ばれる783系電車は、その皮切りである。各車両の中央に出入口があり、一両がA室とB室に分かれている、という斬新な作り、各座席にはイヤホンジャックがあって、4種類の音声が流れる飛行機並のサービスにびっくりした。クラシック音楽のチャンネルもあって、シューベルトのピアノ五重奏曲「ます」をありがたく聴いたものだ。

音声の方は故障も多く、そのうち廃止されてしまったが、とにかく「こんな電車は東京にはない!」と、東京に出て行った九州人が一番喜んで乗っていたような気がする。ローレル賞を取ったのが1989年なので、もう20年以上たつ訳だ。筆者の頭の中では新しい電車に分類されているのだが、世間では「新しい」とは言わないのかもしれないなぁ。

そのハイパーサルーンを使って「ドリームにちりん」が走っている。日豊本線を宮崎まで走るのが「にちりん」で、その夜行列車版である。

その昔(昭和50年代前後)は博多・宮崎間をエル特急「にちりん」が6時間40分かけて走っていた。同じ頃、東海道・山陽新幹線の東京・博多間を「ひかり」が6時間40分かけて走っていた。ほぼ同じ時間なのに、「ひかり」はスピードを感じ、「にちりん」は「のろさ」を感じた。「ひかり」は快適で、あっという間に終点、という感じがした一方、「にちりん」は途中の大分で降りたくなるほど、苦痛を感じた。

その後、博多・大分間を「ソニック」という特急が走るようになり、博多・宮崎間の「にちりん」と交互に走っていたのだが、そのうち「にちりん」はほとんどが大分・宮崎間に短縮されてしまい、唯一残ったのが、この「ドリームにちりん」だった。

所要時間は、博多・宮崎間が約6時間40分。そう、30年前と同じ。だがスピードは明らかに上がっている。なぜか?

理由は、大分駅の長時間停車である。何と2時間近く止まっているのだ。

このダイヤは、その昔の寝台急行「日南」のダイヤを引き継いでいる。

筆者がその昔、宮崎の中学生だった頃、この「日南」に乗って博多までヴァイオリンのレッスンに通ったことが何度となくあった。23時頃に宮崎を出て、朝方6時過ぎに小倉に着き、そこから鹿児島本線に乗り換えて博多に向かった。その「日南」が大分で1時間くらい停車するのである。妙に静かになって、たまに目が覚めることがあった。窓の外をみると、月が見えて、まだ夜だと確認し、また寝入る。

そんな思い出があるダイヤに終止符が打たれる。昼間の「にちりん」は苦痛だったので、廃止されても何も思わないけれど、「日南」は苦痛ではなかったので、これを引きずる「ドリームにちりん」の廃止は、結構寂しい。

さようなら、ドリームにちりん。


さようなら,大牟田駅と三井三池港務所

2011-03-05 01:27:12 | まち歩き

3月3日,新博多駅ビルがオープンした。
途端に活性化した博多駅。

今まで盛り上がっていたのは鹿児島中央駅のみ,という感じが,ここに来て一挙に逆転した様相である。あくまで主観だが。

12日の九州新幹線全線開業を前に,新しい時刻表も配られだした。これを見ているのが,また楽しい。

何と,東京から鹿児島中央まで1ページの時刻表に収まっているではないか!「東海道・山陽・九州新幹線」というページである。これは昭和47年だったかな,新幹線が岡山まで伸びた時,はたまた昭和50年に博多まで伸びた時の感動に匹敵する。

一方,気がつかなかったさようならも,いくつか見つけて,しんみりする自分もいた。

さて,これは「気づいていた」さようならの話。

新幹線ができると,子供の頃から飽きるほど乗った鹿児島本線の鳥栖-新八代間,ここに乗ることはほとんどなくなることを意味する。

途中の風景が,どれほど重要かはわからない。数えきれないほど乗ったのに,全く覚えていない風景もあるからだ。

でも,これだけは小学生の頃から,ずっと興味を持ち続けた風景である。
「大牟田駅」

Photo

鹿児島本線において私鉄が並走する区間はここしかない。熊本方面から乗ると,これを見た途端「福岡に入ったなぁ」という実感を持ち,常にここで乗り換えたくなる。

そして,

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これではわからないか。ただの線路だ。しかし,JRの線路ではないのである。

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これでもわかりにくい。これは赤いビルを撮ったのではなくて右端に伸びていく線路を撮りたかったのである。JRから分岐しているように見えるのだが,JRの路線図には載っていない。

ようやく最近わかったのだが「三井化学専用鉄道」というのだそうだ。

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西鉄と並走している区間に,反対側にも並走している線路がある。と,説明しない限り,何の意味も持たない「線路」の写真。何を面白がっているんだか・・・,と我ながら思うが。
でも,40年間,不思議な風景だと思い続けて今日があるのだ。

この鉄道は,以前「三井三池港務所」の鉄道で,大牟田市と隣の荒尾市にまたがって,結構路線もいっぱいあったらしい。鹿児島本線とクロスする場所もある。

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これは,その「本線」ガード下(栄町付近)になるが,これではわからないな。

Photo_5

鉄塔の下に左右に広がる土手のようなものが,その廃線(玉名線)跡である。多分「原万田駅」の近く。いつの間にか廃止されていた。資料によると,専用鉄道に変わったのが1973年,従業員輸送を止めたのが1984年,廃止が1997年とある。

これらの写真,一回で撮った訳ではない。何回かチャレンジしたのだが,走る電車から撮る「車窓」の写真なので,なかなか思うようには撮れなかった。これ以上続ける若さが,さすがに今はない。その若さともさようならか?

子供の頃から,これは何だろうなぁ,と思い続けていた風景。この不思議な風景が福岡県の入り口だったのである。
ただし,本当はまだ熊本県,という,ややこしい風景。荒尾と大牟田の境は,本当にわからない。
それも含めての「不思議な光景」と,お別れになる訳だ。


音楽先進国

2011-03-02 22:02:00 | 音楽

音楽の「様式」を考える時、その国固有の音色も問題になる。ドイツ的な音色、フランス的な響き、のように。

このドイツ対フランスには、みんなかなり悩まされる。この調子で各国の音色を知らないといけないのか、と考えるとうんざりするのだが、はて、ノルウェーの音色(グリーグ)とかフィンランドの音色(シベリウス)とか要求されたっけ・・・。

つらつら考えてみるに、そこまで明確に要求されるのはイタリア、ドイツ、フランスの3か国だと言って良いように思えてきた。

断定できないのは、ノルウェーやフィンランドの人に確かめた訳ではないからである。

確かめてみると、それなりにあるのかもしれない。でも上記の三つほどうるさく要求はされない。なので、この三つは「音楽先進国」と言って良いだろう。

学習者は、まずこの3か国の様式について学ぶ必要がある。

それを前提として・・・

当然それだけで済む訳ではない。ある程度は並行して、他の国の様式に対する考えも進めておく必要はあるだろう。

ピアノ奏者には全くと言って良いほど無縁なドヴォルジャーク、だがオーケストラだと「新世界」を演奏しない団体は考えられない。

近代だとバルトーク、コダーイを中心とするハンガリーも重要な国になってくる。

それぞれチェコ語やハンガリー語の知識があった方が音楽作りしやすいのは確かである。

そうなると、もっと重要な国が浮かび上がってくる。

「ロシア」

この国は考え出すとなかなか深くて大変である。なので、また次の機会にまわすが、そろそろ4番目の国として遇さなければならないのではないか、と昨今は考え始めているところだ。