その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

仙台 旅ラン 仙台駅~仙台城址~瑞鳳寺~東北大学

2025-04-07 07:25:30 | 旅行 日本

仙台出張の翌朝、仙台駅近くのビジネススホテルからジョギングに。仙台には何度も来ているのですが、殆どが仕事なので仙台城址すら訪れたこと無し。まずは仙台城址へ。ホテルを朝7時頃出発し、片道4キロ弱程のコースです。

広瀬川まではアップダウン0の極めて走りやすいですが、川を渡ると、いよいよ青葉山の上り坂がしばし続きます。途中、大手門跡とかがあるのですが、殆どが戦災で焼失し、面影が残るのは城壁ぐらい。

 


(面影遺す石垣跡)

頂上には仙台のアイコンとも言える伊達政宗公の像。仙台市内を見渡せる眺望も素晴らしい。

城址を出て、伊達政宗公の霊廟の瑞鳳殿へ向かいます。仙台城のある小山に隣接する小山にあり、坂と階段を上って到着。ただ開館は9時なので中には入れず。その手前にある瑞鳳寺の門が開いていたので訪問。こじんまりとしたお寺ですが、静かで綺麗に手入れが行き届いた敷地内は、居るだけで心が安らかになります。本堂の裏側には茶室もありました。


(瑞鳳殿へ)


(瑞鳳寺山門)


(瑞鳳寺本堂)


(裏の茶室)

瑞鳳寺を出て、仙台駅への復路へ。途中、東北大学のキャンパスを横切ります。名門で、総合大学の東北大なので広大なキャンパスかと思いきや、敷地は何か所に分散しているよう。朝だし、春休みで学生もほとんどいませんが、それでもアカデミックな雰囲気が漂う大学キャンパスは良いですね。


(魯迅先生の像)

ホテルには8時20分に帰着。ラン距離は丁度10キロですので、旅ランとしては丁度良い長さ。仙台旅行の合間のアクティビティとしてお勧めいたします。

2025年3月

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井出醸造店で「二十一代 與五右衛門」を購入! @富士河口湖村

2025-04-05 07:16:20 | 旅行 日本

山中湖の定宿での日本酒メニューの中で、富士北麓エリアの地酒「與五右衛門」がお気に入りである。さわやかでフルーティな味わいがとっても良い。東京の居酒屋や酒店では見たことがないので、山中湖からの帰り道に醸造所を直接訪問。

井出醸造店という名で河口湖畔近くにある。ひっそりと佇むようにある小さな醸造所だ。1日2回見学コースもあるようだが、残念ながら事前予約が必要なようで、見学はかなわず。隣接した販売コーナーで、女将さんと話をしながら、この酒蔵について教えていただいた。

山梨で多く見かけるのは、こちらで作られた「甲斐の開運」。こちらも美味しいのだが、わざわざ来たのは「與五右衛門」がお目当て。嬉しかったのは、「與五右衛門」があったこと。女将さんによると、この醸造所は江戸時代中期から続いており、主人が代々與五右衛門を名乗っているとのこと。主人の名をつけたお酒が美味しくないわけがない。残念ながら、「今日は二十一代 與五右衛門は商売で出ておりまして・・・」で、ご対面は叶わなかったが、足を運んだ甲斐があった。

インバウンド効果か、店には入れ代わり立ち代わりで外国人観光客と思しき人がやってきて、お土産で「甲斐の開運」の小瓶を購入していった。女将さんもしっかり英語で接客されていて、さすが。

小一時間、お世話になった人へのプレゼント用も含めて物色し、楽しいひと時を過ごさせていただいた。次回は是非、酒蔵見学を試してみたい。

(酒蔵です)


(いつ開けようか)

2025年3月訪問

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東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.16 《パルジファル》(演奏会形式):マレク・ヤノフスキ×N響

2025-04-02 07:33:45 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

年度末の忙しさでブログのアップデートもままならない中、勇気を出して半日休みを取って恒例のヤノフスキ/N響のワーグナーシリーズへ。今年の演目はパルジファル。公演する方はもちろんだろうが、聴く方も相当の緊張感と体力が求められる聖なる作品だ。

結局、ヘロヘロになりながら聴きとおした本公演は、つい数週間前に鑑賞したヴァイグレ/読響による衝撃的な名演ベルグ〈ヴォツェック〉と肩を並べる圧倒的な秀演であった。独唱陣、合唱陣、オーケストラの三拍子揃った演奏家達を名匠ヤノフスキががっちりグリップ。血圧上がりまくりのパフォーマンスで、一月の間にn二度もこのような素晴らしい音楽体験ができる自分が信じられない。

歌手陣は外国人、日本人問わず、夫々が良い仕事だった。とりわけ印象的だったのは、アムフォルタス役のゲルハーヘル。出番は題名役やグルネマンツほど多くは無いが、深みあって味わいも迫力もあるバリトンは、まさに空気が変わるという表現が相応しい。ゲルマンツ役のナズミも1幕の長大な語りを初め、物語のベースを固める安定した歌唱。舞台の緊張感が高まった。パルジファル役のスケルトンは昨年のトリスタン役でも聴いているが、巨漢から発せられるテノールが相変わらず美しい。

東京オペラシンガーズの合唱も清らかで神聖なこの楽劇の雰囲気を盛り上げる。特に1,3幕で5階のセンター席から聴こえてきた女声合唱はまさに天上からの響きで、神秘的な空気がホール一杯に充たされた。

ヤノフスキ、N響も毎度ながら引き締まった演奏で緩みが全くない。前奏曲からの荘厳な演奏は神聖で身が清められるよう。全曲を通じて、クラリネット、オーボエ、イングリッシュホルンらのソロの美音も耳に沁みた。

当然だが、終演後は圧倒的な拍手がホールに反響する。いつも厳しい表情のヤノフスキもやっと表情が緩るんでいるように見える。歌手陣、合唱団もまずは無事に初日が終わって一安心という雰囲気に見えた。3時に開演して、終了は夜の8時。凄まじい疲労感はあるものの、あっという間の5時間であった。


(個人的に歌手部門MVPのおふたり)

東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.16
《パルジファル》(演奏会形式)

 

日時・会場
2025年3月27日 [木] 15:00開演(14:00開場)
東京文化会館 大ホール

出演

指揮:マレク・ヤノフスキ
アムフォルタス(バリトン):クリスティアン・ゲルハーヘル
ティトゥレル(バス・バリトン):水島正樹
グルネマンツ(バス):タレク・ナズミ
パルジファル(テノール):ステュアート・スケルトン
リングゾル(バス):シム・インスン
クンドリ(メゾ・ソプラノ):ターニャ・アリアーネ・バウムガルトナー
第1の聖杯騎士(テノール):大槻孝志
第2の聖杯騎士(バリトン):杉浦隆大
第1の小姓(メゾ・ソプラノ):秋本悠希
第2の小姓(メゾ・ソプラノ):金子美香
第3の小姓(テノール):土崎 譲
第4の小姓(テノール):谷口耕平
クリングゾルの魔法の乙女たち
 第1の娘(ソプラノ):相原里美
 第2の娘(ソプラノ):今野沙知恵
 第3の娘(メゾ・ソプラノ):杉山由紀
 第4の娘(ソプラノ):佐々木麻子
 第5の娘(ソプラノ):松田万美江
 第6の娘(メゾ・ソプラノ):鳥谷尚子
アルトの声(メゾ・ソプラノ):金子美香

管弦楽:NHK交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:エベルハルト・フリードリヒ、西口彰浩
音楽コーチ:トーマス・ラウスマン

曲目

ワーグナー:舞台神聖祝典劇《パルジファル》(全3幕/ドイツ語上演・日本語字幕付)
上演時間:約5時間(休憩含む)

Tokyo-HARUSAI Wagner Series vol.16
“Parsifal”(Concert Style)

Date/Place
March 27 [Thu.], 2025 at 15:00(Door Open at 14:00)
Tokyo Bunka Kaikan Main Hall

Cast
Conductor:Marek Janowski
Amfortas(Baritone):Christian Gerhaher
Titurel(Bass-baritone):Masaki Mizushima
Gurnemanz(Bass):Tareq Nazmi
Parsifal(Tenor):Stuart Skelton
Klingsor (Bass):In-Sung Sim
Kundry(Mezzo-soprano):Tanja Ariane Baumgartner
Erster Gralsritter(Tenor):Takashi Otsuki
Zweiter Gralsritter(Baritone):Takahiro Sugiura
Erster Knappe(Mezzo-soprano):Yuki Akimoto
Zweiter Knappe(Mezzo-soprano):Mika Kaneko
Dritter Knappe(Tenor):Joe Tsuchizaki
Vierter Knappe(Tenor):Kohei Taniguchi
Klingsors Zaubermädchen
 1r Mädchen(Soprano):Satomi Aihara
 2r Mädchen(Soprano):Sachie Konno
 3r Mädchen(Mezzo-soprano):Yuki Sugiyama
 4r Mädchen(Soprano):Mako Sasaki
 5r Mädchen(Soprano):Mamie Matsuda
 6r Mädchen(Mezzo-soprano):Shoko Toya
Eine Altstimme(Mezzo-soprano):Mika Kaneko

Orchestra:NHK Symphony Orchestra, Tokyo
Chorus:Tokyo Opera Singers
Chorus Master:Eberhard Friedrich, Akihiro Nishiguchi
Musical Preparation:Thomas Lausmann

Program
Wagner:“Parsifal”(Opera in 3 Acts / Sung in German with Japanese surtitles)
Approx. 5 hours including intermissions.

 

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入船亭扇辰 独演会「赤坂は扇辰」

2025-03-29 07:41:19 | 落語

入船亭扇辰師匠の独演会「赤坂は扇辰」に出かけた。師匠の生は初めてである。

会場は赤坂の赤坂会館という雑居ビルの7階。靴を脱いで上がったフロアには、旅館の大宴会場のような畳張りの部屋があって、前方に座布団席、後にパイプ椅子席が用意されている。計50席ぐらいだが、到着時には既に椅子席は一杯であった。

扇辰師匠のことは良く知ら無かったので、前座さんの後におもむろに登場した師匠に興味一杯。恒例となっているらしい3月のバリ島旅行のまくらで始める。

正直、まくらはパットしなかったのだが、本題に入ると、いきなりスイッチが入ったように空気がガラッと変わった。表情、表現の豊かさで噺にぐいぐいと引き込む力はさすがと唸らせられる。特に、大人女性を演じる仕草や台詞回しが奥深い。

演目は前半が「心眼」で後半が「ねずみ」の古典2作。人情系の噺は、演者の個性や力量が如実に表れる気がした。古典の世界にたっぷり入り込む心地よさ。

初めての畳の上での落語鑑賞も新鮮だった。後半、姿勢維持が辛くはあったが、座布団同士で演者さんと向き合うのも良い。

 

2025年3月25日 赤坂会館

入船亭辰むめ 天災

入船亭扇辰 心眼

                     ねずみ

 

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雪の残る山中湖

2025-03-24 07:36:20 | 旅行 日本

年度末でこの1年にお疲れ様ということで、週末に山中湖に保養に。週前半に降った雪が残り、この時期としては私には初めての雪景色の中の山中湖となりました。いくつか撮ったスナップを、残しておきます。

土曜日の午前中、雪残る林をうろつく鹿の群れと遭遇。最近では鹿との出会いは珍しく無くなってきてますが、雪があるとなぜか美しさ、嬉しさが増します。

日曜日の朝、雪もだいぶ溶けましたが、雪を背景にした富士山や湖が美しい。

〈林の奥に富士山〉

 

〈だいぶ湖畔の雪も溶けました。湖からは蒸気が上がります〉

 

週末の2日間、ゆったりと過ごせました。

 

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小規模ながら興味深い企画展 「実録 桜田門外の変」@日比谷図書文化館

2025-03-21 07:30:41 | 美術展(2012.8~)

日比谷公園内にある日比谷図書文化館では、小規模ではあるものの、しばしば興味深い展示が企画されている。今回は安政7年3月3日(新暦:1860年3月24日)に、水戸藩出身の浪人らを中心に徳川幕府の大老井伊直弼を襲撃し、暗殺した桜田門外の変についての展示。絵や文献などの史料をもとに事件を振り返る。

幕末の重要な事件の一つであるので、様々な小説や時代劇などで触れている出来事だが、こうした史料ベースにこの事件を見ると、よりリアリティを持って歴史を感じることができる。皇居ランで月に数度は桜田門をくぐっている私には、165年前の過去と現代がつながる感覚だった。事件当日、襲撃団は愛宕神社に集まったという。愛宕神社も職場で新年祈願に参っているところでもあり、こんなつながりもあった。

事件後、幕府の対応(暫くの間、秘密の扱いにしていた)、彦根藩の対応(お家取り潰し回避のために急遽跡継ぎを決めたる)、襲撃団の事件後の足取り、市中・全国への事件模様の拡散、など未知だった情報も多く楽しめた。

会期は事件のあった3月24日まで。30分程度でも一通りは鑑賞できるので、幕末に興味のあるかたにお勧めです。

(構成)

プロローグ
第1章 大老暗殺に至るまで
第2章 安政七年三月三日、雪降る上巳の節句
第3章 「実録」桜田門外の変
 (1)”描かれた”桜田門外の変
 (2)”伝えられた”桜田門外の変
エピローグー影響とその後

 

 

 

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圧倒的な名演! セバスティアン・ヴァイグレ、読響、 ベルグ 歌劇<ヴォツェック>

2025-03-16 08:30:43 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

私にとっては、今年前半の目玉演奏会の一つ。もともと題名役をゲルネが出演ということで購入したのだが、数カ月前にキーンリーサイドが代役というお知らせがあり、がっかりどころか逆に狂喜。ロンドン在住時にキーンリーサイドは最も印象的だったイギリス人歌手の一人であり、今でもロイヤルオペラでのマクベスは記憶に深く刻まれている。まさかその彼のヴォツェックが聴けるとは・・・

公演は事前の期待を更に上回るものであった。物語は救いようのない悲惨なものだが、キーンリーサイドはもちろんのこと、外国・日本人による歌唱陣、合唱、読響と各出演者がヴァイグレの棒のもと完璧な仕事をして、圧倒的な名演となった。

久しぶりに見るキーンリーサイドは流石に年齢を重ねた感はあるけども、相変わらずの格好良さ。第1幕前半とかは、精神病を患ったヴォツェックとしてはちょっとスマートすぎないかとの気もしなくもなかったが、劇が進むにつれて狂度が重くなっていくヴォツェックを表情、所作で見事に演じ、演奏会方式ながら歌唱だけでなく演技でも深みある人物像を表現していた。彫と深みあふれるバリトンの表情の豊かさ、美しさは相変わらずで、身体に沁み入る。

そして不貞の妻マリー役のオークスのソプラノはホールを揺るがすような声量。大きいだけでなく、マリーの揺れる女心を丁寧に歌い上げる。高音の緊張感は背筋がぞくぞくする迫力だった。

その他の歌手陣も外国人、日本人ともに、それぞれ存在感が十分ある歌唱。これだけの歌手陣とレベル感はなかなか出会えないと感嘆しきりだった。

舞台後方のP席に陣取った新国立劇場合唱団、フィナーレで舞台前方に現れたTOKYO FM 少年合唱団ともに美しいハーモニーを披露してくれた。

ヴァイグレの手腕なのだろう。読響も豪華歌手陣に全く引けを取らない。かといって目立ちすぎることもなく、歌・合唱とのバランスが見事。ヴァイオリンやチェロのなどの弦のソロや木管の調べなど感泣ものの美しさもあれば、響き渡る金管やこの救いようのない物語を更に悲惨さを加えるような重々しい合奏など、目まぐるしい変幻変化を見せた。ちょっと私の席(9列目)からでは、管楽器奏者を見渡せなかったのは残念。

終演後、大拍手がホール一杯に響き渡る。圧倒的な名演に触れて、我を忘れて、私も手が痛くなるほど拍手を寄せた。隣席の男性は私の右耳が壊れんばかりに「ブラボー」を連発。感動と興奮に包まれたサントリーホールだった。

 

(余談1)今回は単券でS席購入したが、やはり値段に相応しい音の聞こえようで、素晴らしい音楽体験だった。普段のN響、都響は定期会員のシリーズ券なので席は最安ランク。ご贔屓オケの演奏会は最安でそれなりに、非会員の演奏会は上席で満喫というのも、本末転倒の複雑な気分。N響、都響の会員にランクアップサービスとかあれば嬉しいのだが・・・

(余談2)なぜか上演中の途中退席の方が多く、私の視野に入る範囲で5名ほど。私の直前の列ではお二方が出られた。途中休憩なしということを知らずに来られたのかな?

第646回定期演奏会

2025 3.12〈水〉 19:00  サントリーホール

指揮=セバスティアン・ヴァイグレ
ヴォツェック=サイモン・キーンリーサイド(バリトン)
鼓手長=ベンヤミン・ブルンス(テノール)
アンドレス=伊藤達人(テノール)
大尉=イェルク・シュナイダー(テノール)
医者=ファルク・シュトルックマン(バス)
マリー=アリソン・オークス(ソプラノ)
第一の徒弟職人=加藤宏隆(バス) 
第二の徒弟職人=萩原潤(バリトン) 
白痴=大槻孝志(テノール)
マルグレート=杉山由紀(メゾ・ソプラノ)

合唱= 新国立劇場合唱団
TOKYO FM 少年合唱団
音楽総合助手・合唱指揮= 冨平恭平

ベルク:歌劇「ヴォツェック」作品7(演奏会形式)

 

Subscription Concerts No. 646

Wednesday, 12 March 2025, 19:00 Suntory Hall

Conductor= SEBASTIAN WEIGLE

Wozzeck= Sir Simon Keenlyside
Tambourmajor= Benjamin Bruns
Andres= Tatsundo Ito
Hauptmann= Jörg Schneider
Doktor= Falk Struckmann
1. Handwerksbursche= Hirotaka Kato
2. Handwerksbursche= Jun Hagiwara
Der Narr= Takashi Otsuki
Marie= Allison Oakes
Margret= Yuki Sugiyama

Chorus= New National Theatre Chorus
TOKYO FM Boys Choir
Musical Assistant & Chorus Master= Kyohei Tomihira
*Part of the cast has been changed from the initially scheduled cast.

BERG: Wozzeck, op. 7 (Concert style)

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初めてカーチュン・ウォンと日フィルのコンビを聴く! マーラー交響曲第2番<復活>

2025-03-09 07:33:23 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

巷で評判高く気になっていたカーチュン・ウォン/日フィルによる、私の好きなマーラー交響曲第2番というプログラム。昨年、一般販売日の初日に気合を入れてチケット取り、この日が来るのを心待ちにしていました。

感想を正直に言うと、(期待値が高すぎたところもあるのかもしれませんが、)素直に感動したところと、何とも表現し難いもやもや感が共存した演奏でありました。

まず、オケ、合唱、独唱の熱量・集中度高いパフォーマンスが素晴らしかった。日フィルは聴き慣れたオーケストラではありませんが、ウォンの指揮に食らいつき、各奏者のほとばしる集中力が、1階席後部の私にも痛い程伝わってきました。第1楽章の冒頭の弦の低音の響きなどは、ハッとさせられ、これからの1時間半への期待がぐっと高まる合奏に始まり、全楽章を通じて金管もホール一杯に響き渡ります。要所要所での木管の調べも美しい。普段聴いているN響・都響と比較しても全く遜色ないものでした。

オケと並んで、合唱・独唱の素晴らしさも、この日の好演を支えていました。大学の合唱団だからか若いメンバーが目立ちますが、若々しい張りと透明感ある美しさに溢れた合唱でした。独唱の二人もしっかり仕事。メゾソプラノの清水華澄の歌唱が入ると、会場の空気が更に張り詰めたものに変わった印象です。

一方で、まだ私には咀嚼できずもやもや感が残ったのはカーチュン・ウォン。小柄な体を目一杯使って、明確な指示を与えながら、オーケストラをドライブする力は、「さすが今評判の指揮者」と十分納得しました。音楽もしばしばアクセントを置き、テンポも揺らします。そうして紡がれる音楽は、日フィルの献身的な貢献と合わさって、丁寧で濁りが無く、整えられた音楽でした。

ただ私には、特に前半が、不思議に響いてこないところもありました。第2楽章もとっても美しいアンサンブルでうっとりさせられるのですが、なぜか演奏の素晴らしさほど自分の中で刺さらない。「なぜだろう」「何なのか」と言った不思議な自分との対話がありました。

頻繁に現れるテンポの揺らしも、なにか計算されつくした仕掛けのような感覚をもってしまい、日フィルの奮闘には感心する一方で、整いすぎて純粋にその変化に投入できない。マーラーのこの交響曲は宇宙的な響きを感じるのが個人的なツボの1つなのですが、オケは良く鳴っているのだけど、そこまでのスケールある響きには聴こえてこない。そんな印象を持った前中盤でした(これは私の1階深部の座席位置の問題かもしれません)。

ただ第4,第5楽章と進むにつれて、ドライブ感・緊張感が更に増し、特に第5楽章後半はウォンの指揮で、オケ・独唱・合唱が一体となった素晴らしい演奏。荘厳なフィナーレは、もうこんな音楽を残してくれたマーラーにひたすら感謝、感謝です。

終演後は、完売の客席から猛烈な拍手とブラボー。オケも完全燃焼感が伺える表情です。私も大きな拍手を寄せました。

今回、お初のカーチュン・ウォンは、オケの統率や音楽の作り上げる手腕に、口をはさむ余地ない大器ぶりが感じました。この日感じた微妙なもやもや感は、単なる相性のような気もするので、今後の演奏会の中で確認していきたいと思います。







 

第768回東京定期演奏会

2025年3月7日 (金)19:00 開演
サントリーホール


指揮:カーチュン・ウォン[首席指揮者]

ソプラノ:吉田珠代
メゾソプラノ:清水華澄
合唱:東京音楽大学

マーラー:交響曲第2番《復活》 ハ短調

Fri, March 07, 2025
Start 19:00( Doors Open 18:20 )
Suntory Hall

Conductor: Kahchun WONG, Chief Conductor
Soprano: YOSHIDA Tamayo
Mezzosoprano: SHIMIZU Kasumi
Chorus: Tokyo College of Music

Gustav MAHLER: Symphony No.2 "Auferstehung" in C-minor

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映画「殿、利息でござる」(監督 中村義洋、2016年)

2025-03-07 07:43:32 | 映画

Amazonプライムで視聴。タイトルや主演の阿部サダヲのキャラから、どたばた時代劇コメディと思い込んでいたのだが、コメディ要素はあるものの、史実に基づいた「贈与の連鎖」が描かれる美談で、胸熱くなるドラマであった。

江戸時代の藩からの伝馬役の負担に苦しむ仙台藩内吉岡宿の商人・農民(庄屋)たちが、資金を募り・集め、それを藩に貸し出し、その利子で税の一部を免じてもらう計を立て、実現に向け奔走する。官僚主義の壁、周囲の傍観やねたみ、資金調達などなど様々な困難が襲うが、村人たちの知恵と連帯で乗りこえる。私財を投げうって村のために尽くすのは、「利他」/「贈与」の精神そのもので、映画の中でさまざまな「利他」「贈与」の要素が描かれている。

例えば、『世界は贈与でできている』で記された「アンサングヒーロー」。「評価されることも褒められることもなく、人知れず社会の最悪を取り除く人。アンサングヒーローは、想像力を持つ人にしか見えない。アンサングヒーローの仕事にはインセンティブ(報酬)とサンクションが機能しない。アンサングヒーローは自分が差し出す贈与が気づかれなくても構わないと思うことができる。」村人たちからは守銭奴と思われつつも、村のために資金を蓄積することを始めた先代・浅野屋甚内(山崎努)はまさにアンサングヒーローそのものだった。そして、その思いは二人の子、養子に出された長男・穀田屋十三郎(阿部サダヲ)と本家を継いだ次男・浅野屋甚内(妻夫木聡)に引き継がれる。

「利他」「贈与」のケーススタディに最適の作品であるし、そんな難しいことを考えずとも、純粋に人間の強さを感じる良い映画だ。勇気を貰い、人が生きる価値について考えさせられる一本だ。

PS 役者陣も実力者揃い見応えあります。プラスしてサプライズも。ラストシーンで仙台藩主役として羽生結弦選手が登場。

 

殿、利息でござる!

監督       中村義洋
脚本       中村義洋 鈴木謙一
原作       磯田道史「穀田屋十三郎」(『無私の日本人』所収)
製作       池田史嗣
ナレーター          濱田岳

出演者  

阿部サダヲ
瑛太
妻夫木聡
竹内結子
千葉雄大
羽生結弦
松田龍平
草笛光子
山﨑努
音楽       安川午朗

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中島岳志『思いがけず利他』ミシマ社、2021年

2025-03-02 08:27:05 | 

昨秋の読書会をきっかけに、興味を持った「利他」をテーマにした本をもう1冊読んでみた。この前の『利他とは何か』の共同執筆者でもあった中島岳志氏が、思考のウイングを更に広げた一冊。エッセイ的な文体なので読み易い。

個人的には、立川談志による落語「文七元結」を題材に利他について考察した第1章が最も興味深かった。私自身、長兵衛がなぜ娘を救うために借り受けたお金を丸ごと吾妻橋から身を投げようとした文七に渡してしまうのかは、あの落語の肚落ちしない最大ポイントだったので、利他を軸に読み解くことで、多少なりとも落語の理解や見方が深まった気がする。

「文七元結」以外にも、ヒンズー語における与格構文(自分の行為や感情が不可抗力によって作動する際に使われる構文)、親鸞の他力思想、(『世界は贈与でできている』でも指摘されていた)受取人の重要性、偶然と運命の関係といった「利他」について考えるヒントが散りばめられている。

ただ、「利他」というのは、読めば読むほど、捉えどころなく難しいこともわかってきた。常に意識して行動するのも窮屈だし無理がある。自然体で生きながらも、社会や人間関係のたるみのようなものとして意識し大切にしていくことを心がけよう。

 

(自分のための抜書)

・ポイントは、長兵衛が文七に五十両を渡すことが「業の力」だということだとおもいます。ここに「人間の業」と「仏の業」が同時に働いていると考えています。凡夫の「どうしようもなさ」という「業」が、「利他の本質」へと反転する構造こそ、「文七元結」の要だと思います。(p49)

・利他は事故を超えた力の働きによって動き出す。利他はオートマティカルなもの。利他はやってくるもの。利他は受け手によって起動する。そして、利他の根底には偶然性の問題がある。(p174)

・「他力本願」・・大切なのは自分の限りを尽くすこと。自力で頑張れるところまで頑張ると、能力の限界にぶつかり、自己の絶対的な無力に出会う。重要なのはそのことを認識した時に。「他力」が働く。これが偶然の瞬間。重要なのは、私たちが偶然を呼び込む器になること。偶然をコントロールすることはできないが、偶然が宿る器になることは可能。そして、この器にやってくるものが「利他」。器に盛られた不定形の「利他」は、いずれ誰かの手に取られる。受け手の潜在的な力が引き出されたとき、「利他」は姿をあわらし、起動し始める。(pp176-177)。

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