「マハーバーラタ」と「ラーマーヤナ」を読んでインドを極めようと思って始めた企画ですが、結果として「マハーバーラタ」は断念、「ラーマーヤナ」は少年少女向け童話風の物語りにて読了しました。
「ラーマーヤナ」は、話としては面白いですね。私が読んだのは画像の通り第三文明社 レグルス文庫版で凄く読みやすくなってます。これまでインドというと、「メタルインドカレー」か「インドアテニス」しか知らなかったのですが(まだ言うか)、もうこれでインドの神様の事は全部理解しました。(なのか?)
今回読んだのは河田清史先生による本なのですが、あとがきを読むと凄く勉強になります。インドの古典叙事詩は「マハーバーラタ」と「ラーマーヤナ」がありますが、「マハーバーラタ」は「ラーマーヤナ」より二倍も長い物語で、古代インドのさまざまな神話や説話、哲学、法典、政治、経済のことまでふくまれてるので冗長な部分が少なくないとか。
それに比べて「ラーマーヤナ」は、インド古代の「ラーマ」というひとりの英雄の叙事詩なので文学作品としてはすっきりとした純粋な物語りになっているそうです。
しかし「ラーマーヤナ」は、たしかなことはわかりませんがその話の基は紀元前十世紀までさかのぼると言われています。そうなると、「中華三昧」の「中国四千年の味の歴史」というどころではありません。ラーメンとインドカレーの勝負では、カレーの圧勝でしょう。(なのか?)
そしてこの河田先生がおっしゃるには、「私たち日本人が『東洋的(オリエンタル)』というときの考え方は、『中国的』ということをもとにしていますが、アジアはもっと古く広いのです。インドの文化も、この『東洋的』ということに入れないことには、ほんとうのアジアを考えたことにはなりません。してみると、これまでの『東洋的』という考え方は、ここらで変えなければならない時代がきたように思われます。」とのことです。
これを読んでガツンと頭を殴られたような気がしました。日本の大陸からの文化の影響というと、どうしても中国的なものしか意識しなかったのですが、インドの方が古くて広いということはありそうです。しかも、アジアより遠いギリシャ神話とかはちょくちょく目にしますが、インド神話は認識がなさすぎるのではないかと。
そして、河田先生がこのあとがきを書いたのは昭和46年6月のことです。私は小2でした。当時この「ラーマーヤナ」を読んでいれば、もっとインド文化そのものに関心を持ったかもしれません。私だけでなく、日本人全体がその頃からインドに目を向けていれば、今の中国との付き合い方も変わったかもしれませんね。
ということで、これからはやはりラーメンよりカレーだなぁと思いました。(←偏見) なお、「プリンプリン物語」を見て「ラーマーヤナ」をモチーフにしているといいだした人は尊敬します。私はそこまでは思わないなぁ。とはいえ、せめてこの少年少女向けの「ラーマーヤナ」は大人の教養として読んでおくべきだと思ったのでした。いや、異文化の理解ということでは勉強になりました。まだまだ知らない世界は多いです。