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ジュリーがいた 沢田研二、56年の光芒 / 島崎今日子

2023年12月21日 | ブックレビュー

 週刊文春の連載記事「ジュリーがいた」に、新たな取材と大幅な加筆をしたというもの。帯の言葉は「1960年代。音楽やファッションが革新を遂げ、サブカルチャーが花開き、大量消費の時代が始まる。その中心には必ず、彼がいた。バンドメンバー、マネージャー、プロデューサー、共に『沢田研二』を創り上げた69人の証言で織りなす、圧巻のノンフィクション」。

 島崎今日子作品は「安井かずみがいた時代」しか読んでませんが、あれがとにかく面白くてもう何回読んだことやら。その作者がジュリーの話を書いたとなっては期待しないわけにはいきません。ま、私はファンといえるほどではなく、380ページ超で1,980円というとなかなかですが、そこはまあ気にしないと。

 内容は結構面白かったです。私としては、タイガースとソロになって井上尭之バンドとともにベストテン入りのヒットを連発していたあたりに特に興味があるので、その合間であるPYGの事もわかったのが収穫。

 井上尭之さんはもう亡くなってるので新たな証言を得るのは無理ですが、今回は大野克夫さんの話が結構ありました。井上さんの本も読んでたので、かなり複雑な思いでジュリーのバックをやっていたことは知ってましたが、井上さんは井上さんで思うところがあったようで、大野さんはヒット曲を作曲してることもあるせいか結構ノリノリだった感じです。

 そんななので、私の場合は歌謡界の中心にいた頃のスタッフや本人の話を興味深く読みました。ショーケンとの関係については中盤にかなりのボリュームで綴られてますが、ショーケンの本も何冊か読んだこともあり「ふ~ん」という感じ。

 ちょっと抵抗があったのは、序盤でやたらとジュリーの存在とボーイズラブを絡めてたあたりで、私としてはドン引きでした。この辺は好みの問題によるのでしょうが、あそこまで言わなくてもいいような気が。

 あとは、あちこちで佐藤剛さんのコメントも出てて、そちらはメモにして残しておきたいような言葉でした。さすがです。

 と、色々書いてますがとにかく力作には違いありません。少しでも関心がある人は是非どうぞ。私の場合はもう一回じっくり読んでみることと、参考文献として紹介されている本で入手できるものを調べてみたいと思ってます。


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