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2022-03-17 | 詩集

 

江國香織×森雪之丞
『扉のかたちをした闇』★★★★


本箱に眠ったままで中々読めなかった本

 

本書は、2016年12月に単行本として小学館より刊行された同名の作品を文庫化したものです。

2021年7月11日 初版第一刷発行

 

一年十二か月をテーマに双方がやり取りした連詩
江國香織が書いた詩を受けて、森雪之丞が書く詩を収めた一冊
絵画作品をモチーフにそれぞれが書いた詩
ニューヨークと東京で語り合う往復書簡も収載
心がふっと軽くなる珠玉の詩集

 

---

 

ベッドのどこかにしこりがある
さっき抱きあった時ごろごろと
脇腹の辺りで邪魔だった小さな塊

 

---(八月は幻より)

 

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まぼろしのしょうたい


幻の世界など何処にもない
そこにはただ
美しい夢を写し取ろうとする
ひび割れた鏡があるだけ

 

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海辺に 私と気怠い9月を残して

 

---(怪盗セプテンバーより)

 

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濃厚な秘密のジェラート

 

---(晩餐より)

 

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舐めかけのメロンドロップみたいなくすぐったい緑色の
だからつまり古めかしい
緑緑した青信号の信号機がその街にはまだあって
すこし歩くと
でも街は山と見分けがつかなくなる
両側から木々の迫る山道はむしろ窒息しそうに緑、緑、緑で
呼吸のたびに
手足まで緑色になる

 

---(湯布院にて)

 

---

 

何かが突然欠け落ちてしまった世界の
相変わらず長く嶮しい坂の前で
私は立ち止まる

死んだ時に死は終わるのだ

 

---(演出された死)

 

---

 

弱さは
それを認めた時
強さに変わることがあります

 

---(未来に触れるなら)

 

---

 

放っておいてください

 

 

 

 

 

 

 

 

さすが言葉を商売としヒットを連発させた森雪之丞
一味違います。
(少々バブリーな匂いもありますが(^▽^;))

 

 

「ただ言葉を写し取るだけ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



電話の向こう側では防災警報のサイレンが鳴り響いてました。


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