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『大江健三郎全小説4』

2024-04-24 | 大江健三郎

 



2018年12月10日 第一刷発行
株式会社講談社

この全集の中でも難解そうな「父と天皇制」
五十歳で亡くなった父について描こうとしていた大江さん。
尾崎さんの解説「復元された父の肖像」にあるように「父」を主題としている。

今まで以上に難解で、正直うんざり気味にもなった一冊
なので再読はしたくない(苦笑)


--------(抜粋) 
 

「今度の中篇集で、癌か狂気してか死の床にある男が、子供のころ父親と加わった、天皇の名のもとの反乱を再現しようとする。また、月への打ち上げを恐怖して、宇宙船基地を逃げた男が、現人神(アラヒトガミ)に救われることを夢みる・・・・・これらの、自由をおしつぶされる悲鳴と救済をもとめる叫び声を、時にはユーモラスにあげている男たちが、僕にとっての「同時代」なのです(著者・『みずから我が涙をぬぐいたまう日』)
 

【収録作品】
走れ、走りつづけよ / 生け贄男は必要か / 狩猟で暮らしたわれらの先祖 / 核時代の森の隠遁者 / 父よ、あなたはどこへ行くのか?/ われらの狂気を生き延びる道を教えよ / みずから我が涙をぬぐいたまう日/月の男(ムーン・マン)/ 水死

──父と天皇制

 
著書について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞、94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 
 
--------
 
 
 
・走れ、走りつづけよ

 
--------(抜粋)
 
外部からおそいかかる時代の狂気、あるいは、自分の内部から暗い過去との血のつながりにおいて、自分ひとりの存在に根ざしてあらわれてくる狂気にとらわれながら、核時代を生き延びる人間の絶望感とそこからの解放の道を、豊かな詩的感覚と想像力で構築する。「万延元年のフットボール」から「洪水はわが魂に及び」への橋わたしをする、ひとつながりの充実した作品群である。
 
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「狂気」とは?
主人公の「僕」と従兄には30代から発狂したという祖父がいた。

米国のグラマー女優ベネロープ・マンダリンの交通事故死

血は争えないのか・・
 
 

・生け贄男は必要か


巨漢の男善太郎 「善」と呼ばれる男

魯迅の『狂人日記』

*岩波版『魯迅選集』

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「自伝っぽぃ」
 
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・狩猟で暮らしたわれらの先祖か
 
 
「山の人」 流浪する一家 「当たり屋」
 
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「しかし新たに人肉ですね」
「指・・・流浪一家」
 
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・核時代の森の隠遁者


---冒頭

きみは「自由」をもてめて森を抜けだし、地方都市から大都市へとなおも「自由」をさがしもとめて跳びだしてゆき、そしてついにはアフリカへまで出かけたのだが、「自由」は見つかったかね?ぼくはアフリカどころか森の奥の谷間にじっと住みついているばかりだが、しかもなお、ぼくもまたなにをさがしもとめて生きてきたかといえば、それは「自由」なのだ。

---

合言葉は「自由」!!

 

・父よ、あなたはどこへ行くのか?


難解も難解で、どうにも理解しがたい。

***蹶起
 
---

お父さん!お父さん!あなたはどこへ行くのですか?
ああ、そんなに早く歩いて!僕らは迷子になってしまいました、この不信と恐怖の土地で。
僕ら、すなわち僕と息子とは、それぞれの躰いちめんについている枯草や乾いた泥をはらいおとし、湧き水で涙と汗に汚れた顔を洗い、それから電車の駅にむかって歩きはじめた。
 
---

ブレイクの詩句 父の伝記を書こうとする試み。



・われらの狂気を生き延びる道を教えよ


何だか仰々しい題名
つい構えてしまったけど、イーヨー登場でほっこり

大江さんとイーヨーのルーティン
排骨湯麺とペプシ・コーラ
 
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―—イーヨー、排骨湯麺とペプシ・コーラおいしかった!
 
---
 


・みずから我が涙をぬぐいたまう日


--------(抜粋)
 
天皇に殉じて割腹、自死を遂げた作家の死に衝撃を受けた、同じ主題を共有するもう一人の作家が魂の奥底までを支配する<天皇制>枷をうち破って想像力駆使して放つ”狂気を孕む同時代史”の表題作

―全く異なる二つの文体により、
現代人の危機を深刻、ユーモラスに描く中篇小説


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「遺言代執行人」


大江さんはこの作品について「『みずから我が涙をぬぐいたまう日』は、その前に書いた『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』という小説をつないで、自分のなかで父親的なものがどういうかたちをとっているかを考えようとした。父親的なものというのは、僕には神秘主義的にいえば天皇制そのものにつながっています。」

そう天皇制について考えさせられる作品



・月の男(ムーン・マン)


最初に雑誌に掲載された時は『死滅する鯨の代理人』
「鯨」

--------(抜粋)


宇宙船基地よりの逃亡男が日本の現人神による救済を夢見る「月の男」

―全く異なる二つの文体により、
現代人の危機を深刻、ユーモラスに描く中篇小説


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今回はここまで。
残りは中編の『水死』です。

 
「年譜やっと1997年まで来ました。
 62歳 伊丹十三って自殺なんですね。」

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