大江健三郎全小説を通して巻末に収録されている解説等はあったが、
双方の往復書簡は初めてで、本人の本音が聞ける内容となっている。
『大江健三郎全小説10』収録
・ギュンター・グラスとの往復書簡
ギュンター・グラス - Wikipedia
---冒頭
大江健三郎様
あなたも私同様あらゆる方面からアンケート攻めに遭っているのではないでしょうか、つまり、五十年前、まず最初にドイツにとって、次に日本にとって、第二次世界大戦が無条件降伏という形で終わりを告げたあの日々のことを、短い言葉で、あるいは比較的長い文章で思い起こしてほしい、というアンケートです。アクチュアルな問題に対して、このような形で機械的に反応することは、私の気持ちになじみませんので、あなたに手紙を書くわけです。なぜなら、あなたも私も同様、戦争時代の子どもであり若者のひとりであるからです。私たちはふたりとも、戦後を終わらせることはできないことを、ひしひしと感じずにはいられません。あなたも私も、ドイツ人と日本人によって引き起こされた犯罪が長い影を投げかけているのを、年とともにますます意識するようになりました。
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おもしろいのは双方遅れた返事の言い訳をしているところ(笑)