C・ブロンテ
訳:大久保康雄
『ジェーン・エア㊤』★★★
香港在住の知人(作家さんでもある)と情報交換中おすすめされた本
1953年発行(66年前)
舞台はイギリス 英米文学
進んで翻訳物に手は出さずだから、やはり新鮮!
偏り読書にまた一つ新しい風が吹いた。
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あなたのはげしい、たかぶった気持といっしょに忘れてしまうようにつとめたら、 あなたは、もっと幸福になれるんじゃないかしら、人に恨みを抱いたり、まちがっ た仕打ちを、いつまでも忘れずにすごすにしては、この人生は、あまりにも短か すぎるようにわたしには思えるのよ。わたしたちはみんな欠点の重荷をしょって、 この世に生きているし、生きていなければならないのだわ。けれども、この堕落 しがちな肉体を脱ぎ捨てることによって、その欠点もふり捨てるときが、やがて きっと来るのだわ。そのとき、このやっかいな肉体といっしょに、堕落や罪も、 わたしたちから落ち去って、ただ霊魂の火花だけが、あとに残ることでしょう。
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こういう文章を読むと「宗教」について考えざる得ない。
天使、悪魔 そして栄光の階段
で、おもしろいのがやはり翻訳物 自分に対する悪態に苦笑してしまう。
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哀れな、間抜けのおむく鳥め! 顔をおおえ!恥を知れ! この、盲目の犬ころめ!そのただれた瞼を開いて自分の呪われた非常識を見るがいい!
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犬ころときた(笑) 恋に堕ちた乙女の葛藤
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「美は、見つめるものの目のなかにある」という言葉は、非常な真理である。
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各個人個人のフィルター
わたしには素敵に見える相方のように・・
小説のヒロインはたいてい美人に描かれるが、この作品のヒロイン(ジェーン・エア)は美人ではない。
しかも孤児であることに対する不満、男女平等意識という反骨精神を描き、また女性から告白するということも、当時の社会常識から大きく逸脱した行為である。
財産や身分にとらわれず、自由恋愛して結婚するという点は、ヴィクトリア朝の文学において画期的であった。