ひときわ高い金管のファンファーレが鳴り響き、体育会系のテントのひとつから、青地に金モールのミリタリー調のコスチュームを付けたチアリーダーたちが踊り出てきた。
ブラスバンドを後ろに従えたチアリーダーのデモンストレーションが始まると、現金なもので、それまで遠巻きに歩いていた新入生たちがどっと押し寄せてきた。
当然、修二も最前列に陣取って、膝上30センチの超ミニから繰り出される、アンダースコートも裂けよとばかりのオーバーヘッドキックや、ジャンピング大股開きのムチムチに見とれていた。
「なかなかええ眺めやろ」
突然、背後から声をかけられて修二は思わず振り向いた。
そこには丈の長いガクランに身を固めた、角刈りにチョビ髭の学生が立っていた。
これが、おふくろが絶対に近づいたらいかんと言うとった応援団か…。
「今年のチアリーダーはつぶ揃いやしな。なあ、そう思うやろ」
そいつは馴れ馴れしく修二の肩に腕を回しながら言った。
「君は新入生やろ?」
「はあ、あのう…」
「もう入部するクラブは決めたんか?」
「いえ、そのう、まだ…」
「そうか、そりゃあいかんな。ほな、あっちへ行こうか」
修二は半ば強引にテントの下へ連れていかれそうになった。
「ま、待って下さい。用事のあるとです」
「おっ、君は九州出身か?」
チョビ髭は、修二の九州弁のアクセントに素早く反応した。
「そ、そうですが…」
「そりゃあ、ちょうどええわ。わが応援団は九州出身者も大勢おるから安心や」
「でも、入学式に出んといかんとです」
「時間は取らせへん。入団希望書にサインするだけでええんや」
「え~っ、僕は体力には自信なかですけん」
「心配いらへん。入ったら鍛えたる」
「でも、応援団はちょっと…」
「応援団はちょっと、なんや?」
そいつは今までの猫なで声から、急にドスを効かせた声になった。
「ぼ、僕には合わんとじゃなかかと…」
「合うか、合わへんか、入ってみいひんことにはわからへんやないか。行こ、行こ」
肩に回った腕にさらに力が込められた。
あたりを見回すと、修二と同じような状況に陥っている新入生が少なからずいた。修二は絶望的になりながらも、足を突っ張って動くまいと耐えた。
ブラスバンドを後ろに従えたチアリーダーのデモンストレーションが始まると、現金なもので、それまで遠巻きに歩いていた新入生たちがどっと押し寄せてきた。
当然、修二も最前列に陣取って、膝上30センチの超ミニから繰り出される、アンダースコートも裂けよとばかりのオーバーヘッドキックや、ジャンピング大股開きのムチムチに見とれていた。
「なかなかええ眺めやろ」
突然、背後から声をかけられて修二は思わず振り向いた。
そこには丈の長いガクランに身を固めた、角刈りにチョビ髭の学生が立っていた。
これが、おふくろが絶対に近づいたらいかんと言うとった応援団か…。
「今年のチアリーダーはつぶ揃いやしな。なあ、そう思うやろ」
そいつは馴れ馴れしく修二の肩に腕を回しながら言った。
「君は新入生やろ?」
「はあ、あのう…」
「もう入部するクラブは決めたんか?」
「いえ、そのう、まだ…」
「そうか、そりゃあいかんな。ほな、あっちへ行こうか」
修二は半ば強引にテントの下へ連れていかれそうになった。
「ま、待って下さい。用事のあるとです」
「おっ、君は九州出身か?」
チョビ髭は、修二の九州弁のアクセントに素早く反応した。
「そ、そうですが…」
「そりゃあ、ちょうどええわ。わが応援団は九州出身者も大勢おるから安心や」
「でも、入学式に出んといかんとです」
「時間は取らせへん。入団希望書にサインするだけでええんや」
「え~っ、僕は体力には自信なかですけん」
「心配いらへん。入ったら鍛えたる」
「でも、応援団はちょっと…」
「応援団はちょっと、なんや?」
そいつは今までの猫なで声から、急にドスを効かせた声になった。
「ぼ、僕には合わんとじゃなかかと…」
「合うか、合わへんか、入ってみいひんことにはわからへんやないか。行こ、行こ」
肩に回った腕にさらに力が込められた。
あたりを見回すと、修二と同じような状況に陥っている新入生が少なからずいた。修二は絶望的になりながらも、足を突っ張って動くまいと耐えた。