40年ぶりにライ麦を再読。言わずと知れたアメリカ文学最高峰の1冊。
当時はカウンターカルチャーやヒッピーのバイブルと謳われ、大学生の私は野次馬根性と見栄だけで買った。他の文学作品と趣きを異にする、ストーリー性のない、少年目線の独白調のボヤキは、当時の私にとって、大人の世界に対する揶揄や反抗が小気味よかった。
その一方で、独善性やしたり顔風の語りが鼻につき、当時の私の若い世界観とシンクロするまでには至らなかった。
還暦が数ヵ月後に迫った今、再読して感じたのは、生き急ぐ子供のやるせない妄想で、そこに社会嫌悪の感情は読み取れても、体制批判の意味合いは見出せなかった。
最終的にこの語りが、精神病院の病室で語られているというオチは、かのジョンレノン射殺犯のマーク・チャップマンやレーガン狙撃犯のジョン・ヒンクリーが愛読書にしていたということにシンクロしてくる。
独り語りといえば、真っ先に思い出すのが、夏目漱石の「吾輩は猫である」だが、それと比べ「ライ麦」は文学的には足元にも及ばないと思う。
ビートルズやローリングストーンズをホールデンが知っていたら、きっとロックスターになって、その鬱憤を音楽で晴らしていたかも知れない。
当時はカウンターカルチャーやヒッピーのバイブルと謳われ、大学生の私は野次馬根性と見栄だけで買った。他の文学作品と趣きを異にする、ストーリー性のない、少年目線の独白調のボヤキは、当時の私にとって、大人の世界に対する揶揄や反抗が小気味よかった。
その一方で、独善性やしたり顔風の語りが鼻につき、当時の私の若い世界観とシンクロするまでには至らなかった。
還暦が数ヵ月後に迫った今、再読して感じたのは、生き急ぐ子供のやるせない妄想で、そこに社会嫌悪の感情は読み取れても、体制批判の意味合いは見出せなかった。
最終的にこの語りが、精神病院の病室で語られているというオチは、かのジョンレノン射殺犯のマーク・チャップマンやレーガン狙撃犯のジョン・ヒンクリーが愛読書にしていたということにシンクロしてくる。
独り語りといえば、真っ先に思い出すのが、夏目漱石の「吾輩は猫である」だが、それと比べ「ライ麦」は文学的には足元にも及ばないと思う。
ビートルズやローリングストーンズをホールデンが知っていたら、きっとロックスターになって、その鬱憤を音楽で晴らしていたかも知れない。