金曜日から3日間、亡父の十三回忌法要で、九州の辺境の地に帰省していた。
12年ぶりの故郷は、持ち家ラッシュで、帰省した弟宅の周りは新興住宅街で、一戸建ての立派な住宅が建ち並んでいた。
ほとんどが建売りではなく、注文建築らしく、それぞれの世帯主の個性や好みが如実に現れていて、なんとも統一性に欠ける、住宅街が出現していた。
弟宅も例に漏れず、コの字型で、天井の低い三階建ての中央に日当たりのいい庭を配し、リビングダイニングにはアイランドキッチンが据えられていた。床の間付きの座敷には、亡父母や祖母の仏壇が飾られていた。
法要には叔父叔母、いとこやその子供が参列し、久しぶりに旧交を暖めることができた。
しかし、そこにはすでに私の居場所はなかった。
まあ、両親の世話を弟夫婦にずっと任せ、私自身、田舎に戻る気はさらさらないのだから、それも仕方がないことだ。
弟は去年、還暦を前に市役所を早期退職し、悠々自適と言うが、これといった趣味もなく、毎日の晩酌を楽しみに、主夫業に精を出しているようだ。
私は法要を無事終えて、そそくさと大阪の自宅に戻ってきた次第だ。
次に故郷に帰るのは、3年半後の本定年以降になるだろう。
それまでお互いに、健康を保つことができるのだろうか。