カプチーノノート cappuccino note

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廃市

2014-11-10 | 映画(韓国以外)

画した「廃市」をようやく見ました。

ひさしぶりに見ましたが、やっぱりおもしろかったです。

見ながらひらめいたのは、この映画は「転校生」と裏表なのかもしれないということです。

尾道の明るい夏と柳川の暗い夏、はつらつとした小林聡美と抑えている小林聡美、引っ越しトラックを見送る小林聡美と列車を見送る小林聡美。

どちらも二度と戻らない、戻れない夏を描いていました。

「道楽も過ぎれば、死ぬしかなくなる」というセリフは今も心に残っています。

で、結果、いったい直之さんは誰を愛していたのか?という謎がもやもや残っていました。

それが、今回見たら、なんかわかったような気がしました。

尾美としのり演じる三郎のラストのセリフ「このまちじゃ、みんなが思うとる人にちっとも気づいてもらえんとですよ。直之さんもそれにあんたも安子さんを好いとる」は主人公江口に安子への愛を気づかせるものだと思っていました。

ところが、今回そのセリフから感じたのは、安子と江口の関係が江口→安子の片想いだけではなく、安子→江口の片想いもあったのではないかということです。

三郎が片想いしている安子。三郎は安子のことしか見ていません。だから、安子の気持ちがわかります。

安子が片想いしていた直之、しかし直之は安子を受け入れて、すべての生活を捨てられるほどの生命力はありません。直之は安子を拒みます。最終的に直之が死んだのは安子のせいだったのかもしれません。

直之の死後、安子が江口に語る言葉は彼女が江口に救いを求めているように聞こえてなりません。

しかし、安子を愛していることに気づかない江口には、その安子の言葉の意味がわからないのです。

そして、列車が駅を離れると再び動き出した時計のように、江口にはもう別の世界の時間が始まり、安子のもとには戻れないのです。

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