NHKのシリーズ深読み読書会で「悪魔の手毬唄」の犯人の動機について話していました。
1 妻としての嫉妬、2 近親婚を防ぐ、3 芸人としての嫉妬
そして犯人はサイコパスなのだというお話でした。
なんでもサイコパスにしてしまえば、すべてかんたんなんですけれどね。
でも、なんか引っかかるんです。で、ずーっと考えたんですけれど、こんな考えが出てきました。
何かミスしてしまったとき、しくじったとき、一番望むことはミスする直前に戻りたいということです。
犯人にとって最初の殺人は、激情にかられてしてしまった大きなミスでした。
そのために、娘は赤あざをもって生まれ、放庵には弱みを握られ、ずっと田舎の温泉にしばられて生活しなければならなくなりました。
彼女はずっと考えていたはずです。もう一度人生をやり直したいと…。
さて、ではいつに戻ればよいのでしょうか。
最初の殺人の直前でしょうか?いいえ、違います。
恩田幾三が鬼首村でいろんな女性に手を出す前でなくてはなりません。
放庵、恩田幾三が産ませた三人娘をこの世からなくすことで、犯人はもう一度人生をやり直せると思ったのではないでしょうか。
そのためにずっと計画を練ってきたのです。犯人を放庵に見せかけ、三人娘を殺す。
手毬唄の奇妙な符合もあり、大空ゆかりの帰郷、金田一耕助の温泉逗留という絶妙のタイミングで事件は起こったのでした。
このうち、一つでも欠けたら、事件は起こらなかったのでした。
という解釈はどうでしょうか。こんなに考えさせるんだから「悪魔の手毬唄」は傑作なんですね。
「悪魔の手毬唄」、「魔女の旋律」どちらも2回目視聴でした。
「悪魔の手毬唄」はこのシリーズの中の傑作です。うまく原作をまとめているのです。
藤岡琢也さんが磯川警部を演じているのが実によいです。
このシリーズだったらハナ肇さんにこの役をやらせても不思議じゃないのですが、そうしなかったのが素晴らしい。
前回もですが、里子が出てくるシーンを見るとウルウルしてしまいます。里子ってなんて悲しいんでしょう。
里子はおかあさんにわかってほしくて、でもわかってもらえなくて…。そこが悲しさの素なんです。
さて、今回はおりんが気になってしまいました。有馬稲子さんが演じているんでしょうが、妙に肉感的な腰回りをしているおばあさんなのです。
こんな色っぽいおばあさんだと金田一も磯川も出会ったら、もっとしゃべりかけそうな気がします。
それですべての殺人計画がご破算になったら、よかったのに…なんて。
「魔女の旋律」は前回はとんでもない駄作だと思ったのですが、今回はおもしろく見られました。
顔がそっくりな他人というトリックはいいのですが、それをドラマ後半に出すのはアンフェアな気がしたのでした。
でも、最初から出していたら、ドラマの展開がバレバレですもんね。
金田一が走る車につかまってふりおとされそうになったり、河に沈められて生死がわからなくなったり、神父に変装したりして、明智小五郎みたいな活躍をします。
金田一の妹のエピソードも出てきますが、これはこのドラマだけのオリジナルなのかよくわかりません。
暑いとウォッカ。
でも、台風のせいか、ここのところ、涼しい日々。
今日は午後から暑さ復活。
飲みたくなりました。
冷凍室に入れたウォッカのとろーりとしたのどごしが夏の疲れを癒してくれます。
調子に乗って、ショットグラスに2杯。
もういけません。
ダウンしてしまいました。
怪盗「薔薇王」榎木孝明さん前半はかっこいい。金田一をだまして睡眠薬を飲ませるところまではよかった。
ところが、後半はストーリーが迷走してしまいます。
ニセモノの「薔薇王」が現れて、本物はどうなったかというと、あっさり殺されていたことが判明します。
なんじゃこりゃ。
金田一を演じたこともある中尾彬が悪い奴で、すべての事件の元凶ですが、彼もからくり人形の毒矢であっさり死んでしまいます。
ありゃりゃです。
結局、真犯人は自殺してしまうし…もうお約束の結末でした。
金田一耕助シリーズのエピソードガイドがAXNミステリーのホームページに出ています。
ここに出ている29話を全部見たいという気になってきました。CSTBSのホームページだと27話の掲載なのが?です。
原作を読んでいないとなんのこっちゃで、原作を読んでいると違和感が強いこのシリーズです。
「死神の矢」も原作を見ていないので評価しづらいのですが、パターン通りの展開です。
こうなるとこのシリーズは「男はつらいよ」シリーズなみの作品と言えるのかもしれません。
もうどんな事件でも金田一さんが出てくるだけでよいのです。
ありがたい、ありがたい。もう古谷さんが金田一を演じることもないでしょうからね。
上川金田一第1作。
「獄門島」であれれだったので期待しないで見たら、おもしろかったです。
なるほどこのドラマの出来がよかったから「獄門島」が作られたんですね。納得。
1978年版は篠崎慎吾を三橋達也さんが演じていたので最初から犯人じゃないとわかってしまうのが残念でしたが、今回は六平直政さんだったので十分怪しかったです。
そして、羽田美智子さんもよかったです。
倭文子ってただの人形じゃないんです。男を惑わす魔性の女なのです。
糸さんの野際陽子さんもさすがです。
でも若すぎて、どうせ捕まってもすぐ寿命だとは言えないのでラストは洞窟に姿を消してしまうのでした。
原作を読んで時間が経つので、ちょうどよいくらいに内容を記憶喪失しているのでなおさらドラマとして見られたのかもしれません。
このドラマを見てわかったのは、以前作られた金田一ドラマがちょっと物足りないものだったら、リニューアルして成功する可能性は十分あるということでした。
でも「獄門島」になるとあまりにもドラマ化、映画化されていてリニューアルの成功はむずかしいのです。
上川さんも田舎が舞台より都会が舞台の方が似合っています。
あと「迷路荘の惨劇」は「悪魔が来りて笛を吹く」に設定が似ているとあらためて思いました。
長門裕之さんが出てきたのも「悪魔が来りて笛を吹く」で新宮利彦を演じたからなのではないでしょうか。
この前、2016年版の「殺人鬼」をNHKBSプレミアムで見ましたが、今日は1988年版を見ることができました。
古谷金田一で、このシリーズでよくある主人公を金田一に置き換える設定変更が行われていました。
となるとタイトルの「殺人鬼」がまったくドラマと関係なくなってしまいました。
もともと、連続殺人鬼が徘徊していて、八代が加奈子に駅から同行を頼まれる設定でした。
八代を金田一に置き換えたので、八代を助ける金田一は、自分で自分を助けなければならなくなりました。
市電で手すりの手を刺されて手を放すところを、大井川鉄道の汽車に置き換えていたところも変に納得できました。
どこかの市電を借り切って戦後すぐの市電を再現するなんて、どう考えても難しいですもの。
そして2016年版の衝撃のどんでん返しのラストは1988年版では採用できませんでした。
だって、八代だったらできるけど、金田一は加奈子といっしょに心中できないもの。
これは原作読まなきゃいけません。
上川隆也さんの金田一耕助ドラマを見ることができました。
「獄門島」は何といっても早苗さんで決まるドラマですが、今回は高島礼子さんでした。
ちょっと年齢が…と思ったら鬼頭一が弟で早苗が姉になっていました。
でもこんなにいい歳でしっかりしている早苗さんなら事件は起こらなかったような気がしました。
そして三姉妹が三つ子になってマナカナさんが演じるとは驚きでした。
マナカナだったら、誰も殺したりしないんじゃないかなというほど、幼い感じです。
で、分鬼頭の志保を原田喜和子さんが演じていました。
できれば、早苗さんを原田さんに演じてほしかったなー。
高島さんが志保役だったら、もっとおもしろくこのドラマを見られたのに…。
上川さんは優等生で真面目な金田一という感じでした。
そしてラストの嘉右衛門生存トリックはもう余計な小細工という感じです。
嘉右衛門が死んだからこそ、三姉妹殺人は起こったのです。
死者の妄執が引き起こす事件だからこそ、結果として虚しいのです。
以前「不死蝶」1978年版を録画していて、原作を買おうかどうか迷っているうちに1988年版を録画できたので見比べることにしました。
まず2時間ドラマの1988年版を見ました。
ブラジルのコーヒー王の養女鮎川マリは有森也実さん。おつきの使用人がウガンダ・トラさんでした。
大体の人間関係、トリックがわかりました。
鮎川マリが金田一とタンゴを踊り、金田一に好意を示すのはご愛敬です。
1978年版は1時間ドラマの3回放送でした。
マリは竹下景子さん。とても美しいです。金田一耕助シリーズって美しい女優さんの一番美しい頃が映像に残されているんだなーとしみじみ思いました。
こちらではおつきの使用人はちゃんと外国人がやっていたので、ウガンダ・トラを使った1988年版のキャストのひねり具合がわかりました。
微妙に人間関係が省略されていて、ウィキを見ると1988年版の方が原作に忠実らしいようです。
さて、こちらは何といっても、植木等さんの演技がすばらしかったです。
ドラマの中で植木さんだけ特別感がすごいのです。
時代が経つにつれ、ドラマが軽くなってくるのは仕方がないのかもしれませんが、古いドラマを見ていると胸がきゅんとしてきます。
まだまだ見ていない金田一耕助シリーズがあるんですね。
それにしても、これほどドラマ化されるなんて、どれほどのブームだったのでしょう。
で「死仮面」は原作を読んでいません。
ドラマとウィキを見ると、父親の違う三姉妹の人間関係がもたらした殺人事件を描いたものらしいです。
ここで、萬田久子さんが初々しい姿を見せていました。
そして小林聡美さんが出ていて、金田一耕助との絡みなんて見ものでした。
そこだけ、世界が違っていて「転校生」の続きみたいな感じがしました。
小林さんの回りだけ、おどろおどろしくないのです。
トリック、ドラマの出来は単純でしたが、何か見て得したような気分になるドラマでした。