弟の結婚式が終わり、ほっとしている。
仏教では、四十九日を経過してやっと死後の行き場所が決まるとされている。
遺族たちは四十九日の忌明けとなるまで供養をして過ごすため、
本来であれば、喪に服すため祝い事は避けなければならないであろうが、
祖母が楽しみにしていた結婚式・・・既に招待状発送後、
貴重な休日に予定をあけご臨席くださいますご友人の方々のご都合とご負担。
新婦側の祖母は90歳、延期することがよいのかどうか・・・
迷った挙句、祖母の三十五日を済ませ(3ヶ月にまたがらないようにし)、
予定通り執り行うこととした。
弟たちも結婚式しか予定していなかったのだが、友人たちのご厚意により、
急遽二次会も行うこととなった。
父は新郎の父として挨拶をしなければならない。
父は真っ白になった過去のトラウマが蘇るようで、スピーチすることに緊張している。
「お父さん、大丈夫。私が短くていいのを考えてあげるから」
弟の友人から母に電話があり、二次会時の息子に向けて手紙(サプライズ)を書いて欲しいとの要請が。
法要の準備等で忙しく、ここで母が体調を崩してはいけない。
「お母さん、大丈夫。私が考えるから休んで」
新郎は新郎で式前、仕事も準備も忙しくなり「挨拶文、助けてくれ」と・・・もう!
仕方がない。精神模写、開始。
弟の視点になりきって、文章を考える。母の今までの会話を繋ぎあわせ、文章を考える。
それぞれの文章を渡す。母が「お母さんもこれ、思ってた」と。
そりゃそうだろう、家族で交わした会話をつなぎあわせ、
嘘偽りなく、それぞれの気持ちに添ったもの。
ある時は父になり、またある時は母になり、真ん中ポジションだからって弟にも。
当日、弟の締めのスピーチ。
父と母に贈る言葉のくだりは涙して語っている。
涙でつまり、途中、会場から「がんばれ!」の声援を受ける場面も。
見事人の原稿を自分のものにし、感動のフィナーレを飾る。
弟の、スピーチに涙した父と母が式後に言う。「あの子は優しいから・・・」
おいおい、正解はあの子は甘えん坊だからなんですけど?
ま、弟が素直に感情移入できる文章を作ることができたのだ。
自称、とーま家の樋口一葉? とその仕上がりに満足する。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます