第231話  判断基準

2009年10月04日 00時33分56秒 | 子育て・「おママごと」
忘れられない光景がある。

まだお腹が大きかった頃のこと。
東京出張の折、私は帰りの新幹線のチケットを買うため窓口に並んでいた。
少し前に3、4歳くらいの男の子とパパがいた。
男の子は退屈しのぎにそばにある誘導ポールで遊んでいた。
突然、何の前触れもなくポールが浮き上がる。
鉄のポールだったので元に戻る時、ひどく大きな音がしたが、
男の子がとっさに手を離したので、倒れることなく少し浮いただけだった。
ポールが倒れなくてよかった。
そう思って向きなおそうとした瞬間、男の子の父親が子供の頬を打った。
その瞬間の出来事に私は驚き、
子供の泣き声をきくに耐えず、目をそむけた。

男の子は何が起こったのか事態がつかめず、びっくりしていた。
悪意があって、大きな音を響かせたわけではないだろう。
もちろんポールは遊び道具ではないから、彼のしたことはいけないことかもしれない。
でも・・・。
遊び続けている間じゅう注意せず、
びっくり固まっている彼に、ポールが倒れなくてよかったと身を案ずるわけでもなく、
言葉なく、たたいた。
たたかれ泣く子へも、言葉なく。
いたたまれなかった。

先日、お風呂に入ろうと息子のおむつを脱がせた。
脱いだ後におしっこが出て、ちっちの水溜りができた。
あっと思ったが、息子もあっと身を固くしている。
とっさに私はかっとならず、大丈夫だよと声をかけることができた。
お茶をこぼした時も、食べ物を落とした時も。
私は怒らず済んだ。
息子が驚いていたからだ。わざとしたわけではないから。

今となっては男の子の顔も着ていた服も映像としては思い出せず、
光景といっていいのかどうかわからないが、
驚いているかどうかをとっさの判断に一呼吸おけるのは、
あの光景のおかげだと思っている。
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